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バーチャル無双  作者: ヤマト
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未知の大陸、ヘブン



教会は、聖都は、


とてつもない賑わいを見せている。


まるでお祭り騒ぎだ。



勲章の授与式まで、行われて、俺たちは、


メダルをもらったりした。



なんだか、嬉しかった。



「マルギスというのは、原初世界を恐怖に陥れた、恐ろしい魔物で、誰も太刀打ちできず、そこまで支配や、征服に興味がなかったことが幸いし、何とか難を逃れたという歴史がございます。それ故に、魔王についたと話が来たときには、それはもう世界の終焉を予感させるほどでした。実際あなた方様がいなければ、世界は瞬く間に支配されていたでしょう。」



ヨハネさんから話を伺うと、本当にとてつもなく強い魔物だったと言うことが分かった。

四天王でも飛び抜けて強かったと言うことも。



「ですから、もう心配はないのではないかと、我々は安堵しております。」


「ヨハネ殿、魔界にはまだまだ名も知れぬ残存する戦力が多くいると、昔師匠から伺っている。決して都市の警戒を解かないように、お願いしたい。」


「もちろんでございます。これからも引き続いて、最大限の警戒と、体制を整えて参ります。」


ヨハネさんは、一瞥すると立ち上がり、その場を去って行った。



「とりあえず、ひと安心、なのかな?」


俺は2人に尋ねる。


「そうだね。魔王軍の侵攻は止まったみたいだし、一先ずは安心して良さそう。」


ルルは、答える。


「ここから先の大陸に行く前に、敵の第一部隊を叩けて、本当に良かったわ。入れ違いになって、私たちが帰った頃には人間界がやられていたなんて事になったら、目も当てられないもの。」


「確かに。」


「本当だね。」


ヤテンさんの言葉に、俺とルルは頷く。



しばらくすると、教会の人がやってきて、


地図のようなものを渡してくれた。



『未知の大陸 ヘブン』


「これは?」


ヤテンさんが尋ねる。


「原初の時代に稀代の探検家、マーシャルが書き記したものでございます。」


「ほう、これは。」


ヤテンさんはその地図を手に取り、まじまじとそれを眺める。


「赤い川に、黄金色の樹木、青い太陽に、逍遙(さまよい)の騎士。……なるほどな。聞いていたよりも、さらに奇怪な大陸であるようだ。」


「そうでございます。魔界よりも、凄まじく環境が劣悪であるために、魔物すら容易に近づけない。この大陸がなければ我々はとうに魔物の支配に落ちていただろうと、言われています。」


「ふむ。分かった。ありがとう。」


教会の方は、一礼をして立ち去る。



「さて………素空、ルル、どうする?」


「私も、ほぼ空飛んできたから上からは多少見えてたけど、あんまりわかんないんだよね。霧で覆われてるところも多くて、ごめんね。」


ルルは、申し訳なさそうな顔をする。


「ん?霧に覆われていたの?」


「うん。結構霧が深くてさ、全然見えなかったんだよね。」


「でかしたわ!いい情報よ!!」


「霧が深いって、なんかやだなぁ。」


「この地図で言えばどこらへんか分かる?」


「ごめん。それは分かんないかも。」


「オッケー。基本的に霧がかかってるときは、その場にとどまる事が大切よ。霧が晴れてから、進む事になるから想定した滞在日数よりも多くなる。物資をさらに増やさないとね。」


「霧って、そんなに危険なのか?」


「とーっても危険よ。濃い霧になると、数メートル先も見えない。すると、方向感覚を失ったり、足を取られて崖に転落したり、魔物の急襲にも気付きにくくなる。」


「危ないね。」


「それじゃあ、あれとこれと。」


ヤテンさんはそんな事を呟きながら、ドアを開けて部屋を出ていった。


「そう言えば、食料ってどうするんだろ?街とかもないでしょ?」


ルルが俺に尋ねる。


「現地調達じゃない?」


「げ、げげ、現地調達!!?」


ルルは驚いた声を上げる。


「うん。野生の動物とか、山菜を取って、食べるんだよ。」


「わ、私、それ無理かも。」


ルルは顔を青くしている。


「大丈夫だよ。俺とヤテンさんが取ってくるから。」


「あ、ありがとう。」


すると、ヤテンさんがすっと扉の向こうから顔を出す。


「ルルは釣り担当ね!」


「釣り………やった事ないけど、頑張ってみる!」


「よろしい!」


ヤテンさんはスッと扉の奥にまた消えていく。


「荷物、馬は連れていけないだろうしどうするんだろ?」


俺はルルに尋ねる。


「圧縮魔法っていうのが、あるらしくってね、最近開発されたんだって。」


「圧縮魔法……って、真空パックみたいにってこと?」


「そう!そんな感じ!!」


「へぇー、すごいなぁ。」


逆に、魔法みたいなことを現代社会はできているのだと思うと、それもなんだかすごいなぁと思う俺なのだった。















「それが、びっくりしましたよ!!」


お外に散歩に出た時、ヤテンさんの先日の虚谷の調査員の人が話をしていた。


「おかげさまで下が安全であることがわかり、教会の方に奇跡の魔法をかけてもらい、なんとか降りることができたんです。そこでしばらく調査していたのですが、見つけたのです。」


「見つけた……何を?」


「隠し洞窟です。」


調査員の人は興奮したように言う。


「未知の大陸、一応昔の地図はあるようですが、それもまばらでしかも、正確であるかどうかは定かではありません。しかし、隠し洞窟があると言うことは、知的な生物が存在しているのかも知れない。きっと先人もここ発見し、通ったのでしょう。」


「………逍遙の騎士とやらが、地図に付随していた文献には記されていたが、もし知的な生物が存在するとすれば、そいつではないか?」


「それは……ずっと、亡霊のようなものだと言われています。実際、真偽は確かではありませんが、まだ大陸がこの地と繋がっていた頃、その場所ではお化けがよく出たという言い伝えが大昔にあります。」


「ふむ、お化けか………」


ヤテンさんは、考えるように顎に手を当てる。


俺たちは後ろでブルブルと震えながら、


体を寄せ合った。


「お、お化けが、出るんですか?」


「わ、私、お化け屋敷も入ったことない。」


「大丈夫よ。魔物ですらないんだから。無害でしょ?」


「そ、そういう問題じゃ……」


ルルは震えながら、目をうるうるさせている。


その時だった。


「あのぉ………」


「ひゃあっ!!??」


後ろからの声に、ルルが飛び退く。


「あ、も、申し訳ありません。私、あの、湖のトンネルといえばわかりやすいでしょうか?第3拠点で案内させていただきました、ヘンリルです。」


「あぁ!!ヘンリルさん!!」


俺は、久しぶりに会ったヘンリルさんに少し嬉しい気持ちになった。


「聞きました。マルギスを遂に倒されたのですね。」


ヘンリルさんは大粒の涙を流して、俺の手を取った。


「感激でございます!!ようやく、この地上に平和が訪れる。ありがとうございます………ありがとう………」


ヘンリルさんの声は段々とか細くなり、腕で涙を拭っていた。俺はそんなヘンリルさんの肩をぽんぽんと叩いて励ました。


「これ、どうかお持ち下さい。」


ヘンリルさんは俺に一粒の小さな石?を手渡した。


「これを砕けば、ひとたび体に治癒の魔法がかけられます。我が家系で伝わる、伝統的な魔法石です。その中でもたったひとつしかない、特別なもの用意しました。」


「ひとつしかない……これをくれるんですか?」


「えぇ、もちろんです。どうか受け取って下さい。」


「ありがとう!ヘンリルさん!!ありがたく受け取るよ!!」


俺はヘンリルさんの魔法石を手に取り、大事にカバンにしまう。















「こちらです。」


俺たちは、谷の底、奇跡の力でゆっくりと降ろしてもらい、聞いていた隠し扉の場所に案内してもらった。


調査員の人が、壁を押すと、ゴゴゴと動き、その下には木の根が張り巡らされた、下に降っていく坂が現れた。調査員の人に俺たちはついていく。


光が見える。









樹木、石碑。


その合間に降り注ぐ光。







石碑と樹木の大きさは、十数メートルを越える。


見上げると、石碑に反射した光で眩しくて、


思わず、手で顔を隠した。







「現在石碑の解読が続いています。恐らく、未知の大陸に入るものへの警告文かと。」


「なるほど、その解読が終わるまでどれくらいかかりそうだ?」


「それが、およそ2年………」


「そうか、分かった。」


ヤテンさんは、石碑に手を触れる。


すると、ヤテンさんの手は光を帯びた。















…………触れるな。














悍ましい殺気。


ヤテンさんは、即座に石碑から手を離す。


すると、ゴゴゴゴと辺りが揺れだす。


「な、ま、まずい!!!」


俺たちは後ろに振り返り、戻ろうとする。


だが…………



「はっ?」



入口がない。最初からただの壁であったように、まるっきりそれが無くなっている。


「決して、近づくな、と。」


調査員の人は言う。


「最初に書かれていた警告文です。まさか、こんな事になるなんて………」







「イシュバルト」






ルルが不意にそう唱えると、次第に揺れは収まっていく。調査員の人は目を丸くする。


「まぁ、こんくらいなら大丈夫よ。調査員さん。私たち、勇者パーティーだしね!」


ルルは、軽くウィンクをする。


「しかし、入口が閉じられてしまうとは、何らかの仕掛けが施されていたか、それとも………」


ヤテンさんは考え込む。


俺は、気心でちょっと歩いて石碑の裏まで行くと、


「あっ!!出口がある!!!」


「「えっ!!?」」


ヤテンさんとルルは驚いた声をあげ、急いで俺の元に走ってきた。


「ほんとだ!!開いてる!!」


「やったわね。」





「調査員の方も、危険ですので俺たちから離れないで。」



「あっ、は、はい………」


そう言って、調査員の方が俺たちの方に向かって走ってくるその時。


ドズンッ、と巨大な足が調査員の人を襲う。


「危ねぇ!!!!」


俺は調査員の人のところまで跳んで、抱きかかえ、間一髪難を逃れた。


「あ、ありがとうございます。」


「い、いえ………あ、危なかった。」


一体どこから来た?


石碑ほどある巨大なその体。


岩でできた、まるで巨人(ゴーレム)




目が光り、俺を捉える。





俺は調査員の人を降ろし、


ゴーレムの顔前に跳んだ。






「っらぁ!!!!」




ゴーレムの体は俺の一撃で粉砕する。


俺はひとまず安心して、地上に降りる。




「ふぅ………。」




「あ、ありがとうございます。」


「そ、素空!大丈夫?」


ヤテンさんとルルは急いで俺の元に走り寄ってくれた。


「調査員の方も、お怪我はありませんか?」


「えぇ、おかげさまで。」


「閉じていた入口………開いたようよ。みんなで一度戻りましょう。」


俺たちは急いで開いた入り口に戻った。



そして、一度調査員の人を教会に預け、再び俺たちは準備を練り直すことにした。















俺の部屋でロウソクを立て、


3人は向かい合って、座っている。


「あれはヤバいわね。」


「やばいな。」


「ヤバいわよ。」


俺たち3人の意見は一致していた。


未知の大陸、思ったよりヤバい。















翌朝、俺たちは再び教会を発つ。


そして今度は、俺たち3人だけで再び、


洞窟に入り直した。すると、


石碑は丸っきり消えていた。


その代わり、赤い涙を流した銅像が立っており、


その銅像は出口を指差す。






「一体、どうなっているの?」


「あ、、あの、私、もう怖すぎて帰りたいんだけど。」


「………俺が、何があってもみんなを守るよ。」


俺は一歩を踏み出す。


俺の後ろを2人がついてきてくれる。


カッコつけてるけど、本当は怖い。怪奇現象で、足が震えています。
















「わぁ。」


ルルが思わず声を上げる。


出口を出ると、そこは一面に広がる、


荘厳な大地。


鳥の鳴き声が響き渡り、光に照らされ、


あまねく生物が生息しているのだと、


予感させる。


俺たちは一片の崖の上で、その光景を、


眺めていた。














「ともかくは降りないとね。」



俺たちは親切にも、壁伝いに地上まで繋がった道を歩いて、地上まで降りた。


降りた場所は開けていて、一旦ここでテントを立てて、休むことにした。





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