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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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転職理由 2

「さて皆さんご存知の通り、前社長は解任されました。私トモミ・スミスが、本日から社長となります。よろしくお願いします」

パチパチ、と乾いた拍手が起きた。マギーも勿論手を叩く。

「そして彼が、今回私の後継として、副社長になるネイザン・ジョーンズです」

「ネイトと呼んでください。よろしくお願いします」

「マギー、あなたは引き続き私と、そしてネイトの秘書をやってください。アランの秘書は、リッキーに任すように。リッキーは来月から、正社員にします。マギーは、秘書室長として、会社に貢献してもらいます」

総務法務副室長がわかりました、と答える。


え?

いきなり室長?それはないでしょう、給料も変わらないのに。


という話は、一通り説明が終わり、解散となって、マギーは副社長、もとい、現社長の二人になってから、口に出せるようになった。


今までの女性同士の気安さから、色々と業務をこなしてきた間柄。それがいきなり社長?

マギーと二人きりになり、ブラインドもおろしたままで、トモミは、ご苦労さん、腰かけて、と側のソファを勧めた。自分自身も勿論腰かける。

「どうして?っていう顔してるわね、マギー?」

「それはそうですよ、社長が解任だなんて」

「広報が大変でしょうけど、マスコミの対応は彼らに任せましょう。それより経緯が知りたいでしょ?」

「ええ」

「簡単に言えば、放漫経営。売上のほとんどが、卸への仲介料に消えてるの」

「それはどういう事ですか?会社が赤字という事でしょうか」

「営業の売上高は伸びてるのよ、200%以上じゃないかしら、ここ5年ほど。でもウチの繊維って、ニッチなものだから、そんなに大きく売り上げなくても、利益率は高い物なの」

「そうですね、燃えない繊維とか、しわができやすい布とかありますからね」

「そういう商品価値の高いものが、かなり安値で卸されているわけ。そして、高い仲介料つきで、取引されていたの」

「それは勿体ない」


繊維の世界は、イメージは古臭いが、実際はハイテクである。濡れない布と、濡れたままの布。正反対の布が、ほんの少し織り方を変えたり、繊維の太さを違えたりで出来上がる。こういった研究をまともにしているのは、ここキララ紡績くらいなのだ。


だから、こういった研究成果は、市場を独占できる潜在能力を持つ。


それを、叩き売ったって?そりゃクビだろ、しゃちょー。


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