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先生との朝

「早瀬起きて!私が遅刻するじゃない。」

「あと1時間…」

先生との二人暮らしが始まって一週間。

私はすっかり先生の子です。こんなはずじゃなかったのに。恋人どころか親子みたいだ。

「早瀬ー!!」

「起きますから…」

もともと朝は弱いが先生と暮らすようになってから更に弱くなってしまった。というより起きる時間が早くなった。先生に合わせるとすごく眠い。

身支度をして、朝ご飯を作って先生と食べる。

先生と一緒ならご飯を食べれるようになった。

どれもこれも先生のおかげだ。

「早瀬、最近学校はどう?」

「小テスト0点でした。」

「やばいねそれは。そんなに勉強苦手だったっけ。」

「忘れたんですか?体育のテストずっと赤点で先生頭抱えてたじゃないですか。」

「そうだったね。頭抱えて他の私だけじゃないよ、全教科の先生そうだったから。」

一見真面目そうに見える私だが実際のところすごく馬鹿だし運動音痴だし色々やらかす迷惑人なのだ。どこかの主人公のようになってみたい。天才肌でスポーツ万能で〜とか。いいなそんな人間になりたかった。

「早瀬は学校っていう場所あまり向いてないもんね。学校ってまぁ特殊な環境だし。今はまだ辛いこと多いだろうけど大人になったら見え方も変わるよ。」

慰めてるのか貶してるのか…まぁいい。先生の言うことは間違っていない。

「先生は学生のときどんな感じだったんですか?」

「えー、私はね。授業中寝てたけどテスト1位だったかな。」

どこかの主人公がここに居る。羨ましいいいな先生流石ですね。

「部活も色々転々としたけど結局やめて寝てた。」

なんだか自分が惨めになってきた。先生はすごいね、よく分かった。

「嘘だよ。ただの憧れ。私もね、成績悪すぎてよく怒られてた。」

「嘘だったんですか。先生が成績悪いってあまりイメージできないです。」

「赤点連発でね。部活は楽しかったけどなー、勉強は嫌いだった。」

どこかの主人公は嘘だったらしい。先生、気を使ってくれたのか?なにが嘘なのかなんて私には分からないが今幸せだからいいや。

「ゆっくりしてたらもうこんな時間、急がないと。」

朝はゆっくりしている時間なんてない。それなのに最近はゆっくりしてしまう。

慌ただしく準備をして飛び出していく先生を見送って私も飛び出す。

陰キャはなにもできない人間だけど幸せです。だからしばらく生きます。

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