キャリアプラン 4
夜7時10分という、10分遅れであるがマギーがギリギリエクセルシートをメールすると、今すぐ来てくれ、と副社長から内線が来た。
無視の次は、監視か。
自分がリストラ対象になった気がする。いえ、ネイトから見れば、全てがリストラの対象になるのだろうとも思う。
マギーは、メールの資料を基に、簡単なプレゼンをしなくてはならなかった。
秘書ではあるが、重役付だったため、プレゼンテーションをする基本は学んでいる。が、しかし、キララ紡績では、全く必要とされなかった。
「これからの提案ですが、以上の数字から、コミッション高と訪問回数を比べてみれば、面白いのではと思います」
冷や汗をかきながら、アドリブで考えたプロットをつっかえつっかえ言葉に出すと、ネイトは無表情で、うなずいた。
「15分経過だ。少し前半を削ったほうがいいが、まあ今日は時間がないね。マギー、あと5分で会議になる。準備に入ってください」
マギーははい、と無表情でおさめたが、絶叫したかった。
リッキーは飲み物の手配をしているはず。会議前に出席者全員の資料をメールで受け取ったか確認しなければ。
秘書は、忙しいのである。
ダッシュで自分の机に向かうと、リッキーが、
「室長、お茶の手配は終わっています。プロジェクタの点検で、今ITが会議室にいます」
「ありがとう」
「私もCCで入っているメールを確認しましたが、トモミ社長、アラン室長、アレックス副室長とケイト部長の資料は受け取っています」
「今、副社長の資料を入れるわ」
ネイトから、2分前にパワーポイントが来ており、それをマギーはリッキーに転送する。
「受け取りました。あと、トモミ社長はまだ席に戻ってませんが、他の方は社内にいらっしゃいます。皆さん出席すると言っています」
「有難う。トモミ社長には私が携帯で確認します」
秘書は、忙しいのである。特に、こういった行方不明者が出た場合は。
呼び出し音5回で、トモミが携帯に出た。
「大丈夫!行くから!」
それで切れる。彼女は大丈夫だ。ああ、もうあと1分もない。
リッキーはすでにITと確認するため、会議室に向かっていた。
マギーも、ささっとノートとペンを携帯し、部屋へ直行した。




