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第33話:聖なる光の共鳴、サラの真の力


マラは消滅した。 ユウキの感知能力も覚醒した。 皇居地下の空間は、まだマラの瘴気残滓に満ちている。 しかし、その瘴気の中、魔核は静かに輝きを放っていた。

サラは、ユウキの傍らに座り、疲れた顔で呼吸を整えていた。 彼女の聖なる光は、ユウキの精神を安定させるために、その力を使い果たしたようだ。 だが、その表情には、どこか安堵の色が見える。 仲間を助けられた喜びか。

俺は魔核へと視線を向けた。 その膨大な魔力。 完全に掌握すれば、俺の支配は盤石となる。 だが、その前に、この空間を浄化する必要がある。

マラの瘴気残滓は、この空間に澱み、微細な魔物を生み出し続けている。 目に見えないほど小さな泥魔や影の眷属の残滓。 それらが、かすかに蠢いている。 ユウキの覚醒した感知能力が、それを捉えている。

「まだ…冷たい感じがする」 ユウキが呟いた。 「すごく小さいけど、たくさんいる…」 彼の言葉は正確だ。

高橋も周囲を見渡す。 「マラの瘴気が、まだ残っているな」 高橋が言った。 「このままでは、また新たな魔物を生み出し続けるだろう」 対処が必要だ。

俺は魔力を集中し、広範囲に漆黒の波動を放つ。 微細な魔物を一掃しようと試みる。 だが、波動は、瘴気の奥に隠れた魔物に届かない。 完全に消滅させるのは難しい。

その時、サラがゆっくりと立ち上がった。 彼女の体から、微かな光が放たれる。 それは、以前の輝きとは違う。 より深く、そして澄んだ光。

「聖なる光よ……」 サラが呟いた。 彼女は両手を広げる。 その光は、この高濃度の瘴気に呼応するように、激しく脈動し始めた。

サラの周囲に、白い光の渦が生まれる。 光は、まるで生きているかのように、瘴気を吸い込んでいく。 彼女の聖なる力が、瘴気を浄化しているのだ。 それは、以前には見られなかった現象だ。

「まさか……」 高橋が息をのんだ。 「瘴気を直接、浄化しているのか!?」 驚きを隠せない様子だ。

光の渦は、徐々に大きくなっていく。 空間を覆い尽くすほどの白い輝き。 マラの瘴気残滓が、光に触れるたびに、音もなく消滅していく。 まるで、存在そのものが否定されるかのようだ。

微細な魔物たちも、光に触れた瞬間に光の粒となって消滅する。 抵抗する間もなく、浄化されていく。 サラの聖なる光は、以前とは比べ物にならないほど強力になっている。 それは、聖女の真の力。

「すごい……」 ユウキが呟いた。 彼の目には、畏敬の念が宿っている。 サラの放つ光は、彼の感知能力をも圧倒しているようだ。

高橋は、サラの力を目の当たりにし、言葉を失っている。 「これこそが、聖女の真の力……」 高橋が震える声で言った。 「全ての負の感情、そして異界の存在を浄化する力だ」

サラの顔には、疲労の色が濃い。 だが、その目には、強い決意と、どこか神聖な輝きが見える。 彼女は、自身の力を完全に覚醒させたのだ。 聖女としての使命を全うしようとしている。

俺はサラを見ていた。 彼女の力は、たしかに俺の支配に不可欠な要素だ。 魔物を浄化する力。 この世界の活気を回復させる力。

俺の魔力は、破壊と支配の力だ。 だが、サラの聖なる力は、浄化と回復の力。 二つの力が合わされば、この世界を完璧に支配できる。 活気を奪う魔物を排除し、活気を回復させ、そして俺が支配する。

「貴様の力は、俺の支配に必要だ」 俺は言い放った。 サラは、俺の言葉を聞いて、小さく頷いた。 彼女の光は、さらに強まる。

サラの放つ聖なる光は、最終的に皇居地下全体を覆い尽くした。 瘴気は完全に浄化された。 空気は澄み渡り、魔核は本来の輝きを放っている。 まるで、別の空間になったかのようだ。

光が収束し、サラはゆっくりと手を下ろす。 彼女の体は限界だ。 だが、彼女の顔には、確かな達成感が見える。 自身の力を完全に使いこなした満足感か。

「サラ……大丈夫か?」 高橋が駆け寄る。 サラは小さく微笑んだ。 「ええ……少し、疲れただけ」

彼女は、聖なる力を完全に解放した代償として、一時的に力を失ったようだ。 疲労困憊で、その場に倒れ込んだ。 高橋が優しく彼女を支える。 ユウキも心配そうにサラを見つめる。

俺は魔核へと近づいた。 周囲の瘴気は完全に消え去っている。 魔核は、圧倒的な魔力を放ちながら、俺を待っているかのようだ。 俺の支配の始まり。

高橋はサラを抱きかかえ、俺の隣に立つ。 「これで、魔核の番人との戦いになる」 高橋が言った。 「サラの聖なる光で、番人の瘴気を浄化できたかもしれないが……」 警戒は怠らない。

ユウキの感知能力も、魔核の番人の存在を明確に捉えている。 「冷たい感じが、すごく強い……」 ユウキが震える声で言った。 「でも、淀みが見える……レグナ様、あそこです」

ユウキが指差す先。 魔核のすぐ近くに、かすかな魔力の淀みが見える。 それが、番人の核であり、弱点だ。 ユウキの覚醒した感知能力は、まさに計り知れない。

聖女の真の力。 ユウキの覚醒した感知能力。 そして、俺の魔王の力。 全てが揃った。

俺は魔核の番人へと視線を向けた。 この世界の命運を決める最終決戦が、今、始まろうとしている。 俺の支配への道は、誰も阻むことはできない。



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