ボロボロ
何回解き直しても正解できない問題。先生の隣にふさわしい人物とは?A.自分B.自分C.自分さぁどれでしょう。正解は全部でした。なんていう茶番はどうでもいい。先生の隣にふさわしい人になれるように、なるために…。動かない頭には先生の写真を見せると効果的。さっきとは打って変わって解き直したら正解できました。学習能力低めな私ですがやればできます、先生が居たらなんでもできますやらせてください。
「破れた。」
「なにがあったんですか。」
先生の手には破れたTシャツ。なにをしたら破れるんだ、穴が開くとかじゃなくて破れたって。
「畳もうとしただけ。」
うん、分かるよ。そういうときあるよね、畳もうとしたら勢い余ってビリって破っちゃうこと。あるわけないよね。なんでそうなったのかは聞かないでおく、しょんぼりした子犬みたいだから。縫えばどうにでもなるだろう。裁縫道具どこにやったかな、先生の家に住み着いたときに持ってきたはずなんだけど。
「縫うので。また破ろうとか思わないでください。」
「はい。」
破れるならもう1回破ってみようかな、と思っていたんだねやっぱり。もったいないことをしないでくれ。気持ちは分かるけどまだ着れる状態のものをボロボロにしなくていい。ダメージ加工とかほざいても意味がない。休憩がてら縫います。裁縫は全く得意じゃない、家庭科とか大嫌いだったし。でも先生のためならできる、目標というかやる意味があればできる。先生の隣に居るのは私なのです。責任を持って役目を果たすのみ。
「おー、綺麗に縫えてる。いつの間に上達したの。」
先生に驚かれるくらいには下手だった。家庭科の先生もドン引きするくらい下手だった。なにこれ本当に布だったの?みたいな。たまには成長します、こんな私も。日々成長を重ねているのです、えらい。先生のためだから綺麗に縫ったけど自分のものだったら縫いもしなかった。針に糸を通すことさえ面倒くさがることだろう。
「ついでにこれも縫ったらいいのに。」
破れたエプロンを手渡された。なんで破れたかは聞いても面白くないよ。間違えて切っただけだから。よく野菜とか切っているときに指もついでに切るんだけどそれがエプロンだったっていうだけの話。自分でも意味が分からない。縫うのは面倒、やりません。
「なんでこんな破れ方するの?」
「成り行きです。」
なにを言ってるんだこいつは、と思っているのが先生の表情を見ればすぐに分かる。毎日呆れさせているのにまだ呆れさせるようなことばかりする私ってもはや天才なのでは。破れたエプロンはどうせすぐにまた切り刻まれるだろうから適当にチクチクと縫っていく。さっきより壊滅的になったが気にしない。先生のものなら大切に扱います、先生はより大切にします。すきです。