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第29話:高橋の過去の因縁


皇居地下。 広大な空間は、異界の瘴気に満ちていた。 その中心に、巨大なマラが蠢いている。 そして、その奥には、微かに輝く魔核。

しかし、マラだけではない。 空間の隅に、人型の影が潜んでいる。 俺が以前感じた、監視者たちの気配。 彼らもまた、この場所へとたどり着いた。

「高橋、あれは…」 サラが声を潜めた。 高橋の顔は、かつてないほど険しい。 彼の目に、憎悪にも似た感情が浮かぶ。

「やはり来たか…管理局の残党ども」 高橋が呟いた。 その言葉に、サラとユウキが驚いた顔をする。 管理局。彼らの正体だ。

影はゆっくりと姿を現す。 漆黒の戦闘服。 顔には不気味なマスク。 背中には、特殊な装置を背負っている。

「高橋先生…彼らって?」 ユウキが震える声で尋ねる。 高橋は声を潜め、説明を始めた。 「彼らは、かつて私が所属していた異界研究機関の裏組織だ」

「政府の管理下にはない」 高橋は続けた。 「異界の力を『管理』し、利用することを目論んでいる」 彼らの目的。

「利用?」 サラが眉をひそめた。 高橋は頷いた。 「そうだ。異界の魔物、そして…君のような特別な力を持つ者も」

彼の言葉に、サラは身震いした。 彼女の聖なる力も、彼らのターゲットなのか。 ユウキも怯えている。 彼の感知能力も、彼らにとっては価値がある。

「私は彼らのやり方に異を唱え、機関を離れた」 高橋は言った。 彼の声には、過去の苦い経験が滲む。 「彼らは力ずくで異界を支配し、この世界を管理しようとしている」

「その目的のために、非人道的な研究も行っている」 高橋は続けた。 「魔物を捕獲し、解析する。そして、人間の能力者をも…」 彼の言葉は重い。

俺は管理局の存在を、自身の支配を阻む障害として認識した。 俺がこの世界を支配するのだ。 彼らがこの世界を管理するなど、許されない。 愚かな人間どもめ。

「貴様ら、何しに来た?」 俺は管理局の影たちに問いかけた。 彼らは答えない。 ただ、そのマスクの奥から、冷たい視線を感じる。

その中の一体が、ゆっくりと歩み出た。 彼の背中の装置が微かに光る。 「黒須レグナ…貴様の力、解析させてもらった」 電子的な声。

「我々の管理下に置かれれば、この世界はより安定する」 監視者は続けた。 「貴様の圧倒的な魔力も、我々が有効活用できる」 傲慢な言葉。

俺は嗤った。 「愚か者め。俺の力は、貴様らのごとき凡庸な人間が扱えるものではない」 俺は言い放った。 管理局の影たちが、一斉に臨戦態勢に入る。

マラが管理局の動きに反応する。 巨大な体を震わせ、威嚇する。 三つ巴の戦いが、刻一刻と迫る。 緊張が走る。

高橋が俺の隣に立つ。 彼の顔には、強い覚悟が見える。 「彼らは厄介だ。魔物との戦闘中に、隙を突いてくる」 彼の警告だ。

「貴様は、奴らの技術を熟知しているな」 俺は言った。 高橋は頷いた。 「私の知識は、彼らに対抗する上で役立つだろう」

「高橋先生の言う通り、彼らは本当に危険です」 ユウキが言った。 「冷たい感じが、すごく不気味」 彼の感知が、彼らの本質を捉えている。

サラは聖なる力を掌に凝縮させている。 彼女は管理局の存在に、嫌悪感を抱いているようだ。 「彼らは、聖なる力も利用しようとするの?」 彼女が問う。

高橋は頷いた。 「聖女の力は、彼らにとっては垂涎の的だ」 「君の力も、彼らが管理したがっている」 サラは顔を曇らせた。

管理局の影たちが、マラへと向かって装置を構えた。 彼らの狙いは、マラを捕獲することか。 あるいは、マラを倒し、その力を利用することか。 どちらにせよ、彼らは邪魔だ。

マラが咆哮を上げる。 瘴気が空間に充満する。 管理局の影たちは、その瘴気をものともしない。 特殊な装備で身を守っている。

「先に奴らを排除するか」 俺は呟いた。 高橋が首を振った。 「いや、まずはマラだ。奴が魔核に到達すれば、全てが終わる」

「管理局は、マラを倒すことにも貢献するだろう」 高橋は続けた。 「その隙を突いて、マラの力を利用しようと画策しているはずだ」 彼の分析は正確だ。

俺は頷いた。 まずはマラ。 そして、管理局。 全てを排除する。

俺はマラへと意識を集中させる。 マラの巨大な体が、ゆっくりと魔核へと近づいている。 その体から放たれる魔力は、以前とは比べ物にならない。 遥かに強力になっている。

「マラの魔力は、魔核から漏れ出す力を吸収している」 高橋が言った。 「自己強化しているんだ。このままでは、手がつけられなくなる」 時間がない。

俺は魔力を全身に巡らせる。 魔王の力が、体内で脈動する。 マラの強化は、俺にとっても望むところだ。 より強い敵を倒し、より多くの瘴気結晶を吸収する。

管理局の影たちが、マラへと一斉に攻撃を開始する。 彼らの装置から、特殊な光線が放たれる。 光線はマラの体を貫くが、即座に再生される。 完全には効かないようだ。

マラが管理局の影たちへと触手を伸ばす。 触手が影たちを捕らえる。 そのまま、マラの体内に取り込もうとする。 だが、影たちは特殊な障壁を展開し、それを防ぐ。

「やはり、一筋縄ではいかないな」 俺は呟いた。 高橋が頷く。 「彼らは、魔物との戦闘に慣れている」

サラは聖なる光を準備する。 ユウキは周囲の気配を研ぎ澄ませる。 俺たちは、三つ巴の戦いへと身を投じる。 皇居地下。

この戦いは、この世界の命運を決める。 そして、俺の支配への道のりを決定づける。 管理局。 マラ。 全てを打ち破り、魔核を掌握する。

俺はマラへと向かって駆ける。 漆黒の魔力が、空間を震わせる。 高橋の過去の因縁。 それが、今、俺たちの目の前で、現実の脅威となる。



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