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23話:敵地侵入③

「変身」

「変身ッ」

「返・身」


  魔装ゴーレムギアが閃光を放ち、ラスティ、エクシア、デュナメスは装甲に身を包む。その瞬間、戦士の魂が鉄の殻に宿る儀式となる。


 頭上を裂く魔力弾の嵐が、空気を引き裂く。拠点防衛型ハイエンド魔導ゴーレムNo.9ジャスティスの攻撃は、口径の大きな弾丸を連射し、複合魔力装甲を貫く威力だ。直撃は即座に意識を奪う。その破壊力は、この要塞都市の冷酷な意志を体現する鉄の裁きだった。三人は回避に全力を尽くす。


 だが、戦場の空気は、彼らの息を詰まらせる重圧に満ちていた。外壁が粉砕され、硝子の破片が降る。


 地面に身を投じたラスティは、履帯の甲高い音を響かせドリフトするジャスティスを睨む。埃が舞い、視界が霞む。戦場そのものが彼らを飲み込もうとする霧のようだった。


「予想以上だ……!」

「強いわね」

「何か状況を変える手立てを見つけないとジリ貧だぜこりゃあ」


  戦闘開始から二十分以上。

 諜報防諜部門の支援が途絶え、粘れたのは奇跡だ。ジャスティスは盾で攻撃を防ぎ、三本の腕で多角的な攻撃を繰り出す。魔力ガトリングで制圧、魔力バズーカで隠れた敵を仕留める。


 時速七十キロの機動力に、ラスティの装甲では追いつけない。背部の給弾機構でリロードも迅速。ラスティの観察はここまで。巨体を崩すのは至難だ。

 その存在は、この戦場を支配する鉄の巨神のようだった。


「このぉッ!」

「狙い撃つ」


  エクシアの魔力弾乱射、デュナメスの圧縮魔力砲撃が直撃。だが、盾が弾丸を弾き、砲撃は焦げ跡を残すのみ。爆炎を裂き、ジャスティスが迫る。その無慈悲な進撃は、彼らの抵抗を嘲笑うかのようだった。


「駄目、全然効いていない……!」

「あの盾、幾ら何でも硬すぎでしょう!? こっちが何発撃ったと思っているの!?」

「皆、下がるんだ! 足を止めてはいけない!」


 ラスティはエクシアの襟を掴み駆け出す。ジャスティスのガトリングが回転し、重低音が響く。『大空の指輪』から携帯魔力防壁装置を取り出し、投げる。


「エクシア! デュナメス!」

「助かるわ!」

「どうも!」


青白いシールドが展開。弾丸の嵐が地面を爆ぜさせ、ビルに穴を穿つ。破片が降り、シールドが衝撃を弾く。三人は転倒を堪え、走る。その瞬間、戦場の嵐に抗う小さな舟のようだった。


「危ねえなぁ……っ!?」

「これは、そう何度も受けて良い攻撃ではないわね」

「けど、どうするよ……!? こっちの攻撃は全然効かないのに、向こうの攻撃は凄いぜ?」

「まずは路地だ。あの巨体は細い道は追って来れない」


路地へ飛び込む。暗い細道を一列で駆ける。額に冷汗が滲む。闇の迷宮に逃げ込む獲物のようだ。


「全く、こんな強力な伏兵を隠し持っていたとはね、どうやらネフェルト少佐の持ち札はかなり豊富らしい」

「私達が来るのを、予測していたのかしら……?」

「その可能性はあるな」


通信からネフェルトの声。


『その予想は、概ね正しいわ』

「っ、ネフェルト少佐……!」


 ホログラムにネフェルトが映る。その冷ややかな視線は、彼らの心を凍りつかせる刃のようだった。


『本来は別の目的の為に備えていた機体だけれど――敵勢力が正面から仕掛けて来た時点でそれは陽動、敵が二手に分かれる事は予測していたわ』

「っ、やはりか」

「なら、最初から……」

「私達は、少佐の掌の上だった、って事か……?」


ラスティの顔が歪み、エクシアとデュナメスが愕然とする。ネフェルトは全てを読んでいた。怒りと焦りが胸を締め付ける。


 その事実は、彼らの希望を粉砕する冷酷な真実だった。


『後方からの支援も無い、加えてこの場を突破することが出来ない以上、貴女達がジャスティスを突破出来る確率は非常に低い――降伏するなら、今の内よ』

「申し訳ないが、こちらもシャルトルーズを取り戻すまで諦めるわけにはいかない」

『そう……なら、もう少し強めに行くわ』


  進行方向から地面を揺らす走行音。暗闇の先にモノアイが光り、ジャスティスがガトリングを構える。キルゾーンに誘い込まれた。その瞬間、まるで死神の鎌が振り下ろされる予感だった。


『パターン変更――【全力射撃】!』


ジャスティスの攻撃は、この戦場を焼き尽くす嵐のようだった。ラスティ、エクシア、デュナメスは、圧倒的な力の前に立ち尽くす

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