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精霊に転生するはずが、なぜかスライムでした ― 泉の精霊だってオシャレがしたい ―  作者: ぺぺ
第一幕:とある泉でのこと

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7話:眠れない夜

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また、創作をしている方とは積極的に繋がりたいと思っています!仲良くしてくださると嬉しいです♪

 ――お互いに名前をつけ合ったその晩、わたしはとある事実と向き合うことにした。それは……。


 ――まったく、眠くならないっ!


 意識が芽生えてから緊張や興奮で眠くならないのかと思っていたのだけれど、流石に気がついた。

 あれからずっと考え事をしていたし、前世でもそういう日は夜中もずっと意識が残っていることもあった。だから、そういう日だったのだと頭の片隅で感じていた違和感を見ないようにしていた。

 けれど、今はそうもいかない。

 眠気というものを感じない。

 なんとなく、視界を遮って目を休めるような、仮眠のような状態にはなれることがわかった。けれど、ただそれだけだった。


「ベンリダナー」


 わたしは、どこか遠くを見るようにして呟いた。空には満点の星空と、この世界における月が見えていた。


(光も把握できるのね)


 そんなことを思った。色を認識できるってことは、光も認識できるということであることは、当たり前なのかもしれないが、どこか嬉しく感じた。

 

 月は満月に満たない、少し歪んだ形だった。たしか、十三夜の月や小望月と言うんだったか。

 前世の地球のものよりもいくらか大きく、色も鮮やかに見える。いくら見ていても飽きないほどに美しいことが、唯一の救いかもしれない。

 前世では、ドがつくほどの田舎でなければ、満天の星空というものは見ることができなかった。

 それに、わざわざ夜中に出歩くことも、上を向くこともなかったように思う。こうして、落ち着いて夜空を見るのは久しぶりだ。前世の記憶を辿る限り10年近くは、意識することはなかったように思う。このまま一晩中夜空を眺めることもできそうだけれど、それで飽きてしまったらもったいないような気がする。


(――結局ところ、魔力ってなんなんだろう?)


 前世では魔法という存在はなかった。オタクの嗜みとして、魔法や魔術、奇跡や祈りといったものについて、考えたことは幾度もある。

 けれど、それがこの異世界に通じるとは限らない。ゲームの世界のようにステータスウィンドウは見られないし、スキルを発動させるように、技をセレクトすることもできない。

 まだ見ぬ世界に夢は広がっていくけれど、期待しない方がいい気もする。

 ひとまず、魔法が存在することに歓喜しよう。いえーい!


 ……わたしは誰にも聞こえないため息を吐く。

 リラは泉の中で眠っている。

 人型ではなく、水に溶けることもできるそうだ。

 わたしは、彼女を起こさないように、泉から外に向けて魔法の練習を始めた。


 取り敢えずは水に関係する魔法から。

 有名どころで言えばアクアボールとかかな。聞いたことないけど。

 わたしは専ら、ハイドロポンプ! とか言うタイプの人種だったので。

 まぁそんなことは置いといて。

 魔力を練って、水の球を出すことを想像する。そうすると、頭上に今のわたしの等身大位の水の球が、なんの苦労もなく浮いていた。疲労感を感じたり、集中していないと崩れてしまうなんてこともなさそうだった。

 それをそのまま、辺りの草めがけて投げつけてみる。バシャ! という音と共に、狙った場所へと命中する。

 今度は、もう少し遠くを狙って飛ばす。


(そぉれっ!)


 無意識に心の声が出ていた。水の球は弓なりに飛んでいき、無事に狙った場所へと命中した。

 そうやって、段々と狙う場所を遠くにしていった。距離の感覚はよくわからないけれど、視界に収まる範囲、百メートル位は正確に投げられることがわかった。

 遠くに飛ばそうと力を込める……もとい、魔力を込めるほど、その速度も上がることがわかり、最後の方には弾丸と変わらないくらいの威力だった。

 遠くで木がへし折られ、大きな音を立てて倒れるのを見ていたら、少し楽し……怖くなったくらいだ。

 命あるものに向けるときは気を付けようと、わたしは心の中で誓った。

 けれど、前世ではボール投げなんて、二十メートルも飛ばせれば御の字だった貧弱腕力を思い出すと、とんでもない成長である。少し得意気になって、調子に乗ったことくらいは許してほしい。


 次は水を球状から平たくしてみる。いわゆるアクアカッターだとか、水刃だとか言うやつだ。

 感覚はさっきのアクアボールと変わりはない。強く押し出すように意識して、平たくした水を少し空に向かって放つ。動作に問題ないことを確認をして、今度は近くにある木を斬ってみることにした。

 バシュッ! という音と共に、高圧縮された魔法の水が放たれる。

 切れ込みが入ればいいなぁ。くらいの軽い気持ちでやったのがいけなかった。水の刃は次々に木を伐り倒していき、わたしの前方だけ見晴らしが良くなってしまった。

 枝の折れる音が結構うるさい。リラが起きてしまわないか少し心配になってきた。それに、明日の朝、どうやって言い訳をすればいいかもわからない。


「おぉ~……」

 

 ……どうしよっか。自分でも少し引いている。やってしまったものは仕方ないとして、せめてもの救いは、身長の小ささもあって斜め上に放っていたから、あまり大規模な森林伐採になっていないことだろう。

 こういうときは、成行きに任せて何も考えない方が得策と見た。


 次は何をしようかと考える。水系の魔法といえば、なにがあったかな?

 なんとなく、回復系の魔法のイメージがある。後は雨乞い……天候操作の魔法だろうか。

 天候操作といえば、作り込まれたゲームとかではとても上位の魔法だった。少し考えるのならば、簡単に言っても、約十キロメートルの立方体くらいの範囲を自分の支配下に置くということだ。それはもうすごい力がないとできないのは納得できる。


(じゃあちょっとやってみますか!)


 限界を知るためにも、気になったらやるしかないよね!

 わたしは雨が降る様子を想像してみる。

 ――なにも起きない。

 知ってた。何も知らないのに、できる方が怖い。

 魔法を使うときって、魔法陣が浮かび上がるとか、しないのだろうか。そういうことも、まずは知ってからでないと修得できないものなのだろうか。

 

 ――わたしは少し悔しくなったので、空に向かって、最大出力で水を放ち続けた。


「こうすれば天候を操作できずとも雨を降らせることくらいはできるンですよ!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 直径が数メートルもある巨大なみずてっぽうだ。間欠泉のように遥か上空へと打ち上げ続ける。

 今が昼時であれば、立派な虹が空に架かっていたことだろう。

 そして、数分くらい水を放ち続けていたら、流石に疲れてきて、水の威力も弱くなっていった。


「はぁはぁ……」


 わたしは息があがり、なんとなく自分の限界を知る。

 空に放った水が霧雨となって、辺りを湿らせていた。

 自分の身体に収まりきらない量の水を数分間も出し続けるとなると、流石にキツイ。魔力量とかどうなっているんだろう。水がどこから来ているのかも少し気になる。空気中の水分を……というにはあまりにも膨大すぎる量の水を放出したからね。

 まぁ、気にする必要はないかな。だって、魔法だし?

 そういえば、スライムといえば吸収や再生のイメージがあるけれど、わたしも身体の中に様々なものを吸収して、収納とかもできるのだろうか。

 魔法というトンデモ法則があるのなら、そういうものもあってほしい。ご都合主義は嫌いじゃないんだ。

 ――眠くならないのなら、と始めてみた魔法の練習であったが、わたしは眠気に襲われていた。


「流石に疲れた……」

「あぁ……なんか……すごく眠い……」


 泉の畔でぺちゃんこな形になったわたしは、そのまま眠りに就くのだった――。




ご読了ありがとうございます。

いいねや感想をいただけると励みになります。


次回の更新からは昼の12:00に設定させていただこうと思います。

ご了承ください。m(_ _)m

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