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精霊に転生するはずが、なぜかスライムでした ― 泉の精霊だってオシャレがしたい ―  作者: ぺぺ
序幕:カーテンコール

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3/35

1話:されど空の深さを知る

初投稿です。2025 12/15


百合らしいことをするのは11話からになります。

10話までは読まなくてもなんとかなります。


楽しみたい方は5話目までイッキ読みすることをお勧めしています。

そこまで読まないと世界観の把握が難しいと思うので……

じっくり読むほど味がするタイプです。

 ――わたしは空を飛んでいた。

 身体が熱い。そして魂が抜けていくように軽く感じる。

 見えるのはどこまでも透き通った、青い、青い空だ。

 けれど、その空は涙で滲んでいて、ぼやけてしまっている。

 こんなにも美しいものだったかという感動だろうか。否。

 

 なぜ?

 

 なぜだろう。わからない。

 わたしは、わたしの死を受け入れたわけではなかった。けれど、どこかで納得している。

 あぁ、まだまだやりたいことがあったのになぁ。と思う。

 まずひとつは、かわいい服をたくさん作って、たくさん着ること。

 夢に向かって勉強をしている最中だったし、道の半ばで諦めることになってしまったのは少し残念に思う。

 わたしはまだ高校生で、学生だったから殆どは制服だけで過ごしていた。休みの日もバイトをしていたし、基本ひとりで過ごすタイプの人間だったから、友達とお出かけをしてオシャレをするなんてことも少なかった。

 大人になったら、いっぱいオシャレをしようと思っていたのに。もったいなかったかな。こうなるんだったら、もっと遊んで、オシャレをしていればよかったと思う。

 

 あとは旅行もしてみたかった。

 アニメやゲームの聖地、デザインの元となった場所を訪れて、その雰囲気に浸ってみたかった。気の合う友達と一緒に写真を撮りあって、思い出話をする。そんなことをしてみたかった。


 それに加えて、本やグッズも出してみたかった。同人誌でもいい。わたしは陰の者(オタク)だったから、そういうイベントには参加していたし、いつかは自分も作る側になってみたいと思っていた。今だって、自作のアクリルキーホルダーや、ポストカードを作って、同じゲームが好きな友達と交換しあっていた。


 そんな考えが頭を巡る中、けたたましいサイレンの音が遠のいていき、次第に眠くなってくる。空が遮られて、誰かがわたしを呼んでいるような気がする。


 わたしはわたしを眺めていた。

 幽体離脱とでも言うのだろうか。

 空の青さとは裏腹に、わたしは血で赤く染まっていた。


 ――突然のできごとだった。

 いつもの学校、いつもの通学路。

 なんの特別なこともない、普通の一日。

 この日もいつもと変わらない何でもない日を過ごすはずだったんだ。けれど、その幻想は一瞬にして砕け散った。


 車のエンジン音。周りの人たちの(どよ)めき。金属がひしゃげるような音。なんだろう? と振り返ったその次には、わたしは地面に頭を打ち付けていた。

 自動車が歩道へと突っ込んできていたのだ。それはわたしを目掛けて突っ込んで来て、さも容易く吹き飛ばしていた。


 その光景を冷めた気持ちで見下ろしながら、わたしは空高く昇っていった。


 空に溶けていく――。


 そのような感覚だった。段々と身体の形を保てなくなって、空という大海原に消えていくような。


「――神様」

「どうか友達を、家族を……わたしにください……」


 そんな声が聞こえた気がする。

 きっともうダメなのだろうと感じると、わたしは目を閉じて、その浮遊感に身を任せるのだった――。




 

ご読了ありがとうございます!

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