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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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隠し事

日が長くなってきて春がもうすぐそこに来ている。好きな冬が終わってしまう。嫌だな。ずっと夜がいいのにずっと暗くていいのにって思うけどそんなの叶うわけないから我慢するしかない。花粉も飛んでいるらしく目が痒い。

「綾音様の好きな夏がすぐ来ちゃいます。」

「気が早いね。まだ一応冬だけど。」

きっとすぐに毎日熱中症になれるくらい暑くなるんだ。凍えるくらい寒いほうが私はいいのだけれど。ふわふわの毛布好きだし。

「そういえば気になってたんだけどさ。」

「はい?」

「叶って料理するときもあまり腕まくりしないよね。邪魔じゃない?」

嫌なとこついてきた。えー別に切ってないよ?そんなに切ってないよ。バレたら面倒だなって思って隠してるだけだよなにも悪いことしてないよ。

「邪魔ですけど別に困らないから大丈夫です。」

「隠し事多いね。叶は色々隠そうとする。」

なんか嫌な雰囲気になってきたぞ。いやなんだよなこういう感じ。とても苦手だ。ごめんなさいで終われないから。

「隠してなんてないです。なにも隠してないです。」

「隠してないならそんなに焦らなくてもいいと思うけど。」

先生は立ち上がってこちらへ向かってくる。あぁ、バレないわけないからいいんだけどバレるって心臓に悪すぎる。

「また受け身取る。なにもしないよ、大丈夫。怒りたいわけじゃないから。」

知らないうちに受け身を取っていた。先生は殴ってこないのに。とても失礼なことしているごめんね。待て待て、袖めくらないでくれ。一巻の終わりだからやめてくれ。

「やっぱり増えてる。薬じゃないからバレないとでも思った?」

「そんなことはないです。すぐにバレるって思ってました。」

怒っていないのは分かっているけど声のトーンはやっぱり低くなっている。そりゃそうだよね私だってそうなると思う。

「やめろって言ったらやめれるわけじゃないのはよく分かってる。でも叶が一人で潰れていくのは嫌なんだよ。」

私のせいで先生を苦しめてしまっている。ごめんね先生。一番辛いのは先生だ。切っても自分も誰も幸せにはなれないのにやってしまう自分が嫌い。どうしようもできない。

「とりあえず。刃物は没収します。どうしても切りたくなったら私に言って。抱きしめるから。」

カッター類は没収喰らいました悲しい現実。没収されても百均でいくらでも買えるんだけどねそんなことしたらやめる気なさすぎて怒られちゃうな。抱きしめてくれるらしいのでしばらくは我慢してやる。仕方ないから。先生いっぱい考えてくれたんだろうなこんな私のせいでどうもご迷惑をおかけしております。

「綾音様、いつか返してくれるんですか。」

「返すわけないでしょ。切らなくなったらもう使わないし要らないよね?」

そうですね要らないですねはい。先生のおっしゃるとおりです。これからは抱きしめてもらって生き延びますよろしくお願いします。

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