なろう作家 畑に砂糖を撒いても野菜は収穫できなかった
さるなろうファンタジー世界にスーレキという男がいた。
異世界転生者である彼が旅をしていると、年老いた老人が木の箱に腰かけているのを目にした。
「どうなされたのですか?」
なんとななくスーレキは老人に声をかけてみた。
「この土地は呪われているのです」
老人は言った。
「10年前。魔王マイルズというものが現れました。骸骨の姿をした、恐ろしい姿の魔導師であるとか。その者が率いる軍勢が一度、この地を襲いました。多くの冒険者様の尽力により追い返すことに成功しましたが、以来この地で作物が採れませぬ」
スーレキは地面を見た。
ついでに魔法探知のスキルも使ってみた。
とくに異常は見受けられない。
「別に呪われてはいないようです」
「いえ。ですが・・・」
「おそらくは長きの魔王軍の戦争の間、畑が耕されるずに放置されていたせいでしょう。まぁ僕に任せてくださいよ」
スーレキは農作業を開始した。
まず初めにちょちょいと土を耕す。
「それはもうやりました」
「いいえ。御老人。この土地は痩せているのです。肥料を与えねばなりません」
「肥料?肥料ですと?」
「そうです。たとえばそこに動物の骨がたくさんありますね」
大量の生物の骨が地面に転がっていた。
「これを叩き潰して地面に混ぜます」
「おお!それで再び畑で作物が耕せるようになるのですね!」
「まだです。これを使います」
スーレキは白い粉末が入った瓶を取り出した。
「それはなんでございましょう?」
老人は尋ねる。
「これは砂糖です」
「サトウ?その魔法の薬を撒けばよいのですね?早速お願いします」
どうやらこの世界では相当貴重品のようだ。だがスーレキは老人の為に躊躇なく砂糖を大地に振りまいた。
生物の骨が埋まった畑に。
「さぁこれでもう大丈夫。もうすぐこの地に」
「アリガトウヨォ。テメェノオ蔭デ復活デキタゼェ」
妙に野太いお礼が聴こえた。当然老人の物ではない。
振り返るとバカでかい足が立っている。その上に正方形に近い人型の白骨死体が。
「な、スケルトン??!!」
「ば、化け物ですじゃ!!勇者様早くなんとかしてくだされ!!!」
うろたえるスーレキと老人。
「ハイウェイムーン様をスケルトンなんかと一緒にするなよ?」
「ハイウェイムーンだと??貴様は一体??!」
「さっきてめぇが砕いた骸骨さ。だが貴様のお蔭で復活できた。感謝するぜ?」
「復活?感謝?何のことだ??俺は何にも・・・」
「『ブドウ糖』だぜ?そいつでちょっぴり栄養補給できた。そして復活した。だがな。まだちぃとばかしエネルギーが足りねぇみたいなんだ」
ハイウェイムーンと名乗った化け物は、時速600キロくらいの高速でスーレキと老人の首筋に掴みかかる。
「お前らの『養分』をもらうぜええええええええ!!!!!」
『ぐああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!』
無事復活を遂げたハイウェイムーンはフサフサの毛並みの怪物であった。
「さてと、久々にマイルズ様にご挨拶するかな?まだ人間共に殺されてなきゃいいが。くくく・・・」