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68.サミエルの処分

そして、サミエルがルージュを連れ去った日から二日が経過した…


この日、王宮から手紙が届いたのだった。


王宮からの手紙には、謝罪の言葉とサミエルの処分はルージュとランドルの言い分を聞いてから決める為、ルージュとランドルへ申し訳ないが三日後に王宮へと来てくれという事が記載されていた。


「私達の言い分次第で…殿下の処分の内容が決まるという事ですか……?」


手紙を読んだルージュは、一緒に手紙を読んでいたランドルへと尋ねた。


「私達の言い分だけで決まる訳ではないと思うが、大方は私達の言い分次第で決まるというのは間違いないだろうな…今回は、特に…ルージュは二回も殿下関連で被害に遭っているからな…」


ランドルは、難しそうな表情を浮かべながら応えた。


「そうですか…」


ルージュは、どこか切なそうな表情を浮かべながら言った。


「私も被害に遭ったが、今回はルーの考えた言い分に私は従おうと思うのだが…」


ランドルが、ルージュの方を見ながら言った。


「私の…ですか……?」


ルージュは、ランドルの言葉に驚きながら言った。


「あぁ…今回の件で、ルーも色々と思うことがあっただろう…なので、今回…陛下に申し上げる言い分はルーが考えるといい。私はそれに従うよ。」


ランドルは、ルージュの頭を撫でながら優しく言った。


「………。分かりました…自分なりに陛下に申し上げる言い分を考えてみようと思います…」


ルージュは、ランドルを見つめながら言った。


「あぁ…」


ランドルは応えたのだった。




そして…三日後。

王宮へと訪れる日がやって来た。

ディーンやカイルとアイルも共に王宮へ付き添うと申し出たが、ルージュはきっとディーン達が一緒だと感情がむき出しになり色々と大変な事になるだろうと予想しどうにかディーンの提案を断る事が出きた…


王宮へは、ルージュとランドルの二人だけで足を運んだのだった。


「オパール公爵、公爵夫人…この度は、王宮へ足を運んでもらい感謝する。また…この度の件、ならびにダース男爵親子の件…オパール公爵の事件の件での事改めて私の方からも謝罪させて欲しい…二人には申し訳ない事をした…」


皇帝のカイエルは、ランドルとルージュへ足を運んでくれた事の感謝を伝え事件の事について改めて二人へ頭を下げて謝罪をしたのだった…


「陛下…頭をお上げ下さいませ…」


ランドルが、慌ててカイエルへと言った。


「しかし…私の愚息は二人へと許される事のない事をしてしまったのだ…子が犯した罪は親である私の責任でもあるのだ…」


カイエルは、悔しそうな情けなさそうな悲しそうなそんな色々な感情がまじりあった様な表情で言った。


「「陛下…」」


そんなカイエルを見て、ルージュとランドルが同時に呟いた…


カイエルの横へと座っている皇后ベリーとハミエルも何とも言えない様な表情をしていたのだった…


「それでだ…オパール公爵…公爵夫人…そなた達の言い分を聞かせて貰おうと思うのだがよいか?」


カイエルは、ルージュとランドルへと尋ねた。


「「はい。」」


ルージュとランドルは、同時に返事をした。


「既に、我々が決定した皇太子へと処分としては…王位剥奪の上に監視下に置いておくという事で王族が罪を犯した際に入る廊へと無期限の幽閉との処分を決めていいる…パトリック辺境伯からは処刑という話も出たのだがそこまでの判断を下すことができないでいるところだ…そなた達の言い分次第では被害者であるそちらの意思を尊重して処分を変え最終決定しようと思っておる。」


カイエルは、王族である自分達がサミエルに対して決めた処分内容を告げた。


「この度の言い分につきましては、妻であるルージュに任せる事と致しましたので妻の方からお話をさせて頂きます。」


ランドルは、カイエルへと伝えた。


「そうか…では、公爵夫人聞かせて貰おう…」


カイエルは、ルージュの方を見て言った。


「はい…皇太子殿下に関わる件に関しましての言い分を申し上げます…私としましては、皇太子殿下には…死んでほしくはないと思ってますので処刑という処分選択はございません…そして、幽閉の件ですが…王位は剥奪されるとしても皇太子殿下にはもう一度これからの事を考えるチャンスをお与え頂きたいと思っております。幽閉を無期限ではなく三年から五年程度の幽閉後、王族がお持ちの小さな領地へと移りそこで生涯を過ごして頂くのはどうかと思っております…」


ルージュは、カイエルの目をしっかり見てはっきりと自分の意思を伝えた。


ルージュの言い分を聞き、ランドル含めその場にいた者はとても驚いた表情を浮かべていたのだった。


「ルー!!その様は判断は…君はどんな目に遭わせれたか忘れたのか?」


ランドルが、思わずルージュへと言った。


「ラン様は、今回の言い分の件に関しては私の意思に従うとおっしゃいましたよね?」


ルージュは、慌てて少し怒った表情を浮かべたランドルへと言った。


「くっ…それは…そうだが…」


ランドルは、ルージュに言われて渋い表情を浮かべながら言った。


「しかし…オパール公爵がその様に言うのは当たり前だ…その様な甘い処分などまったく妥当ではない…」


思わず、カイエルもランドルの意見に賛成かの様に言った。


「甘いと思われたらそうかもしれませんが…罪を犯してしまったとはいえ今まで皇太子として大変な事も辛い事も経験されにも関わらず王位剥奪というのはそれだけで私達が思うよりも殿下にとっては辛い事だと思います…それに、無期限で幽閉されていても殿下は何もお変わりになられないと思いますので…それならばもう一度考え、生き方をやり直して自分がどれだけの事をしたかという事を自分自身の身を持って感じて頂きたいのです…」


ルージュは、真剣な表情で自分の考えの意味を説明した。


(始まりは、私と山で出会ったことがきっかけでこの様な事になってしまったと言っても大袈裟ではないものね…それに…殿下はきっと根は悪い方ではないと思うのよね…私の事を長年思ってくださっていたと思うとそう思わずにはいられないのよね…まぁ…殿下のやり方は間違っていたかもしれないけれど…それでもやはり生き方を考えるチャンスは必要だと思うのよね…)


ルージュは、カイエルたちへと説明しながらそんな事を考えていたのだった…


「ルー…君はそこまで考えていたのか…」


ランドルは、ルージュの説明を聞き呟いた。


「ええ…とても悩みましたがやはり…この考えに辿り着いたのです。」


ルージュは、苦笑いを浮かべながらランドルへと応えた。


「しかし…パトリック辺境伯はその処分には納得しないだろう…」


カイエルは、渋い表情をしながら言った。


「それに関しましては、私達がどうにか致しますのでお気になさらずに…」


ルージュは、カイエルへと言った。


「もう一度確認するが…本当にその処分で良いのか?」


カイエルは、真剣な表情を浮かべてルージュへと尋ねた。


「はい。」


ルージュは、真剣な表情でカイエルへと応えた。


「オパール公爵もそれでよいのか……?」


カイエルは、ランドルの方を見ながら尋ねた。


「はい…妻が決めた事でしたら私はそれに従いますので。」


ランドルは、真剣な表情でカイエルと応えた。


「サミエルは…二人へととんでもない事をしたにも関わらずサミエルの事を考え決めてくれた事を感謝する…」


カイエルは、目に涙を浮かべながらルージュとランドルへと頭を下げて礼を言った。


側にいたベリーとハミエルも涙を浮かべながらルージュとランドルへと頭を下げた。


こうして、この日皇太子サミエルの処分が決まったのだった。


ランドルの意思もあり、ルージュがサミエルと面会する事なく処分が下された。


サミエルへ処分の内容を伝えた際に、ルージュが説明した意志がサミエルへと伝えたられた。


「ルージュ…ありがとう。こんな取り返しのつかない事をしてしまった私に対してその様に真剣に考えてくれて…私はそんなルージュに何ということしてしまったのだ…ルージュ…本当に君にはすまない事をした。だか…私の君に対する思いだけは嘘ではないという事だけは知っておいてくれ…ルージュ、どうか幸せになってくれ…君と出会えた事は人生で最も神様がくれた最高のプレゼントだった…」


ルージュの話を聞いたサミエルは、涙を流しながらルージュに伝えてくれとハミエルへ言葉を残していたのだった…


(殿下…いつか…会える事があったならその時は、笑って話せるといいですね…)


ルージュは、ハミエルからサミエルの言葉を聞きそんな事を思いながら空を見つめていたのだった…

ご覧頂きありがとうございます★


次話で、最終話となります。

よろしければ最後までお付き合い下さい★

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