第24話:メディアの動向、隠された真実
ユウキの覚悟は、チームに新たな力をもたらした。 彼の感知能力は、さらに研ぎ澄まされている。 俺たちは高橋の戦術に従い、東京各地の魔物を排除し続けた。 激しい戦いの日々が続く。
しかし、異変は隠しきれなくなっていた。 テレビのニュース番組。 インターネットのニュースサイト。 奇妙な事件が報じられ始める。
「都内で相次ぐ不審死、関連性なしと発表」 ニュースキャスターの声が響く。 画面には、立ち入り禁止のテープが張られたビルの映像。 活気が失われた場所だ。
「渋谷の地下駐車場で大規模な停電、原因不明」 別のニュースが続く。 それは俺たちが影の眷属と戦った場所だ。 政府の隠蔽工作。
高橋は、こうした報道を常にチェックしていた。 彼の顔は険しい。 「政府は、異変の情報を隠蔽している」 高橋が言った。
「パニックを防ぐためか」 俺は問うた。 高橋は頷いた。 「そうだ。だが、隠しきれるものではない」
サラは不安そうな顔でニュースを見ていた。 「みんな、何も知らないまま……」 彼女の声は悲しげだ。 善良な一般市民。
ユウキは震える手でスマートフォンを操作する。 インターネットの掲示板。 「やばい、最近街がガチで変。霊的なやつ?」 「夜中に変な音がする」 一部の人間は異変に気づき始めている。
「オカルトのせいだと思っている者もいる」 高橋が言った。 「政府は、それを利用して情報を操作している」 巧妙な手段だ。
高橋自身も、過去に政府機関で働いていた経験がある。 異界に関する研究機関。 彼は、その時の知識とコネクションを使って、情報操作を行っている。 俺たちの活動を隠すためだ。
「これ以上、異変が続けば、隠しきれなくなる」 高橋は言った。 「都市の活気の低下は、人々の感情に影響を及ぼし始めている」 目に見えない影響。
街には、疲労感が漂う。 人々の顔には、笑顔が少ない。 些細なことで苛立ち、争う場面も増えている。 精神的な浸食。
俺は苛立ちを感じた。 支配する世界が、静かに蝕まれている。 愚かな統治機構だ。 真実を隠蔽し、事態を悪化させている。
「統治者として、失格だな」 俺は呟いた。 高橋が俺を見た。 彼の目に、微かな驚きが浮かぶ。
「君は、この世界の統治について、そこまで考えているのか」 高橋が問う。 「支配する者として当然だ」 俺は答えた。
高橋は複雑な表情をした。 彼の「守る」という概念と、俺の「支配」という概念。 相容れない。 だが、今は共通の敵がある。
「政府は、私たちの存在には気づいていないのか?」 サラが尋ねた。 高橋は首を振った。 「おそらく、気づいてはいない。だが、私個人の行動は監視されている可能性が高い」
彼は元政府の人間だ。 警戒されて当然だろう。 俺たちの活動が露見すれば、政府の介入を招く。 それは厄介だ。
「彼らが介入すれば、事態はさらに複雑になる」 高橋は言った。 「魔物との戦いだけでなく、政府との駆け引きも必要になる」 厄介な存在。
俺は考える。 この世界の統治機構は脆弱だ。 俺が支配すれば、もっと効率的に動かせる。 魔物の侵攻など、すぐに鎮圧できるだろう。
だが、今は時期ではない。 俺の力はまだ完全ではない。 そして、この世界の人間たちの協力が必要だ。 高橋の知識とサラの力。ユウキの感知。
「政府が動き出す前に、異変を鎮圧する必要がある」 俺は言った。 高橋は頷いた。 それが、彼の望みでもあった。
「しかし、魔物の数は増え続けている」 高橋は続けた。 「それに、より強力な魔物が現れる兆候もある」 マラの再生。
ユウキがスマートフォンを見つめていた。 「インターネットで、また変な話が広まってる」 ユウキが呟く。 「東京タワーの近くで、空が歪んで見えるって……」
高橋の顔色が変わった。 「それは…『空間の歪み』だ」 高橋の声は震えている。 「異界の門が、さらに安定しつつある」
空間の歪み。 異界の門が、地上に出現する可能性がある。 それは、これまでとは比較にならない大規模な侵略の前兆だ。 東京の中心。
俺の胸が高鳴る。 いよいよか。 より大規模な戦い。 より多くの瘴気結晶。
「そこへ向かう」 俺は言った。 高橋は俺を見た。 彼の目に、強い警戒と、そして諦めにも似た感情が見える。
「危険だ。まだ準備が整っていない」 高橋が反論する。 「しかし、奴らは待ってくれない」 俺は言い放つ。
サラも決意の表情を見せる。 ユウキは震えながらも、俺たちに続く。 メディアが報じる不審な事件。 その裏で、東京は、未曾有の危機に瀕していた。
そして、その中心で、魔王レグナの新たな支配への戦いが加速する。 誰も知らない真実が、東京の闇に隠されている。




