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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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沈黙 4

マギーは、ネイトが色々な飾り物を置いていく間に、不要な箱やパッキンなどを区分けし、外へ出して行った。本来ならば、清掃員がいるのだが、あいにく時間外。彼らは通常、勤務時間前に現れる。受付を通して、また呼んでもよかったが、マギーは自分で動くのが好きだった。


「そんなの我々秘書の仕事じゃないわよ。秘書は、上司の仕事の補佐をしていればいいの」

そう言われたのは、2回目か3回目の転職の時だったか。

そしてまもなく、マギーは再度転職したのは言うまでもない。会社も従業員を選べるが、従業員(候補)だって、会社を選べるのだ、というのがマニュー国の流儀である。


そして、そういう彼女を見ても、ネイトは何も言わなかった。


とにかくも、ネイトが9時半からのミーティングに出たので、マギーもいったん部屋から出て、自分のPCに戻ったが、彼が10時に戻ったのを見て、また一緒に部屋で片づけをし、13時近くになって終了間際なのを見て、マギーはお茶を用意するように総務を呼んだ。


最後に、ネイトが自分の机の本棚の後ろで帆船の置物の位置を決めると、お茶が用意された。自分なりに完璧なタイミングで、マギーは自己満足でいっぱいだった。


それでも、ネイトは無口だった。コーヒーと紅茶の両方が、部屋の入り口わきにある応接セットのテーブルに置かれ、マギーがどうぞ、と言うと、初めてマギーの顔を見たかのように一目見て、

「ありがとう」

と言って、コーヒーと選んだ。


自分は、20年近くOL、そして大部分は重役秘書をやっているのだが、これほどの無視をされた経験はない。しかも、かなりの年下上司にである。マギーは完全に失職を覚悟したのだった。

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