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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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飛ぶのか 浮くのか 2

そこでさらりと小さな冊子をナガイは脇から取り出し、マギーの目の前に置いた。経済開発庁のリーフレットである。

「最新の公表によりますと、経済開発庁は来季から広報部門を強化するために、新たな部署を置くそうです。その人員の半数を外部公募するとのことです。期間は3年で、契約更新もあり得ます。勿論3年後は、キララグループのどれかに戻ってきていただいて構いません」

「……それは、グループからのヘッドハンティング、ということでしょうか。ケネスさんの一存ではなくて」

ケネスはその通り、と満足げにうなづいた。

「そう思ってくれて構わない。確かに私情は入っているが、それだけじゃないからね。グループとして、中央官僚とのパイプが欲しいから、官僚出身者が多い実家を持つスレイターさんを推す、ということだ」

「そうですか」

「じっくり考えてくれて構わないよ。ネイトの秘書として優秀だと聞いてるし、キララ紡績も今組織改編にあたり3年も秘書室長を出向させる余裕はないとも思う」

「はい。良いお話だと思いますが、自分が公務員に向くとは思いません」

「他に何かやりたい事でも?」

そこをつかれると……マギーは、ふと思い浮かんだ言葉を口に出した。

「もう少し国際的な業務をやりたいと思っているんです。商社のような、外国と接点があるような仕事です」

口に出して、自分の耳で聞いて、改めてマギーは思った。そうだ、もっと外国と接点のある仕事をやりたかったのだ!

その言葉を聞いて諦めるどころか、にんまりとケネスは笑い、

「じゃあ、貿易振興局に出向枠があるか探してみよう。期待していてくれ」

……期待してません。

上司(ネイト)とそっくりな腹黒い笑顔を見ながら、この二人は兄弟なんだなと実感する。ナガイも黒くうなずきながら冊子を戻し、

「またの機会にお話しさせていただきます」

私もこう見えてるのかしら……と、ちょっと自分の秘書としての態度に思いをはせたマギーだった。

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