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8.過去の自分〜sideランドル〜

私は、オパール公爵家の当主であるランドル・オパールだ。

オパール公爵としながら、帝国軍の大佐でもある。

現在、三十歳である。

体も大きいのに加えて、左目に大きな傷があり視力はないのだ。



前当主である私の父と母は、私が二十歳の時に不慮の事故に遭い両親共にこの世を去った。


父が亡くなった事で、私は二十歳でオパール公爵家の当主となった。


私は、十五歳で軍に入隊した為に公爵家の公務に余り関与していない事もあり、急に当主にならなければならないという事で最初はとても大変だった。


しかし、段々公爵としての公務にも慣れてきて軍人としての仕事との両立をこなしていた。


しかし、私が二十三歳の年に私にとってとても耐え難い出来事があった。


あれは、帝国軍と敵国軍との戦いの時の出来事だった。

私達の軍は、敵軍相手にかなり攻め込んでいてもう勝負がつくという時の事だった。

私は、敵軍の兵士にふいをつかれてしまい左目を剣で斬られてしまい負傷した。

左目を負傷したせいで体勢を崩して尻をついてしまったのだ。

その瞬間、相手の兵士がここぞとばかりに剣を私に向かって振り下ろしてきた。


私は、もうダメだと覚悟を決めた……その時だった。


私の前に誰かが立ちはだかり、私の代わりにその者が斬られたのだった。


その瞬間、私は剣を持ち相手の兵士を斬り殺した。

そして、急いで私を庇った者を抱き上げた。


何と、その者は…私が軍に入団した時からずっと共にやってきた親友でもあり戦友でもあったマイケルだった…


『マッ…マイケルーー!!』


私は、マイケルだと気づくとマイケルに向かい叫んだ。


『マイケル…マイケル…しっかりしろ…何故…庇ったりなどしたんだ…』


私は、溢れる涙を止める事が出来ずにマイケルへ言った。


『お…まえは…公爵…家の当主でもある……お前……は…こんなとこ…ろで…死んで…はいけない…俺は…貴族…でもない…ただの…平民の成り上が……りだ…だから…俺が…ここで…死んだ……としても…害は…ない…からな…ハハ…』


マイケルは、とても苦しそうに息をしながら最後の力を振り絞るかの様に私に言った。


『バカ野郎…平民だから害はないなどと言うな。私は、平民だろうが貴族だろうが関係ない。マイケルというお前がいいのだ。頼む…死ぬな…死なないでくれ…これからも俺と共に辛いことも楽しい事も経験していこう…マイケル…マイケル…』


私は、大粒の涙を溢しながらマイケルを強く抱きしめながら言った。


『あり…がと…う……こんな…俺を……そんな…風に…大切…に…思っ……てくれて……ランド…………』


マイケルは、苦しそうにそれでも最後は少し微笑む様に私に言うと、私の腕の中で安らかに息を引き取ったのだった…


私はその後、救助隊に運ばれた。


斬られた左目は、かなり傷が深く恐らく左目の視力は失うだろうと言われた。


しかし、私にはそんな事などどうでもよかった…


私は、片目を失ったが生きている…

マイケルは、どんなに願ってももう私と笑い合う事すら出来たないのだから…


私は、マイケルの死から数ヶ月経っても立ち直る事はないままだった…


公爵としても軍の兵士としても、何かもやる気が起きずただ毎日をぼーっと過ごしていた。


時には、マイケルの最期の時の状況を何度も夢に見て魘された事もあった…

その度に、私は罪悪感でいっぱいになっていた…


公爵邸では、皆私の心配をしてくれていたがそれでも私はマイケルの死の現実から逃れる事が出来ずにいたのだった…


(私を庇ったせいでマイケルは…私が、あの時やられていたら今でもマイケルは生きていただろうに…)


私は、心の中で何度も何度もそう思う事ばかりだった…



私はある日、もう本当に生きている事の意味すらわからなくなっていたし生きる事にも疲れていた…


私は、公爵家から人里離れた場所にあった丘へと辿り着いた。

私は、丘の頂上にある崖になっている場所を見つけた。


私は、この時…死のうと思いその場所へと来ていたのだ。


(マイケル…私は生かされた意味すらわからなくなっている…何故、私だけ助かり生きていのか。マイケルは、私は必要な人間だと言っていたが私はマイケルが言う程必要な人間ではないのだ。私が代わりに死ねば良かったのだ。私は、本当に何かも疲れてしまったし、生きる事の意味すら見えない。私も、マイケルのところまで行かせてくれ。そして、また、二人仲良くしよう。)



私は、空を見上げながらマイケルに問いかける様に心の中で呟いた。


そして…私は崖の端まで行きそこから飛び降りようと構えたその時だった。


『そんな所に立ってたら危ないよ?』


後ろから、急に誰かが私へと声をかけてきたのだった……


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