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石、草、土、林、森、Tシャツ、縄、麦わら帽子と、ここまでくればわかるだろう。
「ツチノコはどこだー!」
そう、俺こと川崎 尚吾は現在ツチノコを探し中なのだ。
うろな町のことを知ったのは3年前、俺がまだ違う都市で働いていた時の事だった。
子供の頃からツチノコが好きだった、否、愛していた俺はここで3度目撃されたという情報を聞きつけ、最初は様子を見に来るつもりで小さい旅行バックを片手にこの町にやってきたのだ。
そして実際に目撃されたという現場に行ってみると想像以上に標高の高い山、2日だけではこの山を回りきることなど敵わず、この旅行はあえなくただの観光旅行となったしまった。しかし、ご飯はうまい、空気もいい、観光スポットも多いと非常に満足した旅行だったのはここに記しておこう。
そしてそんな事を2.3度繰り返し、4度目の旅行を鼻歌交じりに計画をしていた時にふと気付いたのだ。あれ、これ移住した方が早くね?と。
ツチノコもさることながら俺はこの町を行けば行くほど気に入っていったのだ。
そこからの俺の行動は早かった。うろな町で就職口を探し、ある銀行の営業職で受かったと同時に俺はこの町に住処を移した。
その際秋原さんにはとても世話になったものだ、電話口で住所の移動について質問しているのにも関わらず、すぐツチノコに移行する俺の話しに根をあげる職員の中、最後に変わった彼女だけはツチノコの話を適当にいなし、元の話しに戻す手際は見事としかいいようがない。
後で聞いた話だがどうやら彼女は町長の秘書的な存在で、その場にはたまたま通りかかっただけらしい。そんな方にまでご迷惑をかけて申し訳ない。
以来俺は役場の人に頭が上がらない状態だ。
縄に輪を作りカウボーイの如くびゅんびゅんまわしながら森を歩く。
ビシバシと木や丈の長い草にあたり、あまり勢いはでないがモチベーションは上がるのでいつもやっている。
そういえば、最近町長が若い奴に変わったという話しだったな。
町長主催の教育について会議があるとかないとかだったがお前らは関係ないからと上司に言われ出席しなかったが無理にでも連れていってもらえばよかった、もしかしたらツチノコ好きの奴がいて熱く会話を交わせたかもしれない。
ま、今までそんな奴あったことないんだけどな・・・
ふっ
自傷気味に笑い、落ち込む。
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ツチノコを探し隊のメンバーは俺の他には1人しかいない。
その上もう1人は高校生で土日しかこれないため絶賛人員募集中である。
よかったこととと言えば昔はスーツに縄という出で立ちのためよく職務質問されたが最近は慣れたようで警察もほどほどになーといってくれるようになったことぐらいだろうか。
うろな町発展記録より秘書、秋原さんをお借りしました。
もしこんな性格じゃないやい等ございましたらご指摘下さい。
ツチノコ勧誘に唐突に現れることがありますので住民の皆様は速やかに対策をお願い致します。