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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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金よりプラチナ 12

「……私は、マギーに秘書として行った業務について尋ねているだけだわ。ねえ、マギー、思い当たることがないかしら?どうやって前社長はキララ紡績の新製品を自分の代理店に売り込んでいたのかしら」

焦点はそこだったか、とマギーは思い至った。そう、結局はキララ造船が、ジョーンズ家が、ケネス本社社長が、ネイト副社長が知りたいのはそこで、そして知っている人間はインドネシアにいる。


いや、もしくは……。


「営業会議の議事録とか探してみたいから、それを私に渡してくれる?」

営業会議!勿論書記としてマギーは出席していた、いや、あくまで書記として、だったが。だがしかし。

「……分かりました。全ての議事録は法務総務部へ渡していますので、そちらへ問い合わせます」

「ああ、それはいいよ、私がやっておいたが、特に何もなかったから」

軽くいなすようにネイトがトモミに告げる。

これは……何だろう。

経営者(この人)たちは何をしたいのか、考えなければならない。マギーの頭はフル回転を続ける。


口を開くというのは、職場で必ず必要な作業である。

単なる同僚とお喋りでも、外部委託の業者さんでもとにかく、口は開く。

しかし、話す、という行為はまた別で、不必要な職場もある。上司がワンマンでイエスしか言えないようでは、口は開けども話は必要ない。


それと同じくらい必要なのが、聞くという作業である。

ワンマンなら、聞かなくてもいいので、口さえ開いてイエスと言えばいい。しかし、通常は『何かを求められて』上司が話しかけてくることが多い。特にトモミ社長やネイト副社長は『ワンマン上司』ではないはずである。すると……


『何か』を聞き取り、

『何か』を話さなければならない


一体経営側は何を望んでいるのか。

判断を誤ってはならない。


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