57.幸せのひととき
ルージュとランドルが、心身ともに本当の夫婦となって一夜が明けた…
寝室には、朝の陽の光が差し込んだ。
「んっ……もう朝か…いつの間にか眠ってしまってたんだわ…」
陽の光に気づいたルージュが、目を覚ますと目を開けて呟いた。
「ん…もう朝か……?」
ルージュが、起きた事でランドルも目を覚まして眠そうな表情でルージュへと尋ねた。
「あっ…ラン様、おはよう…ございます…もう朝です…」
ルージュは、ランドルに尋ねられると頬を赤く染めながら応えた。
「そっ、そうか…ルーおはよう…」
ランドルも、ルージュにつられて顔を赤くした。
二人は、昨夜の出来事を思い出し急に恥ずかしくなったのだった…
「ルー…その、身体は大丈夫か?辛くはないか?」
ランドルは、照れながらもルージュの身体を気遣い尋ねた。
「あっ…はい。大丈夫です…」
ルージュは、頬を赤らめたまま応えた。
「そうか…それならば良かった…」
ランドルも、顔を赤らめたまま言った。
「あっ…そうですわ。ラン様、今日は新婚旅行の計画を立てませんか?ラン様が元気になられたら一緒に計画を立てようと思っていたのです。今日は、出かける予定がありませんので二人でゆっくり計画が立てれますわ。」
ルージュは、まだ少し頬を赤らめながらも微笑みながらランドルへと言った。
「そうだな…まだ、新婚旅行の計画は立てれていないからな…よし、今日はルーの行きたい所ややってみたい事を存分に案に出してくれ。」
ランドルは、ルージュの話を聞き頷きながら胸を張って嬉しそうに言った。
「私だけではなく、ラン様の行きたい所ややってみたい事もですよ。どれも二人で行ったりやったりするのですから。」
ルージュは、クスクスと微笑みながらランドルへと言った。
「そう…だったな…はは…つい、ルーのやりたい事をやらしてやりたいと思ってな…」
ランドルは、バツが悪そうに笑いながら言った。
「ふふ…ラン様ったら。一先ず朝食を食べるとしましょう…」
ルージュは、クスクス微笑みながら言った。
「あぁ…そうしよう。朝食を済ませた後に私の執務室で新婚旅行計画を立てるとしよう。」
ランドルは、嬉しそうにニコニコと微笑みながら言った。
そして、二人は着替えを済ませて食堂へと向かった。
朝食を済ませた二人は、ランドルの執務室へと向かった。
執務室へと着くと、グレイがお茶を淹れてくれた。
そして、二人はソファーへと並んで座って新婚旅行計画の話を始めたのだった。
「ルーは、何か考えなどがあるのか?」
ランドルが、新婚旅行計画についてルージュへと尋ねた。
「はい。色々と考えたのですが…一つ目の提案としましては、以前きちんと出来なかったピクニックをするのはいかがですか?」
ルージュが、微笑みながらランドルへと応えた。
「おぉ…それはいい案だな。広く景色もきれいで空気の良い場所で、誰にも邪魔される事なくピクニックがしたいな…」
ランドルは、何かを想像ながら頬を緩ませ微笑みを溢しながら言った。
「どこか、素敵な場所などありますかね…」
ルージュは、考え込む様な表情で行った。
「そうだな…緑も空気もきれいな場所か…う〜ん…あっ、そうだ。ルーのご両親がよく行っていたという場所などどうだろうか?その場所は、ピクニック以外にも楽しく過ごせる場所なのだろか?」
ランドルは、少し考えると思いついた様にルージュへ尋ねた。
「お父様達がピクニックへ行っていた場所ですか?そうですね…その場所は、自然が豊かな場所だと聞いています。そこで採れる野菜やお魚なども美味しとかでした。お父様に場所の詳細を聞いてみましょうか?」
ルージュは、思い出すようにランドルへと説明した。
そして、ディーンへと尋ねてみようと提案した。
「良さそうな所だな…すまないがお義父上に聞いてみて貰うのを頼めるか?」
ランドルは、笑顔で言った。
「はい。お任せ下さい。後ほど実邸のお父様宛に手紙を出しておきますね。」
ルージュは、にこにこと微笑みながら言った。
「あぁ。頼む。ありがとう。」
ランドルも笑顔でお礼を言った。
二人は、その後も新婚旅行計画について楽しそうに話をしていた。
そこへ、グレイがやって来た。
「旦那様、奥様…お話中のところ申し訳ありません。王宮から手紙が届きましたのでお渡しにまいりました。」
グレイが、二人へそう言うとにランドルへ手紙を手渡した。
「王宮から?ありがとう。」
ランドルは、王宮からの手紙に不思議な表情を浮かべながらグレイにお礼を言い手紙を受け取った。
「ラン様、王宮からですか?今回のラン様の件に関しての事ですかね?」
ルージュが、横から手紙を受け取ったランドルへと言った。
「あぁ…恐らくそうだらな…」
ランドルは、そう言うと手紙の封を開けて中から紙を取り出した。
"オパール公爵殿
今回の、オパール公爵の件に関して詳しい話を聞きたいと思っている為時間を作って貰える様お願いしたい所存である。
オパール公爵の体調を考慮した上で日程を決めて頂きたいと思うので、都合の良い日程を記載の上返信をお願いしたい所存だ。
一日でも早い回復を祈っている。
"皇帝カイエル・ド・ノーマン"
手紙には、そう記されていたのだった。
「やはり、今回の私の件について話が聞きたいという手紙であったか…」
ランドルは、手紙を読み終えるとそう呟いた。
「何と書かれていたのですか?」
ルージュは、ランドルへと尋ねた。
「あぁ…やはり今回の私の件に関して話を聞きたいとの事だった。私の体調を見て都合のつく日程を教えてほしいとのことだ。」
ランドルが、ルージュへ手紙の内容を説明した。
「そうですか…それで王宮へと伺うの日程はどの様にしますか?」
ルージュは、真剣な表情でランドルへと言った。
「そうだな…実際体調はほぼ回復しているので問題はなさそうだな…明日、医者に来てもらい診察の許可を一応貰っておいた方が良さそうだな。王宮へ伺うのは明後日にしよう。そう王宮へと返事をするさ。」
ランドルは、考えながら言った。
「そうですね。念の為にお医者様に診て頂いておいた方がよろしいですね。私も王宮へお供した方がよろしいですか?」
ルージュは、うんうんと頷きながら言うとランドルへと尋ねた。
「いや…ルーは同行しなくても大丈夫た。邸にいるといい…キャシー達との話もあると言っていただろう?」
ランドルは、優しく微笑みながら言った。
「そうですか……?では、私はラン様が王宮へ行かれてる間は領地へと行かせて頂きますね。」
ルージュは、心配そうな表情をするもすぐに微笑みを浮かべてランドルへと言った。
「あぁ…そうするといい。」
ランドルが、ルージュへと言った。
「とろこで、今日これからの予定は?」
ランドルが、話題を変えるようにルージュへ尋ねた。
「今日は、これから少し庭の畑の経過を見てこようかと思っています。ラン様は、ゆっくりしていて下さい。」
ルージュは、にこりと微笑みながら言った。
「私も一緒に行ってはダメか?」
ランドルは、少し寂しそな表情でルージュへ尋ねた。
「ダメではありませんが、体調は回復したとはいえ少しは安静に休まれないとまた体調不良になってはいけませんので…」
ルージュは、心配そうな表情で応えた。
「私の一番の安静は、ルーと一緒にいる時間だよ。邪魔はしないなら一緒に行ってもいいか?」
ランドルは、捨てられた子犬の様な表情でルージュへと言った。
「分かりました…。では、一緒に行きましょう。ですが、ラン様はベンチへと腰かけて休んでいて下さいね?」
ルージュは、断れる雰囲気ではないと察して言った。
「あぁ…私はベンチに座ってルーを眺めているよ。」
ランドルは、嬉しそうに微笑みながらルージュへ言った。
「もぅ…ラン様ったら。」
ルージュは、ランドルの嬉しそうな顔を見て思わず自分も笑みを溢しながら言った。
(本当に、私…ラン様には弱いわね…ふふ…でも一緒にいれる時間が増えるのは嬉しいわ…前世は、極道の孫ってだけで本当に色々とあって今世では平凡ライフを過ごしたいってあれ程思っていたのに、今ではラン様と夫婦としての幸せな時間をこれからもずっと過ごしていきたいって思ってるんだものね…本当にこんな幸せな時間がいつまでも続けばいいのに…)
ルージュは、ランドルと笑い合いながらそんな事を考えていたのだった…




