表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
46/172

おしゃべりなのは 9

墓に穴を掘る、と書いて、墓穴を掘る、略してぼけつ。

藪をむやみに叩いて、そっと隠れていた蛇に襲われる、というのはやぶへび。


マギーの心の中に浮かんだのは、その七文字。


……その言葉を待っていた?何それ?人が折角心配してやったのに、とっととその責任を私に押し付けるなんて。


しかも、取引先訪問?


確かに、前々職までは、接待のアシストもしていたから(秘書業務は大変なのだ)、全くできないという訳ではない(と自分を信じたい)。

だけど自分は営業ではないんだけど。それに名刺が……。


いや、名刺はあった。三年前、トモミ社長が絶対に必要だと言ったので、仕方なく作ったものが。さて、どこにやったっけ?


リッキーが心配そうにメッセで尋ねてきた。

「どうしました、マギーさん?変人に何か言われました?」

リッキーの頭の中では、ネイトは変人だという確信が信念に見事なったらしい。

「明日の朝、取引先に行けって。一体どうなってんだか」

「えええええ。それってどういう事なんですか?」

「それは私が知りたいわ」


そして三十分後、11時過ぎに、ネイトからプレゼン資料として、パワーポイントが来た。三ページしかないので、軽い。

ところが、添付されたメッセージには「各訪問先別に、その会社の営業成績と会社概要を1ページにまとめて、印刷して持ってきてくれ」とある。あいつー。

あと1時間もないのに、こんな細かい指示を今するとは。

しかし、正論ではある。今回の20件は、全て初めての訪問になる。先日はアラン理事がいくつか案内していたけど、言ってみれば『優良』取引先への訪問だった。でもこの20件は、少し、いえ、かなり難あり、だ。


会ってくれる、というだけでも、本来は幸運な感じ。何しろ、前社長がらみ。その前社長は、今はインドネシア。いったい何なんだと噛みつかれる可能性だってある。


ネイトは無表情だけど意外と豪胆な性格なのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ