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第40話:聖なる結界、消えゆく希望


魔核を掌握した俺の魔力は、東京全体を覆い尽くした。 街は異界の姿へと変貌し、人々は絶叫する。 異形と化した者。 新たな能力に目覚め、混乱する者。 すべてが俺の支配下にある。

その光景を、サラは悲痛な面持ちで見上げていた。 彼女の目は、涙で潤んでいる。 人々が苦しみ、街が破壊されていく。 聖女として、彼女はそれを許せない。

「こんなこと……私が止めないと……!」 サラが呟いた。 その声は、震えている。 彼女の体は、マラとの戦い、そしてユウキの精神安定で、既に限界を超えていた。

高橋がサラの肩に手を置く。 「サラ、無理だ!君の力は、まだ回復していない!」 高橋が止める。 彼の顔には、諦めと、そして無力感が滲む。

ユウキも怯えた顔で、サラを見つめている。 彼の感知能力は、東京を覆う俺の魔力を鮮明に捉えている。 それは、サラの聖なる光を遥かに凌駕する、圧倒的な力だ。 彼には、サラの行動が無謀に思えた。

だが、サラの決意は揺るがなかった。 彼女は、高橋の手を振りほどく。 「私が聖女として、この世界を救うのが使命だから!」 彼女の言葉は、強い意志に満ちていた。

サラは両手を広げる。 その体から、微かな光が放たれた。 その光は、まるで燃え盛る小さな炎のように、か弱く、しかし力強く輝いている。 彼女の残された、全ての聖なる力だ。

光は、ゆっくりと広がり始める。 東京を覆う俺の漆黒の魔力に対抗するように、白い光が上昇していく。 それは、かつてマラの瘴気を浄化した、聖なる結界の力。 彼女は、この広大な東京を、その結界で守ろうとしているのだ。

「サラ……!」 高橋が、絶望的な面持ちでその光景を見上げていた。 彼の目には、悲しみと、そして、かすかな希望が混じっていた。 彼女の行動は、無謀ではあるが、尊い。

ユウキもまた、サラの放つ光に、目を見張っていた。 彼の感知能力は、その光が、どれほどか弱いものかを知っている。 それでも、彼はサラの放つ光に、心を揺さぶられている。 それは、純粋な希望の光だ。

サラの聖なる光は、東京の空で、俺の魔力と衝突する。 白い光が、漆黒の闇に飲み込まれまいと、必死に抗っている。 その光景は、まるで、小さな星が、巨大な暗黒に挑むかのようだ。 圧倒的な力の差。

結界は、かろうじて東京の一部を覆い隠す。 その結界の内側では、魔力の影響がわずかに弱まる。 異形化が止まり、人々は一時的に安堵の息を漏らす。 だが、それは一時的なものに過ぎない。

俺は、その光景を冷徹な視線で見下ろしていた。 愚かな人間め。 貴様ごときが、俺の支配を阻めるものか。 俺の魔力は、無限だ。

俺は、魔核からさらに魔力を引き出す。 漆黒の魔力が、天を覆い尽くす。 その魔力は、サラの聖なる結界を押し潰すように、重くのしかかる。 結界が、軋みを上げる。

サラの体は、激しく震えている。 彼女の顔からは、血の気が完全に失われている。 呼吸は荒く、その体は、今にも崩れ落ちそうだ。 限界を超えている。

「くっ……うぅ……!」 サラは苦痛に呻く。 だが、それでも、彼女は聖なる光を放ち続ける。 人々の悲鳴と、街の変貌が、彼女の使命感を掻き立てる。

「サラ、もうやめてくれ!」 高橋が叫んだ。 彼の声は、絶望に満ちている。 彼女がこのままでは、命を落とす。

ユウキの目からは、涙が溢れている。 彼は、サラの苦痛を感じ取っている。 そして、彼女の諦めない心を感じ取っている。 彼の小さな体は、悲しみに震える。

俺の魔力が、さらに増幅する。 サラの聖なる結界は、もう耐えきれない。 結界が、ガラスが砕けるように、パリィン!と音を立てて崩壊した。 白い光が、漆黒の闇に完全に飲み込まれる。

サラの体は、光を失い、その場に力尽きて倒れ込んだ。 彼女の目には、絶望と、そして、最後まで人々を救えなかった悔しさが浮かんでいた。 意識が遠のいていく。 彼女の聖なる光は、完全に消え去った。

高橋が、倒れたサラへと駆け寄る。 彼の顔は、絶望に染まっている。 「サラ!サラ!」 彼の声は、悲痛な叫びだ。

ユウキは、その光景を目の当たりにし、座り込んでしまった。 彼の目から、涙が止まらない。 彼は、希望の光が消え去る瞬間を見たのだ。 彼の心に、深い傷が刻まれる。

俺は、その光景を冷徹に見下ろしていた。 愚かな人間どもが。 無駄な抵抗だ。 俺の支配に、抗うことなどできない。

東京は、今、完全に俺の魔力に覆われている。 街の変貌はさらに進み、異界の瘴気が充満していく。 人々の悲鳴は、絶望の叫びへと変わる。 聖なる光は消え去り、希望は潰えた。

これで、俺の支配を阻むものは、何もない。 聖女の抵抗も、愚かな管理局も。 全てが俺の前にひれ伏す。 東京は、今、真の魔王の城と化した。



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