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精霊に転生するはずが、なぜかスライムでした ― 泉の精霊だってオシャレがしたい ―  作者: ぺぺ
序幕:カーテンコール

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2話:其の月はかく語りき

基本的に1話の字数を2000~4000字以内に収めて投稿しています。

お手軽に読めるように編集してありますので、ぜひ読んで見てくださいm(_ _)m

 ――明るい。そして暗い。

 雲のように白く、何もない空間にわたしはいた。

 妙な生暖かさに全身が包まれている。ここがどこかもわからず不安でいっぱいのはずなのに、どこか安心する。


「――キミの魂は、青く澄んでいてキレイだね」


 そんな声が、どこからか聞こえてきた。


「水のようだと言うべきか……」

「キミは色々な姿になりたい願望があるのか」


 誰なんだろう。辺りを見渡してみても、上を見あげてみても、何も見えない。


「ちょうど良い」

「キミを精霊世界に受け入れるために、魂の変換をしてしまおう」


 このままにしておくと大変なことになる気がしてきた。


「あ、あの!」

「どなたですか!?」

「誰かいるんですか!?」


 わたしは虚空に向かって叫んだ。どうやら身体は自由に動くし、声を出すこともできるようだ。


「あぁ、おはよう」

「起きたんだ。意外だね」

「殆どの人間は明晰夢を見ているような状態になるのに、キミは意識がハッキリしてるんだ?」


 意識はハッキリしている。自分が死んだこともなんとなく理解している。

 ならば、ここは天国なのだろうか? 天国が存在したことに歓喜するべきか、地獄へ落ちなかったことに安堵するべきか。

 わたしにはワケのわからない考えが巡っていた。


「か、神様ですか?」


 わたしは最期に聞こえたような気がする言葉から、声の主が誰であるかを推測する。ここが天国であるならば、きっとそうだろう。


「まぁまぁ落ち着きなって」

「不安になることはないよ」

「キミの魂の色は、青色のままの方がキレイだよ」


 今度はハッキリと後ろから声がした。ハキハキとした、女性の声だ。

 振り返ってみると、そこには高校生のわたしよりも少し背の低い少女が立っていた。

 肩よりも少し伸びたライトグレーのくせっ毛に、ギリシャ神話みたいなキトンを着ている。

 目は深い、深い青色をしていて片目は髪で隠れていた。その間から見えるのは少し緑を帯びたキレイな青色の目だった。月のようなヒトだと思った。


「……こども?」


 彼女が神様なのだとしたら、失礼なことを言ってしまったと思う。けれど、彼女は気にする様子もなく、わたしに微笑みかけた。


「まぁ色々と理由はあるんだけど、幼い頃に神様に昇格されちゃってね」

「この姿から成長しなくなっちゃったんだよね」

「あとボクは代理みたいなものだから、正式な神様ってワケでもないんだよね」

「ま、それはいいからさ」

「これからキミを生まれ直させることにしたよ」


 あはは。と、彼女、代理を自称する神様は自嘲するように話を流した。

 生まれ直させる? つまりは転生ということだろうか。

 わたしが要領を得ないような生返事をしても、彼女はそのまま話を続けた。


「愛しいボクらの彼女がね、家族を欲しがっているものだからさ」

「キミをあてがおうと思うんだ」

「だってキミ、まだまだやりたいことがあるんだろう?」

「だから生まれ直して、新しい生を楽しんでおいで」


「あ、ありがとうございます……?」


 転生できるならありがたい。確かにやりたいことはたくさんあった。けれど、その新しい生で、夢が叶う保証はあるのだろうか。そもそも、転生先は元いた世界、地球と同じなのだろうか。


「あ、転生先は違う世界だよ」

「もちろん、ボクらの権限でキミが苦労をしないように加護を与えるとも!」


 彼女はわたしの考えを見通すように、先回りをして疑問に答えてくださっていた。


「あ、別に畏まらなくていいよ?」

「そういう心があるのはいいことだけれどね」

「緊張や不安は、魂の色を変えてしまうからね」


 そんなことを言う。


「魂の色?」


「そうそう、魂には色があるんだよ」

「清い魂は緑色だったり青色だったりね」

「かえって悪逆であったなら、色は同じでも濁った色になる」

「後は今感じている感情によっても、少しずつ変換するのサ」


 彼女は片手を腰に立てて、教壇で筆を執る教授のように得意気に教えてくれた。その姿は、きっとお世話やお話が好きなタイプなのだろうと思わせた。


「で、キミの魂の色はキレイな青色で、水の加護を得るのに相応しい!」

「ボクらの愛しい彼女は泉の精霊でね」

「ちょうどいいから、キミを精霊にしようと思うんだ」


 どうやらわたしは、新しい世界で精霊として転生するらしい。


「姿に囚われたくない」

「自由に生きたい」

「相手の気持ちを理解したい……」


 代理の神様を名乗る彼女にそう言われて、わたしは身を強ばらせた。


「あ、怖がらないで」

「大丈夫、これはキミのただの願望だろう?」

「別に悪いことじゃあない」

「これは至極当然、すべての人間の理性が司る、脳がしでかしたことなのサ」

「感情は螺旋状に交わり、つまずきながらも前へ前へと現在まで、過去まで続いてゆく」

「簡単が複雑になり、感情が感情を呑み込む……」


 神様が哲学的なことを言い出す。


「おっといけない。ついつい、昔からの悪いクセが」

「赦してくれたまえ」

「とにかくだ。キミには姿に囚われない、自由な存在にしてあげよう」

「水の精霊の幼体……核となる存在かな」


 神様は深い、深い青色をした手のひら大の石をどこからともなく取り出した。ミッドナイトブルーサファイア。その名前に相応しい色をしていたと思う。それは雫の形をしていて、見ているだけで吸い込まれそうになるほど魅力的に映った。

 それに力を注ぐような仕草をしたかと思えば、その深い色はみるみるうちに無色透明へとなっていった。よく見れば、淡い水色を纏っていて、少しばかり煌めいていた。神様の細い腕がプリズムに照らされている。


「うん、いい感じだね」

「さぁ、この石に触れて」

 

 わたしは誘われるようになんの疑いもなくその石に触れた――。


 

わたしは悲劇を辿る運命に落とされた女の子を救ってくれる性別不明ボクッ娘神様が大好き侍と申します。

ドーモ。


ご読了ありがとうございます。

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