表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/52

第45話:佐伯の葛藤、高橋の策略


東京の地下深く。 管理局のシェルターに、高橋からの通信が届いた。 佐伯は、無線機から聞こえるその声に、不信と警戒心を抱きながらも、その言葉に耳を傾けていた。 高橋からの共闘の提案。

「高橋、貴様はあの魔王の元にいるのだろう!」 佐伯が無線機に向かって叫んだ。 彼の声には、裏切り者への怒りが混じる。 「何が目的だ!我々を騙そうとしているのか!」

「佐伯、落ち着け。君たちの置かれている状況は理解している」 高橋の声は、冷静だ。 「だが、あの魔王に対抗するには、君たちの力が必要だ。そして、君たちも私の知識が必要だろう」 合理的な提案だ。

佐伯は、無線機を握りしめ、沈黙した。 彼の脳裏には、レグナの圧倒的な力が蘇る。 都庁を容易く変貌させた、あの絶望的な光景。 彼らの力だけでは、あの魔王には到底及ばない。

高橋は、佐伯の葛藤を見透かしているかのように続けた。 「あの魔王は、魔核を完全に掌握した。東京は既に、彼の魔力で塗り替えられている」 高橋は、現在の状況を淡々と語る。 「君たちの偵察ドローンが捉えた映像では、全てを把握できていないだろう」

佐伯の表情が、一瞬強張る。 高橋の言葉は、彼の情報網を正確に把握している。 それが、佐伯の警戒心をわずかに揺るがせた。 「何が言いたい」

「あの魔王の目的は、この世界の支配だ。単純な破壊ではない」 高橋が言った。 「彼は、この世界を、彼自身の意のままに作り変えようとしている」 レグナの真の目的。

佐伯は、高橋の言葉に衝撃を受けた。 ただの魔物とは違う。 「支配だと……?」 彼の声は、わずかに震える。

「そうだ。そして、彼は、我々人類の存在を、その支配の駒として利用しようとしている」 高橋は続けた。 「君たちが彼に抗うならば、彼は君たちを徹底的に排除するだろう」 現実を突きつける。

佐伯の脳裏で、葛藤が渦巻く。 レグナへの憎悪。 管理局の使命。 そして、この世界を救うという信念。

だが、今の彼らに、レグナに正面から対抗する力はない。 このままでは、ただ滅ぼされるだけだ。 高橋の言う通り、彼らの知識と技術がなければ、状況を打破できない。 彼は、選択を迫られている。

「なぜ、貴様は奴の元にいる」 佐伯が問うた。 彼の声には、まだ疑念が残る。 高橋は、レグナの支配を受け入れたように見える。

「私は、この状況下で、最も合理的な選択をしたまでだ」 高橋は冷静に答えた。 「君たちも同じだろう。生き残るために、そして、あの魔王の支配をどうにかするために」 佐伯の深層心理を突く。

佐伯は、目を閉じた。 高橋の言葉は、彼の心を揺さぶる。 彼は、確かにレグナを憎んでいる。 だが、それ以上に、この世界が完全に破壊されることを恐れている。

「貴様は、あの魔王の真の目的を知っているのか?」 佐伯が問うた。 「そして、彼の力の性質も」 それは、彼らが最も知りたい情報だ。

「ああ、知っている。魔核の番人の真実もな」 高橋は躊躇なく答えた。 「魔核の番人は、この世界の均衡を保つための存在だった。魔核が異界の門を完全に開放しないように、その力を抑制していた」 番人の真実。

佐伯は、その言葉に、息をのんだ。 彼らは、番人をただの強大な魔物だと認識していた。 高橋からの情報が、彼らの認識を根本から覆していく。 「まさか……」

「魔核を完全に掌握したことで、異界の門は完全に開放された」 高橋は続けた。 「今、東京は、異界の瘴気に染まり、人々は変貌している」 冷徹な事実。

佐伯は、高橋の言葉に、絶望的な面持ちになった。 彼らが何を守ろうとしていたのか。 それは、既に手遅れなのか。 彼の心に、暗い影が落ちる。

「だが、まだ希望はある」 高橋が言った。 佐伯は、ハッと顔を上げた。 高橋の言葉に、わずかな光を見出したのだ。

「あの魔王は、まだこの世界の全てを把握しているわけではない」 高橋は続けた。 「彼の魔力は圧倒的だが、その支配はまだ始まったばかりだ」 隙がある。

「そして、私は、彼の力の性質や、彼の行動原理を分析し続けている」 高橋は言った。 「君たちの持つ技術と、私の知識が合わされば、あの魔王に対抗する術を見つけ出せるかもしれない」 協力することのメリット。

佐伯は、無線機を強く握りしめた。 レグナを倒す。 その一点において、高橋と彼の目的は一致する。 たとえ、高橋がかつての裏切り者であったとしても。

「……信じる理由はないが……」 佐伯が、ゆっくりと口を開いた。 「他に、選択肢もない」 苦渋の決断だ。

「高橋。具体的な計画を提示しろ」 佐伯の声は、まだ冷たい。 だが、その言葉には、協力関係を築こうとする意志が明確に含まれていた。 新たな抵抗の始まり。

俺は、高橋の行動を察知していた。 彼が管理局の残党と接触したことも、彼らが俺に抵抗しようとしていることも。 彼らの動きは、俺の掌の上にある。 愚かな抵抗だ。

だが、この協力関係が、俺の支配に新たな脅威をもたらす可能性も否定できない。 高橋の智謀と、管理局の技術。 そして、彼らがこの世界を救おうとする執念。 それは、無視できない要素だ。

しかし、俺の力は今や全てを凌駕する。 どんな抵抗も、俺の支配の前に、無力だ。 彼らの蠢く思惑も、やがて俺の掌で踊らされるだろう。 俺の支配は、誰にも阻むことはできない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ