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【悲報】婚約者の病弱な妹は本当に病弱でした。  作者: マンムート


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4/8

4 面倒そうな相手に聞かれてしまいました。


 とう!



 と少女は一声叫び、木からベランダへ飛び移って来た。


「サビーナ・ピントンって名前が聞こえたから」


 ここ2階のベランダだし、わたしらそこまで大きな声で喋ってなかったよね?


「……それで木を登って来たんですの?」


 それは貴族の子女としてはどうよ?


「今日はズボンだったから! ジェリーも怒らないからね!」


 そもそも、なぜ女子なのにズボン佩いてるの?


「ジェリー?」


「あたしの相棒! じゃなかったコンニャクシャ! 下にいるから入ってもらってもいい?」


 え、この場所に、ほかの人間入れるの? なんかいやだ――



「ええ、いいですわよ」



 サラがあっさり言った。


「え」


「じゃあ、今すぐ呼んでくる!」


 貴族の子女らしからぬ素早さで、少女は駆け下りていった。



「いいの?」


「あれは、ヤマザルですわ。婚約者というのは多分、貧乏画家」


 その言葉でピンと来た。


「あれが噂の」



 ヤマザル。貧乏画家。


 それは今年の新入生の中でも、異色な生徒に陰でつけられた綽名のうち二つ。




 辺境伯の娘――しかし、3女で、しかも養女。さらに、氏素性が怪しい平民を拾ってきたらしい。


 だからヤマザル。


 その婚約者は、子爵の4男。


 今は健康らしいが生まれつき病弱で、成人後は辺境伯が持っている爵位のみの男爵位を貰うらしい。


 画家の卵らしい。だから貧乏画家。




 このふたりがくっついたとて、卒業後、大した力をもつとは考えられない。



 これが、一般的な辺境伯と子爵家の婚姻なら、話題にさえならない。


 継承権もなければ、選良の血筋でもない者どうし、お貴族的な見方からすればゴミや虫けらどうしの婚約。話題になったとしても嘲笑混じりか侮蔑か憐憫でだろう。




 まぁ……わたしは人のことをどうこう言える血筋じゃあないけどね。



 だけど、あのふたりは、


「……アレって触らぬ神に祟りなし案件だよね?」


「そうですわ。あくまで噂ですけど、あのふたりにちょっかいを出した侯爵家の不良三男坊、四男坊の愚連隊がふたつばかり、合法的に処分されたとか」


 いくら三男四男とはいえ、侯爵家の係累が法律通りに処分されたとしたら……背後に何があったのやら。


「それヤバイじゃん」


「ヤバイですわね。ですけど……もし、あのヤマザ、おほん、彼女の言葉が本当なら貴重な機会が手に入るかもしれませんわ」


「確かに……どういう友達なのか話を聞いてみるしかないか……」



 なんか、面倒くさいことになりそうな予感。


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