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第20話:新たな異形、適応と進化


泥の王を倒して数日。 地下水道の活動は沈静化した。 だが、安心はできない。 異界の侵略は止まらない。

高橋の通信機が鳴る。 今度は渋谷の地下駐車場だ。 「活気の減少が報告されているエリアだ」 高橋の声は冷静だ。

ユウキの感知もそれを裏付ける。 「冷たい感じが、今までとは違う」 ユウキが呟く。 「もっと、ねっとりした……」

俺たちは指定された地下駐車場へ向かった。 人気は少ない。 車がまばらに停まっている。 静寂が不気味だ。

ユウキの指示で、駐車場の奥へ進む。 照明が届かない薄暗いエリア。 その中央に、奇妙なものが蠢いていた。 泥魔ではない。

それは黒い粘液の塊だった。 不定形。 人の形を模している。 ゆっくりと体を震わせる。

その塊から、突然、鋭い触手が飛び出した。 まるで生き物のように蠢く。 「これは、『影の眷属』だ」 高橋が言った。

「泥魔よりも知性が高い」 高橋は続けた。 「光を嫌い、闇に紛れる。そして、獲物の精神を蝕む」 厄介な能力だ。

影の眷属は音もなく移動する。 駐車場の柱の影に溶け込む。 姿が見えなくなる。 気配も薄い。

「ユウキ!位置を正確に!」 高橋が叫んだ。 ユウキは震えながらも、目を閉じ、集中する。 彼の感知能力が頼りだ。

「右前方、柱の裏……三体!」 ユウキが叫んだ。 その瞬間、柱の影から影の眷属が飛び出した。 狙いはサラとユウキだ。

サラが素早く聖なる光を放つ。 光が影の眷属を怯ませる。 影の体がわずかに揺らぐ。 しかし消滅しない。

高橋が影の眷属の一体へと突進した。 棒が閃く。 だが、影の眷属は体を液体のように変化させ、攻撃をかわす。 物理攻撃が効きにくい。

俺は魔力を集中する。 漆黒の光が掌に凝縮される。 放った光は影の眷属の体を貫いた。 だが、光が透過するだけだ。

影の眷属は体を再生する。 瞬時に元の姿に戻る。 「物理攻撃も、魔力攻撃も、効果が薄い!」 高橋が叫んだ。

その時、影の眷属の一体が、俺に触手を伸ばした。 触手が俺の腕に絡みつく。 冷たく、ねっとりとした感触。 そのまま、俺の精神に直接語りかけてくる。

『恐怖しろ……絶望しろ……』 心の奥底に響く声。 精神を揺さぶる。 意識が遠のきそうになる。

「レグナ!」 サラが叫んだ。 俺は意識を集中する。 魔王の精神は、そんなものには屈しない。

俺は触手を握り潰した。 影の眷属が悲鳴のような音を出す。 だが、触手はすぐに再生する。 終わりがない。

「精神攻撃か」 俺は理解した。 この種の魔物は、直接的な破壊では倒せない。 新たな対応が必要だ。

俺は思考を巡らせる。 魔力は物理的な破壊力だけではない。 精神への干渉も可能だ。 魔王の力。

俺は影の眷属を掴んだまま、魔力を全身に巡らせた。 魔力を体から直接、影の眷属へと流し込む。 漆黒の魔力が、影の眷属の体内に侵食していく。 闇が闇を包む。

影の眷属の体が震える。 黒い触手が収縮していく。 悲鳴が空間に響き渡る。 内側からの破壊だ。

影の眷属の体が、光の粒となって崩れ落ちる。 そのまま消滅した。 瘴気結晶が残る。 新たな殲滅方法。

「精神攻撃には、精神攻撃をぶつける」 俺は言った。 高橋が俺を見た。 その瞳には、驚きと理解の色が混じる。

「なるほど……。君の精神力なら可能か」 高橋が呟く。 「影の眷属の核は、精神体にある」 彼の知識は豊富だ。

サラが残りの影の眷属へと聖なる光を放つ。 光が影の眷属の精神を一時的に混乱させる。 その隙に、俺は次々と影の眷属を掴み、魔力を流し込む。 殲滅。

ユウキは震えながらも、俺の戦いを見ていた。 彼の恐怖は、畏怖に変わったようだ。 俺の圧倒的な力。 彼らはその一部となる。

「これでこのエリアの活気は戻る」 高橋が言った。 「だが、影の眷属は増えている。次の場所へ向かうぞ」 終わりなき戦い。

次の場所へ移動する。 影の眷属の気配がそこにもある。 彼らはより知能的な攻撃を仕掛けてくる。 罠を仕掛けたり、隠れて襲いかかったり。

高橋は、影の眷属の特性についてさらに詳しく語った。 「奴らは、人々の不安や絶望を糧にする」 「活気を吸い取るだけでなく、精神的な負の感情を増幅させる」 精神的な侵食。

それは、東京の活気を奪うだけでなく、人々の心そのものを蝕む。 結界を内側から崩壊させる作戦。 巧妙な侵略だ。 俺の支配の邪魔をする。

俺は思考を巡らせた。 この種の魔物が増えれば、支配が難しくなる。 人々の精神が弱体化すれば、統治も難しい。 排除する必要がある。

俺は精神干渉の魔力をさらに練り上げた。 影の眷属をより効率的に殲滅するためだ。 魔力を収束させ、掌から波動として放つ。 精神を直接破壊する波動。

波動は影の眷属の体をすり抜け、その核を破壊する。 触れることなく消滅させる。 遠距離からの殲滅。 俺の力は、新たな段階に進んだ。

高橋がその戦い方を見て、深く頷いた。 「まさか、そこまで適応するとは」 彼の声には、驚きと賞賛の響きがある。 魔王の進化は止まらない。

東京の地下に、新たな脅威が蠢く。 しかし、俺の力はそれらを凌駕する。 支配への道は、常に進化を求める。



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