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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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三年前 2

採用通知は電話とメール。電話では、人事のレベッカが「朝9時に来てくださいね」と言うので8時55分に到着し、受付で待っていた。

受付は「レベッカは少し遅れてくるかもしれないので、ソファで座って待ってください」と何気なくマギーに告げた時、マギーの心の中の何かが警告を発した。


採用初日の新人が来る日に、遅刻……?


今思い返せば、それは特に遅刻とはならないのだが、しかし新人が来る日に勤務時間朝9時ジャストに現れない会社というのはどういうものか、それは誰の目にも明らかだろう。


しかし、5回目の転職である。

こんな事で引くわけにはいかない。


ここマニュー国では、転職は国民性と言われるくらい身近なものである。人によっては3か月以内、いや、1日だけで職場を去ったりもする。だから、人事も忙しい(と思う)。


5回目の転職なんて、ここマニュー、いや、特に産業が盛んなキララ市では、大したことない数字だが、マギーは首都ハイランド市の出身。ハイランド市は、経済というより、歴史の中心地なので、比較的時間の進み方が緩慢なのだ。


マギーは自分に言い聞かせた。ここは、経済都市キララ。そして私は職が必要だ。両親はとっくに退職して年金暮らし、一人いる兄とは没交渉だ。彼は結婚して子供もいる。失業者で将来のあてもない姉のことなど、忘れ去るに限る。


分かっている。


だから、心の中の警告を無視したのだ。お金が必要だったのだ。


前職はクビだった。でもマギー自身何をしたわけではない。

マギーは秘書として応募した。そして、重役の秘書になった。しかし、何の因果か、『秘書』は『私設秘書』の意味で、その会社には直接やとわれてなかったのだ。だけど、マギーはクビの直前まで知らなかった。おめでたい話である。

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