12.「聖山に挑む勇者(1)」
「はぁ、はぁ、はぁ……恥ずかしかった……」
美少女と美幼女との水浴びというイベントを何とか乗り切った後。
「イヴィラって、〝日焼けの仕方〟が〝独特〟だったわよね」
服を着たカカナが指摘する。
「ハッ! 確かにちょいと〝歪な〟感じだったね、あの〝日焼け跡〟は」
「でも、スプリはワイルドで格好良いと思ったの!」
「お、思い出さないで良いよ!」
思わず赤面してしまう。
「あの〝日焼け跡〟って……もしかして……」
「どうしたの、カカナ?」
「え? ううん、何でもないわ」
俯いて何やら思考していたカカナは、笑みを浮かべて頭を振った。
※―※―※
「ソクティって、勇者のストーカーよね」
「決してストーカーではないです! 〝見守り隊〟です!」
「それを世間ではストーカーって言うのよ……」
そんな会話をしながら、僕たちは馬車で更に南下。
「あれが聖山なの!」
東側の遠くに見えてきた山、あれがそうらしい。
ちなみに、いつも通り御者台の左にはカカナ、右にはリンジーさん、僕の膝の上にスプリちゃんがいて、彼女の更にその上にソクティちゃんが乗っている。
「聖山って、意外に小さいんだね」
僕が思わずそう呟くと。
「何言ってるです? 元々あの山は、あの十倍はあったです」
「え? そうなの?」
「はい。それがこの一年間で矮小化したです」
「山が小っちゃくなっちゃうだなんて。一体どうして――」
僕の疑問は、遠くから聞こえてきた叫び声によって遮られた。
「俺様は勇者だ! 俺様は最強だ! ゴーレム如きに勝てない訳がないんだよおおおおおお!」
聖山の麓を見ると、頂上へと続いている一本道のど真ん中で、銀色の鎧を身に纏い長剣を手にしたワイルドな印象の少年が、全身が岩で出来た巨大なモンスターであるゴーレムに立ち向かっていた。
「ゴオオオオオ」
「食らえ! 必殺勇者剣ーーー! うおおおおおおお!」
ゴーレムが放った上からの打ち下ろしを跳躍で避けた勇者さんが咆哮すると、長剣が一閃。
ドーン
「! すごい!」
斬撃が飛び、聖山が〝斜め〟に〝斬れた〟。
部分的に崩壊した聖山は、その標高が更に低くなる。
「こうやって小っちゃくなって来たのか! すごい! すご過ぎる!」
「そうです、勇者さまはすごいんです!」
「むふー」と薄い胸を張るソクティちゃん。
「ハッ! でも、やっぱり当たらないんだね」
凄まじい攻撃力だけど、ゴーレムには掠りもしなかった。
いや、ちゃんと上段から振り下ろされた長剣はゴーレムに向かっていたはずなんだけど、太刀筋が途中で不自然に動いたのだ。
まるで、見えない力によって、無理矢理動かされたような感じで。
逆に、攻撃終わりの隙を突かれてしまった勇者さんは――
「ゴオオオオオ」
「ぐはっ!」
――アッパーカットを食らい、弧を描きながら宙を舞って――
ゴギャッ
「勇者さまあああああああ!」
――嫌な音と共に頭から地面に落下した。
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