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第25話:地下深くからの響き


メディアの報道が不穏な影を落とす。 街の活気は失われ続ける。 俺たちは高橋の指示に従い、魔物の迎撃を続ける。 戦闘は日常となった。

ある日の夜。 高橋からの緊急招集。 いつもの倉庫に集まる。 ユウキの顔色は、今までで一番悪い。

彼の全身が震えている。 呼吸も荒い。 「ユウキ、どうした?」 サラが心配そうに声をかける。

ユウキは言葉にならない呻き声を上げた。 彼の目が虚空を見つめる。 その視線の先には、何か巨大なものが存在するかのようだ。 強烈な恐怖。

高橋がユウキの肩を掴んだ。 「落ち着け、ユウキ君。何が見える?」 高橋の声は冷静だが、その目には緊張が走る。 ただ事ではない。

ユウキは絞り出すような声で言った。 「冷たい感じが……すごく、大きくなってる」 彼の声は震える。 「地の底から、響いてくる」

「今までとは違う……」 ユウキが続けた。 「マラの魔力に似てる。でも、もっと……もっと重い」 上位の存在。

高橋の顔色が、さらに険しくなる。 彼は地図を広げた。 「反応の中心はどこだ?」 高橋が問うた。

ユウキは震える指で、地図のある一点を指差した。 それは、東京の中心部。 皇居の地下。 都市の中心だ。

「まさか……」 高橋が呟いた。 「魔核に、直接狙いを定めてきたのか」 彼の声には、絶望にも似た響きがあった。

「マラは、魔核を直接狙っているのか?」 俺は問うた。 高橋は頷いた。 「その可能性が高い。地下深くに、新たな『亀裂』が開いたのかもしれない」

魔核。 東京の地下に眠る、この世界の魔力の源。 それを支配できれば。 俺の力は完全に覚醒する。

「活気の減少も、それが原因か」 サラが言った。 高橋は頷いた。 「そうだ。より大きな魔物が、より多くの活気を吸い取っている」

学園の生徒たちも、疲労の色が濃い。 街を行く人々も、表情が暗い。 都市全体の活力が、急速に失われている。 結界は限界に近い。

「このままでは、結界が崩壊する」 高橋が言った。 「そうなれば、東京は異界の魔物に飲み込まれる」 最悪の事態。

俺の胸が高鳴る。 闘志が湧き上がる。 マラが本気を出してきたか。 望むところだ。

「俺が行く」 俺は言った。 「奴を叩き潰し、魔核を掌握する」 俺の目的は明確だ。

高橋が俺を見た。 彼の目には、警戒と、そして希望が混在していた。 「それは…危険すぎる」 高橋が反論する。

「マラは以前よりも遥かに強力になっているだろう」 高橋は続けた。 「そして、魔核の近くには、さらに強大な番人がいるかもしれない」 未知の脅威。

「それに、皇居の地下は、一般人が立ち入れない場所だ」 高橋が言った。 「政府の最高機密施設が集中している。警備も厳重だ」 新たな障害。

だが、俺は構わない。 目の前に獲物がある。 それを逃すわけにはいかない。 「邪魔する者は全て排除する」

サラは俺の横に立つ。 彼女の目は決意を宿している。 「私も行くわ」 聖女としての覚悟。

ユウキはまだ震えている。 だが、彼の目には、わずかながら好奇心も見えた。 恐怖を超えようとしている。 彼の感知能力は、この戦いの鍵となる。

「ユウキ、貴様の感知がなければ、そこへはたどり着けない」 俺は言った。 ユウキは震えながらも、頷いた。 「俺……頑張ります」

高橋は長い息を吐いた。 彼の顔には、諦めにも似た表情が浮かぶ。 「分かった。私も同行する」 彼の使命感だ。

「だが、無謀な行動は許さない」 高橋は続けた。 「魔核の番人、そして政府の警備。全てを考慮して動く」 慎重な男だ。

俺は頷いた。 彼の知識は必要だ。 この世界の構造。 政府の動向。

高橋は、皇居の地下にあるとされる、秘密の通路の情報を話し始めた。 かつて、異界の研究機関が利用していたという通路。 それは、極秘裏に存在し、一般人には知られていない。 彼が持つ隠された情報。

「この通路を使えば、警備を突破できる可能性がある」 高橋が言った。 「だが、そこは魔物の巣窟となっているかもしれない」 危険な道だ。

俺は構わない。 どのような障害があろうと、乗り越えるだけだ。 魔核。 それは俺の力を完全に覚醒させる。

翌日。 皇居周辺の厳重な警備を偵察する。 高橋の知識は正確だ。 監視カメラの位置。警備員の巡回ルート。

誰も気づかない地下深くで。 この世界の運命を決める戦いが始まろうとしている。 人々の活力が失われていく東京。 その中心で、魔王レグナの咆哮が響く時が近づいていた。



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