表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/171

ごはんはちゃんと食べましょう

朝起きると先生からメッセージが来ていた。

「これから毎日ご飯の写真を送ること。」

え。食べろっていうことかな。うーん、先生のためなら作るけど自分のためにわざわざ作りたくないし食べるの面倒だしな。拾い画像でも送るか。

しばらくすると既読がついた。

「これ拾い画像だね。ちゃんと食べなさい。」

バレた。仕方ない、食パン焼いて食べよう。

「これでいいですか。」

「ちゃんと食べてえらい。」

食べるだけで褒められる。なにこれめっちゃいいじゃん。さて、食パンを焼いたのはいいが食べることができない。吐き気が強くなってきてトイレに駆け込む。学校がある日は毎日こうだ。幼少期からずっと。

「食べれた?」

通知が来ている、返信しなきゃいけないのに吐き気が止まらない。

なにも食べていないから胃液だけが出てくる。あー、しんどい。

もう学校行かないといけないのに。ぼっちしないといけないのに。吐き気が止まらないまま家を出た。

学校の先生にも体調悪いですとか言えないのになんでこうしんどくなるかな。

電車に乗り、ギリギリ耐えながら授業を受け、死にかけながら家に帰った。

今日は早く帰ったし一眠りしよう。

昨日も屋上で寝てたんだけどね、寝ないとしんどいし。

目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。大分疲れていたらしい。

目が覚めたのは夜。

電話が何回も鳴っているのに気付いてやっと起きた。

「もしもし。」

「早瀬?何回もかけてるのに全然出ないから心配したよ。日曜日また家行くからね。」

「え、はい。」

また来るんだ。また来てくれるんだ。掃除しないとな。先生が使える部屋用意したほうがいいのかな。先生から電話かかってくるとか幸せすぎてやばい。ずっとこの時間続いてほしい。

「ご飯食べた?」

「まだです、朝も結局食べれなくて昼も食べれなくてだめです。」

「既読つかないと思ったらまた体調悪くなってた?対処法っていうかなんか考えないとね。」

「大丈夫です、心配かけてごめんなさい。」

対処法とか体調コントロールできる方法とかあるんなら知りたい。知りたすぎるよ。

「食べれるものあるなら食べな。死ぬよ。」

「死ぬのは嫌ですね、せっかく先生と話せてるのに。」

本音だけどなに言ってんだ私。昨日死にたがってたじゃん。死ぬの嫌だって馬鹿なのかな。私の意見はすぐに変わります、そういう奴です。

「じゃあおやすみ。また日曜日。」

「おやすみなさい。」

先生と電話できるとか思ってなかったから本当に幸せすぎて頭がふわふわ。妄想が現実になった。

お腹すいたな、さすがに。ゼリーでも食べるか。

一口サイズのゼリーを写真に撮り、先生に送りつける。

これは食べたといえるのか。まぁいいだろう。

日曜日まで頑張って生きなければ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ