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本日は部活がないためまつりは山に来ていた。

川崎が縄をぶんぶん振りながら山を駆け上っていくのを追いかけながら、まつりはため息をひとつつく。


「おじさんさぁ、30になったらツチノコ諦めるんじゃなかった?」

「オジサン言うな、大体俺はまだ29だ」


ぎりぎりじゃん、とつっこんだら黙れ小娘ときたもので、

これにはまつりもむっと眉を顰めた。


「はーそんなこと言っていいんだ。高校に貼ってあるツチノコを探し隊のポスター剥がしちゃおっかな」

「それはやめて下さい」

怪訝な表情はコロッと変わり、子犬のような縋る目で見つめてくる29のおっさん。

まつりの好みを的確についてくる男、川崎。ツチノコ狂いでなければ結婚して養ってやったのにそこだけが悔やまれる―――


川崎が読心術を心得ていたならありがた迷惑、むしろ御免被りたいと言っていただろう、もちろんそんな芸当が出来るはずがなく、唇をくっと上げ不気味に笑う年下の少女に不快感を露にするだけに留まった。


「ま、元々貼ってないけどね」

「・・っ!これだから最近の若いもんは!」

ちくしょうめと悪態をつくその姿はどう見ても若者ではない。外見どうこうよりも発言が若くないことに川崎は気付いていないのだ。

山道を駆け上がっているにも関わらず、お互いの速度は全く変わらない。


まつりに至っては木から木へと飛び移る芸当を軽々とやってのけている、もはや人ではなく話す猿と改名したほうがいいのではないかと川崎は常々思っていた。


「そんな事ばかり言っているからおっさんて呼ばれるんだよ、お・じ・さ・ん」

「言っておくけどな、そう読んでいるのはまつりだけだ。大体最初に言っただろ、俺の事はつっちーと呼べと」

「おじさん苗字川崎なのになんでつっちー?」

「ツチノコから取った」

えっへんと言わんばかりに鍛えられたその胸を踏ん反り返らせた川崎を無視し先を急ぐことにしたまつり、だがふと思い出したように木からおり、川崎の目の前に着地した。



「おじさん昨日電車で鬼小梅と会ったでしょ」

「会ってねー。そもそも鬼小梅ってなんだ。人か?」

話題は終わりだと、まつりの体を押すがびくともせず川崎はしょうがなく腕を組み、話を聞く体勢をとった。


まつりも理解してもらえなかったことが不満なのか頬を膨らませ無駄の多い手さばきでその人物を表現しようとしている

「もー鬼小梅は梅原先生のことだよ。ちっちゃくて子供みたいな体だけど剣道めちゃ強い先生!昨日挨拶したって言っていたのにもう忘れたの?ボケたの?馬鹿なの?」

「なら最初からそう言えってんだ。去年お前が剣道で負けてビービー泣いていた時付き添っていた先生か、確かに挨拶したな」


余計なことまで思いださないでよと怒られたが仕返しの意味もあったので適当に流す。

最初に会ったときはあまりの小ささに同級生かまつりの妹だと思っていた、先生しかも年上と聞いて90度のお辞儀を披露したのは懐かしいものだ。去年ぶりに会ったが相変わらずおさな―――若々しかった。


そもそもなんでこいつの不祥事に両親ではなく俺が呼び出されるのか不思議でしょうがない。


「問題はそこじゃないの、隣にいた新任の先生の方。中学の後輩に聞いたら今鬼小梅にお熱なんだって!昨日見てなにか分かったこととかないの?」


いかにも興味津々な様子でこちらを見つめてくるまつり。

なんで女子高生というのは他人の恋路にまでこうキャーキャー言えるのだろうか。

暇なのか?暇なんだろうなと1人納得する


「そんなのは知らん、俺が見ていたのはツチノコを愛せる男かどうかだけだからな」

「だから彼女出来ないんだよ、で、勧誘はしたの?」

「いや、してない。普通に挨拶して別れた」


俺の返事に目を見開き驚いているまつり

「おじさんが珍しいね」

「ふっ、もうがつがつする年でもないんでな。今度からじわじわ行こうと思っている」

「勢いでいってたおっさんが粘着質になっただけってことね」


言い方ってもんがあるだろうと言えば、それしかないでしょっと返ってきたため、いつも通りの喧嘩が発生した。大体攻撃できない川崎が負けるのはお決まりのパターンだ。

ぎゃーぎゃー騒いでいればツチノコはおろか動物すら寄ってくる筈もなく、本日の探索は終了した。


YLさんの清水先生、梅原先生をお借り致しました。ありがとうございます!

勝手に元々知り合いの設定にしてしまいすみません。

問題ありましたらすぐ書き直します。


他の皆さんとも絡みたいですぜ!

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