16話:その蝶は花のように
ついに新しい子が出てきましたね!
囲め囲め!
R18版をムーンライトノベルにて先行公開いたしました。
タイトルは
精霊に転生するはずが、なぜかスライムでした。 ― 青い、青い花の園 ―
となっています。
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「――アナタ、弱っちいのネ」
振り返ると、小さなかわいらしいヒトが飛んでいた。半透明なキレイな翅を羽ばたかせて、キラキラと光る砂粒のようなものを纏っていた。
わたしは、わたしが見たお花の間を縫うように進んでいたキラキラした道は、この仔の通った跡なのだと確信した。
「……あなたは?」
わたしは啜り泣きながら、優しい色をしたかわいらしいヒトに問いかけた。すると彼女は頬を膨らまさせて、面白くなさそうにする。
「アラ、さっきから誰かさんのことばかり呼んじゃって」
「まずはアナタからお名前を言うべきじゃなぁい?」
「わたし、リラ」
「そんな簡単に教えてくれちゃうノ?」
「マァいいけど」
「弱っちいリラ、どうして泣いているのン?」
かわいらしいヒトはわたしの周りをくるくると回ってから、頭の上に乗って泣き顔を覗き込むようにした。
「ん……なんでもないの」
「なんでもない仔は泣かないのよ?」
確かにそうだ。誰だって理由もなく泣いたり、怒ったりはしない。
「ひとりになっちゃったから……」
ひとりぼっちは寂しくて、怖い。だから泣いてしまった。漠然とした不安の正体はわかったけれど、その恐ろしさはちっとも変わらなかった。
でも、それを聞いたかわいらしいヒトは意味がわからないと言うように、曖昧に相槌を打った。
「アタシがいるのに?」
「あなた、さっきまでいなかったじゃない」
「ずっといたわよ」
「アナタがアタシを見ようとしなかっただけじゃない」
「アタシたちのお家に勝手に入ってきて、アタシのことを追いかけて、飽きたら泣き出すだなんて」
「もう、失礼しちゃうワ?」
「……違うもん」
うまく言葉にできない。でも、違う。でもでも、わたしが悪いのはわかってる。わかってるのに、否定したくなる。目を背けたくなる。頭の中でぐるぐるとまとまらない考えが溢れかえって、涙となって溢れてきてしまう。
「もう、また泣いちゃうのン?」
「そんなんじゃかわいいお顔が台無しじゃない!」
「ほらほら、泣き止んでちょうだい?」
「もうアタシがいるンだから、ひとりぼっちじゃないでしょう?」
かわいらしいヒトはわたしの額に口付けする。
「ね?」
そう言って、咲う。花のような笑顔がステキで、凍えきった胸の奥がふっと温かくほどけていくような気がした。
涙はまだ頬に残っていたけれど、さっきまでの冷たさはもうなかった。
かわいらしいヒト――名前も知らないそのコは、わたしの頭の上で足をぶらぶらと揺らしながら、そうしているのがまるで当たり前のように微笑んでいた。
「アタシね、弱っちい仔はキライなノ。泣きムシより、笑顔でカワイイ仔がいいわ」
「アナタだって、笑顔の方がカワイイわ。守ってあげたくなるもの。ネ?」
「……守ってくれるの?」
「アラ、当然じゃなぁい? だってアタシ、リラのお友達になってあげたんだもの」
「お友だち……?」
わたしの知っているお友達とは、もっとこう……同じくらいの背丈で、同じくらいの温かさで。お名前を呼び合う存在だと思っていた。
でも、いま頭の上で翅を揺らしているこのかわいらしいヒトも、たしかにお友達なのかもしれないと思った。
「わたし、あなたのお名前をまだ知らないわ……」
「おかしな仔。アタシたちに名前なんてあるわけないじゃない」
「それともリラがアタシに名前をくれるのン?」
「アナタからの贈り物なら、喜んで受け取るわ!」
「ね、愛しいアタシたちのお隣さん」
ステキなお名前を考えてあげたいけれど、わたしにはよく分からないし、自信がなかった。わたしもサフィにお名前を付けてもらうまで、このコと同じなんでもないコだったから。
「わたし……よくわからないから、サフィに付けてもらいましょ」
「わたしのお名前も、サフィがくれたの」
「サフィってアナタがずっと呼んでた仔?」
「リラはあのヘンテコなコがいいのン?」
わたしは頷いて、このコが言ったことを少し考える。サフィがヘンテコってどういう意味だろう。いくら考えても分からなかったので、訊いてみることにした。
「だってあの仔、リラにソックリなのに、精霊じゃないみたいだし」
「でも、確かに精霊みたいな色をしてるし、ヘンテコだわ」
「あんな仔より、アタシと一緒にいましょうよ」
そう言われて、少しムッとする。サフィのことを悪く言われるのは、なんだかモヤモヤしてイヤだった。
「サフィはわたしの大切な家族なの」
「悪く言わないで」
「家族なの?」
「えー、ずるい。いいな、いいな」
「じゃあじゃあ、アタシが一緒に探してあげるから許してちょうだいな」
「そしたらアタシにもお名前をちょうだい?」
「ね? いいでしょ?」
かわいらしいヒトは私の手をとって、甘えるように言う。このコの手はとても小さくて、わたしの指に抱きつくようにしていた。
「サフィを探してくれるの……?」
「そうよ。だから、泣いてる暇なんてないの。リラ、アタシと一緒に来なさい?」
どこに? そう問いかけると、彼女はぱっと空中に浮かび、指先をすっと差し向けた。
そこには、淡い光の帯が揺れているように見えた。少し青い、魔力の跡だ。
もしかしたらさっきまではパニックになっていたせいで見えていなかっただけで、サフィの魔力を辿れば逢えるかもしれない。
「アタシたちのお家の、もっと奥。誰も来たことのない場所ヨ。アナタ、探してるんでしょう? アナタの家族」
「……知ってるの?」
「もちろん。アタシはなんでも知ってるわ。だって、ここはアタシたちのお家よ?」
「風も光も秘密も、ぜ~んぶ聞いてきちゃうンだから」
得意げに言う彼女は、くるりと宙返りしてわたしの目の前に舞い降りる。その翅はまるで本物の花びらみたいに見えた。薄くて、光を透かして、とてもキレイ。
「ねぇ、あなた以外にも、あなたみたいなかわいらしいヒトがいるの?」
このコは「アタシたち」と言う。それなら、他にもいるのかもしれない思った。けれど、返ってきた答えは想像とは違うものだった。
「いいえ? アタシだけよ?」
「でも、このコたちもいるでしょう?」
かわいらしいヒトは手を広げる。
そっか、このコにとってお花たちはお友達で、家族なんだ。と思った。わたしが泉で生まれて泉で過ごすように、このコもこのお花畑で生まれて、お花畑で過ごしてきたのだろう。
「リラ、アナタは弱っちいけど……弱っちいからこそ、守られるだけじゃなくて、誰かを守ってあげなさいな」
「……よくわからない」
「わからなくていいの。行けばわかるワ?」
そう言って彼女は、わたしの手をつかんだ。
小さな手なのに、不思議とぐん、と強く引かれる。
「ほら、泣きムシは卒業して! アタシと行きましょう、リラ!」
涙の跡を風がさらっていく。
わたしは一度だけ振り返る。けれど、もうさっきの不安の影はどこにもなかった。
かわいらしいヒトに導かれて、わたしは光る道の奥へと踏み出した。
その先にサフィがいると信じて――。
わぁ!妖精さんだ!フェアリーですか? ピクシーですか?
みなさんならわかりますよね!
ご読了ありがとうございます!
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