66.ルージュ救出
ハミエルとランドルが向かった先は、王宮の離れだった。
「離れですか……?」
ランドルは、予想もしていなかった場所へやって来たので不思議そうにハミエルへと尋ねた。
「あぁ…兄上は子供の頃から何か一人で考えたい時など兄上の生母の命日にはよく離れへ行っておられたのだ…」
ハミエルは、ランドルへと離れに来た説明をした。
「そうなのですか……。」
ランドルは納得した様に応えた。
「さぁ、急いで中へ入ろう。」
ハミエルは、ランドルへと急かすように言った。
「承知しました。」
ランドルは応えた。
そして、二人は離れへと入って言ったのだった………
※
ランドルとハミエルが、離れへと到着した頃………
「さぁ…ルージュ考えは決まったか?」
サミエルは、ルージュへとほくそ笑みながら尋ねた。
「………。それでも…私はラン様との離縁は考えられません…」
ルージュは、自分気持ちを曲げる事なく応えた。
「何だ……と?では…オパール公爵がどうなっても良いのだな…」
サミエルは、ピクリと口を歪ませながら言った。
「ラン様……は、簡単にやられる様な方ではありません。今もきっと私の事を探して下さっていますわ…」
ルージュは、グッと唇を噛み締めなが少し震えながら言った。
「私が雇ったのは、その手のプロの者だ…いくら軍隊の大佐のオパール公爵といえども勝てる相手ではないのだ…」
サミエルは、フッとほくそ笑みながらルージュへと言った。
「そんな…何故そこまで…なさるのですか…」
ルージュは、サミエルの言葉を聞き泣くのを必死で堪えながら言った。
「全て…私がルージュともう一度婚約して君が皇太子妃になる為だ。」
サミエルは淡々と言った。
「私は皇太子妃にはなりません!!」
ルージュは、意識が朦朧とする中でも声を張って言った。
「そうか…これだけ言っても聞き入れてくれないのだな…だが…皇太子の子を身籠れば…皇太子妃にならざるえない事になるな…」
サミエルは、表情を冷めているのに口元はニヤリとしながらルージュへ言った。
そんなサミエルを見て、ルージュは鳥肌が立ち並ならぬ恐怖が襲ってきたのだった…
(殿下は間違ってるわ…こんな事をしても先など見えないというのに…どうしよう…このままではまずい状況だわ。私もまだ頭が朦朧としているから抵抗するにも限度がありそうだわ。どうしならいいの…ラン様…ラン様、お願い助けに来て…)
ルージュは、恐怖を感じつつもこの状況をどうすべきが必死で考えていたのだった…
だが、そんなルージュにはお構いなしのサミエルは座っていたベッドの端からベッドへと上がってきたのだった………
「殿下…この様な事がバレたらただ事では済みません。どうかお考え直して下さい…」
ルージュは、必死にサミエルへと言った。
「では…皇太子妃になるのだな…?」
サミエルは、ルージュへと尋ねた。
「それは…出来ません…だからといってこの様は事は間違っています…」
ルージュは、必死な表情を浮かべながらサミエルへと訴えた。
「ならば…やはり、力づくでも君を私のものにするしかないな…」
サミエルは、そう言うとルージュの上へと覆いかぶさった。
そして、ルージュの着ている洋服を破ったのだった。
「殿下!おやめ下さい!!この様な扱いは私に対する愛などではありません。ただの押し付けです!愛とは…互いを思いやるのです…殿下は、私を愛していると仰られたのは嘘なのですか?」
ルージュは、恐怖の中涙を必死で堪えながらサミエルへと訴えた。
「私の愛が嘘だと申すか……?聞き捨てならないな…」
サミエルは、ボソリと呟きながらルージュのスカートへと手をかけた。
ルージュは、恐怖で声が出なかった…
その時だった………
「ルー!!いるのか?!ルー!!いたら返事をしてくれーー!」
ランドルが、ルージュを呼ぶ声がしたのだった。
「ラン様ーーー!」
ルージュは、恐怖の中一生懸命に声を出してランドルの名前を呼んだ。
その時!!
バターン!!
と、扉が蹴られて開けられた。
開いた先に立っていたのは、ランドルとハミエルだった。
「ルー!!」
「兄上!!」
部屋の中にいた、ルージュとサミエルを見てランドルとハミエルは同時に言った。
「ラン様!!」
ルージュは、ランドルを見てランドルの名を呼んだ。
ハミエルは、状況を見て瞬時に察して素早くルージュとサミエルがいるベッドへと走り込んだ。
そして、ハミエルは驚くサミエルの体を一瞬にして抱え込んだのだった。
「ハミエル!何をする!離せ!」
サミエルは、ハミエルへと怒鳴った。
「兄上…これ以上はいけません…兄上…兄上…」
ハミエルは、グッと力を入れてサミエルを抑えながら辛そうな声で言った。
「ルー!!」
ランドルは、ルージュの名前を呼ぶとルージュの元へとかけよりルージュの体をゆっくりと起こして抱きしめた…
「無事で…良かった…本当に…」
ランドルは、ルージュを抱きしめながら震える声で言った。
「ラン様…ラン様…」
ルージュも、ランドルを抱きしめ返してランドルが来て安心したのか涙を流しながらランドルの名を呼んだ。
「きっと…ラン様は、助けに来てくださるとおもっていました…」
ルージュは、ランドルを強く抱きしめ返しながら呟いた。
「当たり前だ…何度だってルーを助けに駆けつけるさ…」
ランドルは、今にも泣きそうな顔でルージュへと言った。
そして、ランドルはルージュを抱きかかえた。
そして、ランドルはルージュを連れてその場を離れたのだった。




