聖なる夜
クリスマス、なに作ろう?と思いながら授業を受ける。集中しろ、と自分でも思うが勉強より想像するほうが楽しい。こういうときに指されがちだが私はどこかの主人公ではないので関係なし。ずっと空気になって過ごしている。酸素でも窒素でも二酸化炭素でもないけど。今までしてこなかった行事ごとをできるようになって、先生と過ごすのが楽しくて。毎日本当にこんなに幸せでいいのだろうかと思いながら冬の冷たい雨を見る。今年のクリスマスは雪ではなく雨が降っている。ホワイトクリスマスじゃなくてずぶ濡れクリスマスだ。傘忘れたんだよね。さてと、颯爽と帰ってなにか作ろう。
「叶ー、見てー」
またなにか持って帰って来たのだろうか。大体この呼ばれ方をするときはびっくりするものを持っている。今回はなんだろう、と思いながら玄関にダッシュ。
「え、鶏の丸焼き?」
「売ってたから買ってきた。」
とてもびっくり、売られているなとは思っていたが買う勇気もなくてスルーして帰ってしまった。まさか先生が買ってくるとも思っていなくて驚きしかない。
「叶が居なかったら買うわけないからね。」
「一人で食べるには多すぎますもんね。」
一人で食べるには多すぎるし一人で食べるには寂しすぎるし。私も先生が居なかったらクリスマスを楽しむ気も起きない。鶏を電子レンジで温めてサラダとスープ用意して今日はパンを主食にします。
「鶏、美味しいです。自分で作るのは絶対無理だな。」
「こういうのは買ったほうが楽だよ。」
丸鶏を調理しよう、とはとてもじゃないが思えない。先生のために作るのもちょっと気が重すぎる。作りにくいものは調理済みのものを買ったほうが色々楽だな。とても美味しくいただきました、買ってきてくれてありがとう。
「綾音様にはお菓子あげます。」
「え、多くない?一緒に食べよう、これは太る。」
先生は太っていいんだよ痩せなくていいからね。袋いっぱいに詰め込んだお菓子たち。私も一緒に食べていいのか、それはあげた意味がなくなる…こともないか。気が向いたら食べるかもしれない。先生が食べている姿を見たいだけだから。
「んー、なにあげようかな。抱きしめてあげる。」
抱きしめ?!心の準備ができていないのに抱きしめられてしまった。あー、だめだ幸せすぎて泣く。
「なんで泣いてるの。」
「幸せすぎてどうにかなってしまいそうです。」
笑う先生はさっきよりも強く抱きしめてくれた。たくさんの幸せをもらいすぎて幸せすぎて。泣きたいわけではないのに涙がこぼれる。聖なる夜は先生とふわふわの毛布に包まって一緒に寝た。温かくて、不安も苦しみも消し去ってくれて。先生が居てくれて本当によかった。本当にありがとう。ずっと大好きだよ。
「剥ぎ取らないでください!」
「ごめんごめん、つい。」
ずっと一緒に居られるのなら、ずっと一緒に笑っていられるのなら。先生も幸せですか、私ばかりでは不平等だから。一緒に幸せになろうね。




