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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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花火大会

今日はなんと花火大会です。先生と行けるとかマジで最高最強しあわせ。先生が選んでくれた浴衣を着て行くのですよ。なんとも楽しみ。

「叶、着れる?手伝うよ。」

「ありがとうございます。」

なんか着るの手伝ってもらっちゃってる。えー幸せ。先生、胸見てどうした。まな板って思ってるんだろ!そうだろ!どこかの主人公は胸大きいもんねいいな羨ましい私なんてどうせ真っ平らですよーだ。

「前から思ってたけど平らだね。」

「余計なお世話です。」

先生に言われたら恥ずかしいわ。誰に言われても恥ずかしいけどさ。てか前から思ってたのねやめて恥ずかしいただでさえ暑いのにもう頭からお湯出る。

「できた〜、似合ってるね。」

「先生も着ますよね?もちろん。」

「え?」

私も今日のためにご用意させていただいたのですよ。先生に似合うかなって思って選んだ浴衣。大分悩んだけどこれがピンと来たわけです。きっと似合うでしょう。

「おー…叶のことだからめっちゃ可愛いの選んで来るかと思った。いいじゃんかっこいいね。」

「可愛いのもいつか着てくださいね。」

絶対に嫌だという顔をしている先生が一番かわいいよ。

「髪結ばないの?せっかくだから結んだら?」

「髪結ぶの下手すぎて無理です。」

黒髪ロングの私だが、ヘアアレンジは絶望的にできない。ポニーテールは毎日しているからできるけどその他ができない。

「私もできない。ポニーテールでいいじゃん、ヘアアクセサリーつけな。」

先生の手にお花のヘアアクセがある。いやなんであるの?これも選んでくれたの?まぁいいやつけましょう。

「そろそろ行こうか。」

「はい。」

先生と初めてのデートだ。花火見たら恋人になりましょうね。ていうか私たちの関係性ってなに?今更すぎるけどなに?幸せだからいいけど恋人でも家族でもないんだよね。元生徒と教師なんだよね。あまり考えるのもよろしくないか。忘れよう。

「すごい人ですね。」

「迷子なるなよ。」

迷子のお呼び出しをされて先生が迎えに来るってめっちゃよくない?迷子なろうかな。

「あっちに屋台ありますね。」

「人多すぎて行けないな。」

人多すぎ問題。こんなに多いとは…これは迷子になるしかないな。

「人少ないところ行こうか。迷子にさせるわけにはいかないしね。」

私の迷子プランが!なくなる!いいけどね別に先生と居られるなら全然いいです本当に。

人の少ない場所。会場からは少し遠いが十分綺麗に見えるだろう。

ぼーっとしていたら花火が打ち上がり始めた。

大輪の花は色とりどりに散っていく。なんて儚いんだ。

「綺麗だね〜、暑いね。」

「そうですね。」

夜とはいえ25度を越える熱帯夜。綺麗だけど暑い。暑いけど綺麗。花火を見ている先生かわいすぎ問題。真面目に見てるねえらいね私は先生のことばかり見ているけどね。

花火、こんなに綺麗だったんだな。先生と来れたから綺麗に見えるんだろう。

「先生、恋人になりませんか?」

「そんなになりたいか。」

「もちろん。」

珍しく即否定してこない。花火パワー?恋人なれる?

「本当になりたい?」

「当たり前でしょう。」

花火が中盤になる中行われる恋人になるかならないか論争。

「口づけだってできますよ。」

「それはまだ早い。」

沈黙が続き花火は終盤になった。どんどん花が咲いていく。すごい。

「恋人になりましょう。」

「保留。」

保留?!保留になりましたうれしいですね一歩前進です。恋人になりたいけどなれない気しかしてないから嬉しい限り。

最後の花火が打ち上がった。打ち終わる、打ち終わらないでくれ。

「先生、好きです。」

「そりゃどうも。」

音を立てて散っていく花を見届け、花火大会は幕を閉じた。

今度こそ恋人になりましょうね、先生。

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