逆バレンタイン・チョコ
男side
肌寒い季節の中、今年もまたバレンタインデーがやってくる。
何年も連続で母さんからしか貰えていない。今年こそは貰いたい・・・と思っていたが、近年逆チョコが流行っているというから、この機会にあの子に想いを伝えられたらとも思う。
でも、最近避けられてる気がするし、突然あげたら迷惑に思うかな・・・でもオレは男、3年間の片思いを今年こそはケジメをつけるぞ!!
女side
あの人は同級生、あの人は親友・・・という言葉だけじゃ、納得できない。
この感情は恋!?
ハハハ、そんなことはない・・・いや、あるかも。
最近、よくわからないけど避けてしまう。
本当はすっごく話したいのに。
気がつかない間に、あの人の存在が自分の中ですっごく大きな存在になっていて、家に帰っても夢の中でもあの人のことばかり考えてしまう。
そう、これは恋だ。
私は、あの人に恋をしている。
もうすぐバレンタインデーが来るから、その日には手作りチョコをあげよう。
男side
2月13日。親にバレないように帰宅後すぐにこっそりチョコを作る。
スマホのアプリや検索結果を見ながら板チョコを溶かし、型に入れ、飾り付けをする。
にしても、チョコ作りは大変だなぁ!
クラスの彼持ちの女子はこんな大変な思いをして作ってるのか・・・
おっと、もうすぐ親が帰って来る!
もしバレたら、ただじゃ済まないから、丹念に匂い消しをしなけりゃな・・・
女side
お姉ちゃんに相談しながら、友人にあげるとごまかしながらチョコを作る。
毎年感じるけど、すっごく難しいなぁ〜。
でも、今年は愛を込めて作るから、違う味になるといいなぁ〜♪
あげると決めてるのは本当はただ1人。
たくさん作っちゃったけど、食べてくれるかな〜?
男side
遂にこの日がやってきた。
あいつにチョコを渡せるか・・・と思っていたが、一向にチャンスが来ない。
結局、最後の授業の鐘が鳴り終わってしまった。
とぼとぼと歩いていると、曲がり角で誰かにぶつかって、カバンの中身をブチまけてしまった。
顔を上げると、あいつだった。
「だ、大丈夫?」
「ああ。」
「それよりこれは何?」
あいつが手に取ったのは、オレの手作りチョコが入った箱だった。
「へぇ〜、チョコ貰ったんだ〜!」
「ち、違う!これは・・・」
オレは急に真顔になって立ち上がった。あいつは当然驚いていた。
「お前にあげようと思ってたんだ!オレは、、お前のことが好きなんだ!!」
女side
こんなの本当にあったんだ・・・
あの人も私のこと好きだったなんて!
「わ、私も好きでした!!だから、このチョコ、受け取ってください!!!」
「いいのか?」
「君だからあげるのよ!!」
急に抱きしめてきた君。
この暖かさは一生忘れない。
これからも、ずっと側にいてくれるよね?