表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/52

第17話:初動、街角の迎撃


作戦が始まった。 高橋からの指示を待つ。 通信機が震える。 ユウキの感知だ。

「渋谷、センター街。地下から冷たい反応」 ユウキの声がヘッドセットから聞こえる。 彼の声には緊張が走る。 だが以前よりは落ち着いている。

「向かうぞ」 俺は言った。 サラと高橋が頷く。 渋谷の繁華街へと急ぐ。

センター街は人で賑わう。 誰も異変に気づかない。 日常の喧騒。 その下に脅威が潜む。

ユウキの指示に従い、地下街へ。 人気の少ない通路。 廃墟と化した店舗が並ぶ。 魔力反応が強くなる。

「ここだ」 ユウキが指差した。 壁に微かな亀裂。 そこから黒い靄が漏れ出す。 異界の裂け目。

靄が凝縮される。 現れたのは泥魔だ。 小型。 だが数は多い。

「散開!一般人を巻き込むな!」 高橋が叫んだ。 彼は即座に泥魔の一体へと飛びかかる。 金属製の棒が唸る。

サラが白い光を放つ。 光が泥魔の動きを鈍らせる。 聖なる輝き。 泥魔は怯む。

俺は躊躇わない。 右手に魔力を集中する。 漆黒の光が掌に凝縮される。 闇の波動。

一呼吸。 光の塊を放つ。 それは直線を描き、泥魔の群れを貫いた。 数体が同時に爆ぜる。

黒い液体が飛び散る。 悪臭が空間に満ちる。 瞬時に消滅。 効率的な殲滅だ。

だが、泥魔は次々と現れる。 小型とはいえ、数が多すぎる。 サラの光が続く。 高橋が巧みに泥魔を分断する。

俺は体内の魔力を巡らせる。 瘴気結晶を吸収した効果か。 魔力の流れがスムーズだ。 以前より早く凝縮できる。

泥魔の一体が、サラに迫る。 粘液質の腕を振り上げ、サラを襲う。 サラは反応が遅れる。 危うい。

俺は瞬時に間合いを詰めた。 泥魔の腕を掴む。 冷たい感触。 しかし、そのまま握り潰した。

泥魔の腕が砕け散る。 悲鳴を上げながら後退する泥魔。 俺は追撃した。 光を凝縮した拳で、泥魔の頭を打ち砕く。

泥魔は粉々に砕け散った。 完全に消滅する。 サラが息をのんだ。 「レグナ……」

「余計な動きをするな」 俺は言った。 サラは頷く。 彼女の聖なる光がさらに強くなる。

ユウキが周囲を警戒する。 「まだ来る!奥から!」 彼の声は震えている。 だが情報は正確だ。

高橋が俺たちの間に立つ。 「ここは通路が狭い。一箇所に集まってきたら厄介だ」 高橋は言った。 「黒須君、通路全体を覆う広範囲攻撃は可能か?」

俺は考える。 現在の魔力では、広範囲を殲滅するのは難しい。 だが、できないわけではない。 新たな試みだ。

俺は両腕を広げた。 全身の魔力を解放する。 体から漆黒のオーラが噴き出す。 空間が歪むような感覚。

魔力が手のひらから広がる。 黒い波紋が空間に拡散する。 漆黒の波動が通路全体を覆う。 闇が空間を飲み込む。

泥魔たちが黒い波紋に触れる。 泥の体が溶けていく。 悲鳴を上げる間もなく消滅する。 通路の奥まで、全てを飲み込んだ。

波紋が収束する。 通路は静まり返る。 魔物の気配は消えた。 殲滅完了だ。

俺は息を整える。 体の消耗は激しい。 だが、確かな手応えがあった。 新たな魔力の使い方。

高橋は目を見開いている。 「まさか……この広範囲を」 言葉を失っているようだ。 サラも驚きの表情だ。

ユウキは地面に座り込んでいた。 彼の顔には恐怖。 だが、その奥に安堵が見える。 「消えた……全部」

「初動は成功だ」 高橋は言った。 「だが、これは始まりに過ぎない」 彼の言葉に重みがある。

魔物の侵入は続く。 そして、この力を隠し続ける必要もある。 東京の闇は、まだ深い。 魔王の支配への道は続く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ