監視される早瀬くん
死ぬのは怖いけど生きるのも怖い今日この頃。
「死ぬってどんな感じなんでしょうね。」
「辛いのは分かるけどそろそろその話やめない?」
同じ学校の人が死んだと聞いてからずっとこんな調子だ。自分でもやめたいけど頭から離れてくれない。辛いというかなんというか。自分も死にたいのに死ねてなくて名前も知らない人が死んでて。なんか色々考えてしまう。
「死ぬ順番間違えたら許さないからね。呪うよ。」
「呪われたいです。」
先生に呪われるとか最高すぎるでしょ。先生が死んだらもう生きていけないし死ぬしかなくなる。死んだら天国で会えるし。私は地獄な気がするけど。
「そういえば来週宿泊行事だから、また留守番よろしくね。ペットカメラでも買っておくから。」
「監視する気ですか。」
「過ちは繰り返さないでね。」
宿泊行事ですかー、そうですか。なんか私監視されるらしい。先生忙しいから監視できないよね?録画見返すとかある?過ちは繰り返すものだと実の親はよく言っていた。多分私も繰り返してしまうだろう。
「行きたくないけど仕事だから行くけど行きたくないよ。」
「行きたくない気持ちがよく伝わってきます。」
行きたくないと言いながら楽しむんでしょあなたは。生徒からも好かれてるし楽しんできてくださいな。私はのんびり暮らすし。別に死なないよ、先生と暮らすの幸せだもん。ずっと一緒に居たいから先生を泣かせるわけにもいかないから生きるよ仕方ないから。
「ペットカメラ本当に買う気ですか?」
「買ったよ。」
もう買ってた。スマホ見てるなって思ったら買ってた。シゴデキ先生。仕事がお早いですさすが。先生に監視されるのいいかも、なんかいいかも。先生が家に居なくてもカメラを見てれば繋がれるじゃん(?)
「カメラ見つめてたらいいってことですね。」
「どういうこと。」
伝わらなくていい。私が変なだけだから理解しなくていいです。カメラに話しかけてたら先生に聞こえるかな?そんな状況を先生が見たら引くかな?まぁ今更かな、十分引かれてるよね。先生居ないなら学校いかなくてもバレないな。ズル休みしようかな。いやカメラに映ってたらバレるじゃん駄目じゃん。先生のことだから各部屋にカメラ置きそうだし絶対バレるじゃん。サボれないかー、残念。
「サボるの禁止だから。」
「心読まれてる。さすが先生。」
「行動パターン大分分かったよ。」
先生が私を理解してくれている幸せ。よくない部分まで知られている気がするけど気にしないでおこう。私の全てを知ってくださいね、それはそれで嫌だけどいやでも嫌じゃないかも。




