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6月8日


川崎は悩んでいた、仕事中も、山の中でも。

今日の夕飯はビストロで食べようかなとか、町長は今日も頑張って見回りをしているなとか、最近うどんばっかだな、中学生は若いな、肉食いたいな肉というようなことも考えていたが、今日一番の問題はそこではないのだ。


「ツチノコが雄だったらどうするか考えてなかったんだ」

「・・・そんな事で私のこと呼んだの?くだらないしどっちでもいいよ、食えれば」

「食べるな。俺はツチノコと添い遂げる覚悟だってあるんだ、俺はあいつを捕まえたあかつきには、うろな町に婚姻届けを貰いに行こうと思っている」


光悦とした表情で語る省吾。隠れた名店で夕飯をおごってやるという言葉につられてやってきたまつりはもはや後悔していた。

最初の第一声からまつりの眉はななめに上がり、だめだこいつ、どうにもならない状態になっている。もう今日は食べるだけ食べて帰ろうと思った。


これだけ痛い発言をしている川崎に対しても優し気に微笑む店主の包容力に胸が高鳴るなか注文をお願いし、未だに腑抜けている川崎に体を戻した。


「それさぁ、役場の人にどれだけ迷惑かける気なの?また秋原さん呼ばれるはめになるよ」

「秋原さんのことは残念だが・・・俺にはツチノコという大事な存在がいるんだ」

「いや秋原さん別におじさんの事なんとも思ってないから。おじさんのその惚れっぽいところとすぐ勘違いしちゃうところ直したほうがいいよ」

「そうだよな、分かってるんだがどうしても直らん」

事実川崎と村長の秘書、秋原さんには接点など最初の電話口でしかないのだ。

どうめぐりめぐっても恋の話しにはならないだろう。


「おまたせしました」


店主が後半料理名を言ってくれた気がするが、美味しそうな料理が目の前に差し出されあまり聞いていなかった、まつりの喉がごくりと動く。

川崎も目の前に出された料理に目が釘付けになっている。


「まぁとりあえず」

「いただきますか」


2人は目を見合わせていただきますをした。



* ******



「食べたー!ごちになりましたおじさん」

「おう、俺も美味しいもの食べたお陰で性別なんてとるに足らないものだと思えたし、今日は来てよかった」

「えっ」

「どうした、立ち止まって?」

まつりはうつむいたまま川崎に近寄り、そのまま川崎の頭を掴み自分の近くに引き寄せた。

力の差のせいで抵抗が出来ない川崎がまつりと目を合わせると、その目はうつろで焦点が合っていないため恐怖を感じてしまう。


「おじさんちゃんと友達いる?いないよね、いないからそういうへんてこな思考回路をしているんだよね?もしいるというなら言ってみて、仕事仲間以外でさぁどうぞ!」

「ハム」

「ハム太くんは無し。ひなた先輩もこの場合は除外致します」


徐々に両側の手の力が強くなっていくのを感じる。

いないなんて答えたらこのまま頭蓋骨を粉砕されると確信した川崎は必死に記憶を呼び起こした時、ある天狗の仮面をしている青年が頭をよぎった。


「いる!若いにーちゃん1人いる」

「普通?!」

「普通普通!」

「・・・まぁそれなら安心かな。とりあえずその変な考え方をどうにかしてもらった方がいいよ!」

「ところでまつり、天狗仮面と聞いてお前はどう思う?」

「変。まさか、それが友達とか言わないよね―ーー?」

「いや、彼も友達だけど違う人だ」

「ならいいけど、でもちょっと会ってみたいな天狗仮面、なんか面白そうな人だよね」


そう言って気分よさそうに歩いていくまつりの後を着いていく。

川崎は言わなかった。というより言えなかった。



この後、天狗仮面とちびっ子たちに会うのは2日後のことである。


うろな町、六等星のビストロよりお店と葛西さん

『うろな町』発展記録より秋原さんと町長

うろなの小さな夏休みより天狗仮面さん

うろなの虹草 よりハム太くんとまつりさんをお借りしました。

また、ツチノコさんにつきましては、うろな町~僕らもここで暮らしてる~ の設定を元に書いております。

ありがとうございました!

問題ありましたらご指摘下さい。


川崎、まつり共に惚れっぽいです。


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