表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

尻が、二つに分かつまで。

「では看護師の皆さん! 尻沢さんを手術台に乗せて下さい!」


 名前が違げーよ!?


 医師の一声で、ミュージカルのように、一斉に看護師が動き回る。


 手術台を運ぶ者。

 手術用の道具を運ぶ者。 

 そして二人の女性が、俺の腕を両側から持ち上げ、腫れ物を扱うように、慎重に手術台へ運び、うつ伏せに寝かせる。


「い、痛。痛たたたた……」


 その、一連の動作の間、俺の尻に潜む、スーパーデリケートが敏感に反応、激痛を走らせる。


 気が付けば、煌びやかなステージは、無機質な手術室に変わっていた。


 坂〇忍に似た肛門医が、険しい表情で、手術用の帽子とマスクを着用すると、女性看護師達も、マスクと帽子で、女神のような美しい顔を隠す。


 肛門医に、看護師達が、手術着を着せる。


 陽気な司会者から、出頭医へ変身した肛門医が、美しい看護師達に指示をする。


「それでは、皆さん。宜しくお願いします」


 女性達は皆、一礼すると、作業にとりかかる。


 近付く女性看護師に、思わず俺は拒否を示す。


「ま、待って!? 心の準備が、あぁん!?」


 看護師が俺の腰を持ち上げ、腰を浮かせる。


 次は別の看護師達が、俺の下半身のスウェットを、パンツごと降ろした。


「はぁん!? やめ、ひゃぁん!」


 さすが、女性とは言え、プロの看護師。

 俺のけったいな肛門を見ても、動じること無く、見つめている。


 全員が、ミスユニバースに選ばれそうな、女性達の視線を一心に集めた俺は、身体が、自然に発火するのではないかと思うくらいに、羞恥で熱くなる。


 ”創世記”――――エデンの園で幸せに暮らす、アダムとイブは、禁断の果実を口にすると、急に、お互いの裸体が恥ずかしくなり、それぞれ、局部を隠したという。


 今の俺に比べたら、アダムとイブなんて、可愛い童話だ。


 知り合いに、痔のことを知られるのが、恥ずかしいから、わざわざ遠くの肛門科を選んだのに、こんな美人揃いの病院で、俺は今、彼女達に尻の穴を見られ、この上ない羞恥を食らっている。


 頼む、悪夢なら早く覚めてくれ――――。


 一人の女性看護師が、両手にゴム手袋をはめると、別の看護師が、手袋の上から、水飴のようなローションを塗りたぐる。


 ローションは、スポットライトに当たり、プラチナのように輝いた。


 背中越しに、それを見た俺は焦る。


「せ、先生!? 先生が手術するんじゃないんですか?」


 ”医師”の返しには、揺るがぬ”意志”のようなものを感じた。


「安心して……彼女は当医院で、一番、上手い女性看護師です」


「う、上手くても嫌だ!?」


「尻沢さん」


「沢尻です!!」


「沢尻さん……緊張で、肛門が閉じていますね? さぁ、心を開くように、肛門を開いてみましょう」


「開けない!?」


「仕方ありません。ちょっと強引ですが、始めましょう……では、お願いします」


「やめ! はぁああん!?」 


 ぬぷぅっ!


 女性看護師の、しなやかな指が、飢えたケダモノのように、俺の中へと入っ来る。


 そして、”挿入記”が始まった……。





           ―――――――――痔・エンド

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ