会社の都合 6
直帰になったのを幸い、マギーは久々にCVに手を入れていた。
マギーの出身地で首都であるハイランド市は、保守的なので、CVは縦書きだ。
しかし、ここキララ市は国際都市。職探しには、マニュー国の国語だけでなく、英語もしくは外国語の経歴書が必要となる。
ウェブの翻訳機能様を使わせていただき、マギーは一文一文英語と国語で仕上げていく。地道な作業である。
バサバサバサ……
また鳥の羽音がする。
まだ日がすっかり落ちる前で、外の風景が何となく判別でき、マギーもつられて窓の外を見つめていると、ひゅうっと鳥が浮かんでいるのが見えた。
そう、浮かぶ。
飛ぶというよりは、重力を無視して、空気の中をふんわりと浮かんでいる。それは……
「鷹?」
最近、夜の帰宅途中で、鷹を散歩させていた親子がいなかったか。その鷹かもしれない、見分けはつかないが。
窓を開けて空気を入れ替えていたから、外の騒音も入るが、浮かんでいる鷹は、たまに羽ばたきつつ、マギーの部屋がある建物をゆっくりと旋回していた。だんだん高度があがっていく。
あれ?とマギーは少し不思議に思う。その鷹は、足をだらん、と出していた。能ある鷹は爪を隠す、ではないが、普通鷹は飛ぶときに足をきちんとしまう。しかしその鷹は、リラックスしているかのように、足を伸ばして飛んでいる。
へーんなの。
でも何か、可愛いなあ。




