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51.周りはルージュに驚かされてばかり

ランドルとルージュが、想いを確かめ合っていたその頃……


オパール公爵邸には、マークとカイルが訪れていた。


ルージュが、オパール公爵邸を抜け出して少し経ってからエミーがルージュの居ない事に気づいたのだ。

部屋には、グレイ達への置き手紙とカイルに向けての手紙が置いてありエミーは急いで手紙をグレイへと見せたのだった。


グレイ達に向けた置き手紙には、自分はランドルを探しに出るけれど心配は無用…

朝方になったら、その事をカイルとマークに告げてカイルの宛の手紙を渡して欲しいと書いてあったのだった。


手紙を読んだグレイ、アンジー、エミーはその場にひっくり返りそうになった。


「奥様は、本当に突拍子もない行動を何度されれば…」


グレイは、頭を抱えながら言った。


「グレイさん…そこは慣れるしかありませんわ…私も今まで何度もひっくり返りそうになりましたから…きっと今回もルージュ様の事なので考えあっての行動なのでしょう…さすがに…部屋を抜け出されたのは初めてですけど…」


エミーは、苦笑いしながらグレイへと言った。


「はぁ…一先ず夜が明けたらパトリック辺境伯邸へと言伝を伝えよう…」


グレイは、ため息をつきながら言った。


「はい…畏まりました。」


エミーが、苦笑いしながら応えた。


そして、夜が明けたのと同時にパトリック辺境伯邸へと言伝を伝えた。


その後、物凄い早さでカイルとマークがオパール公爵邸までやって来たのだ。


「マーク様、カイル様お待ち申しておりました…早速ですがこちらがルージュ様からカイル様宛のお手紙でございます。」


グレイは、マークとカイルを迎え入れるとルージュからの手紙をカイルへと渡したのだった。


「ありがとうございます…」


カイルは、グレイへとお礼を言うと手紙を受け取り封を開けて中身を出して読み始めた。


"カイルお兄様へ


この手紙を読む頃には、お兄様は私に怒ってる事でしょう…

ですが、一刻を争う事でしたのでお叱りは後で受けますね。

殿下が持っていた地図の旧版に新版に記載されてなかった場所を旧版で見つけたのです。

その場所は、ラン様が落ちたと思われる崖から少し進んだ傾斜が緩めだと思われる崖の真下にある様ですの。

もし、ラン様が生きておられるとしたらその場所にいる可能性もあると思いましたの。

きっと、ラン様は負傷しているでしょうから私は一足先にその場所にへ向かう事にします。

私が向かう崖の場所には、木に馬を繋いでおくので目印にして下さい。

こちらへ向かわれ際に長くて強度のある縄を何本か持ってきて下さると助かります。

殿下やハミエルには、内緒にしておいて下さいね。

お叱りを受けるのはお父様とお兄様だけで十分ですので…

では…なるべく早めに来て下さいね…


        ルージュより"



「カイル!手紙には何と書いてあったのだ?!」


マークが、手紙を読み終えたカイルへ尋ねた。


「どうやら、ルージュは大佐がいるかもしれないという場所を見つけた様でそこへ向かったみたいなのです…皇太子殿下やハミエル殿下には秘密にして私とマーク大佐だけで助けに来て欲しいとの事です…」


カイルは、手紙の内容をざっくりとマークへと伝えた。


「ルージュ様が?!そんな場所があるとは本当なのか?!」


マークは、驚きながら言った。


「はい…どうやらオパール大佐が落ちたと思われる崖から少し先へ進んだ場所の様です…そこへルージュが木に馬を繋いで目印にしているそうです。」


カイルは、マークへお伝えた。


「うっ…馬?!だと?!」


マークは、目を点にして驚いた表情で言った。


「はい…はぁ…マーク大佐が色々と聞きた事などあるとは思いますが今は一刻も早く二人の救出に向かわなければです。」


カイルは、ため息混じりにマークへ言った。


「そうだな…では、すぐに支度をして向かおう。」


マークは、真剣な表情をして言った。


「はい。」


カイルも、真剣な表情で応えた。


そして、心配そうなグレイ達に見送られてマークとカイルは馬を走らせルージュ達のいる場所へと向かったのだった。



マークとカイルが、馬を走らせている頃ランドルとルージュは洞窟の中で話をしていた。


「ルー…ところで…ここまでどうやって一人で来たのだ?!」


ランドルは、ふと不思議に思っていた疑問をルージュへ尋ねた。


「馬に乗ってですけど…」


ルージュは、キョトンとした表情で応えた。


「うっ…馬だと?!ルーは馬にも乗れるのか?!」


ランドルは、驚きのあまり目を見開いて言った。


「あっ…そういえば乗馬が出来る事は話していませんでしたね…」


ルージュは、苦笑いしながら応えた。


「聞いていない…まさか…剣術だけでなく乗馬も出来るとは…一体お義父上はルーに何個の事を教えたのだ…」


ランドルは、驚きを隠せないまま言った。


「そうですね…後は、木登りなども教わりました。ですので、縄を使い崖を下りる事もできたのです。ふふ…まさかここで役に立つとは思ってもいなかったです。」


ルージュは、ケロっとした表情で応えた。


「崖を下りただと?!はぁ…ルー…そんな危険な事はするな!もしも、落ちてしまったらどうしていたのだ!」


ランドルは、ルージュの口から次々と出てくる言葉に驚きとながらも少し怒った口調で言った。


「実際、落ちる事なく辿り着けたでしょう?そんなに眉間にしわを寄せないで下さい。心配しなくてもこんな危険な事はもう…しませんわ。危険をおかしてまでもラン様を助けたかったのですから…ねぇ?」


ルージュは、ランドルが強い口調で言ったにも関わらずランドルの眉間のしわを指で撫でながらケロっと言った。


「なっ…はぁ…本当にルーには驚かされてばかりだしいつもルーのペースに呑まれてしまうな…」


ランドルは、ため息混じりにルージュへと言った。


「ふふ…それは申し訳ありませんね。あっ…それよりもラン様は何故崖から落ちたのですか?そこがとても腑に落ちなかったのです…」


ルージュは、ランドルが行方不明になったと聞いた時からそこをとても不思議に思っていたのでランドルへ尋ねた。


「それがな…殿下が怪しい人影を見たと言わて、殿下が一人でそこへ向かわれたのですぐに後を追ったのだ。殿下の姿が見当たらなくまさかと思い崖へと向かったのだ…崖の付近に着いたところで何やら物音がしたので怪しい人影の正体かと思いそちらの方を振り返ったのだ。その瞬間に急に胸ポケットに矢が刺さっていだ。そのせいで立ちくらみが起きてしまい体制を崩してしまって崖から落ちたのだ…落ちる前に人影の様なものを見たのだが目がかすみよく見えなかったのだがな…恐らくその者が私に矢を放ったのだろう…」


ランドルは、自分が崖なら落ちた経緯をルージュへと険しい表情をしながら説明した。


「矢が胸に刺さったのですか?!胸はどうもないのですか?!」


ルージュは、ランドルの言葉に驚き言った。


「あぁ…本当なら死んでいただろうが……これが…これのお陰で心臓に矢が刺さらずに済んだのだ…」


ランドルは、心配で驚きを隠せないルージュにそっと胸ポケットから手帳を取り出し見せたのだった。


「これは…手帳ですか?!」


ルージュは、ランドルに見せられた物を見て言った。


「あぁ…これはいつも私が持ち歩いている物なのだがこの中には私が大切にしているしおりが入っているのだ…」


ランドルは、そう言うと手帳の中から一枚のしおりを取り出しルージュへと見せた。


「四葉のクローバーのしおりですね…」


ルージュが、しおりを見て呟いた。


「あぁ…このクローバーは九年前にルーが私にくれたものなのだよ…私に幸運が訪れる様にと…クローバーが萎れてしまう前にアンジーが押し花にしてしおりを作ってくれたんだよ…それからは肌身離さずずっと手帳に入れて持ち歩いているのだよ…このクローバーはルーという幸運を運んできてくれただけではなく、私の命も守ってくれたんだよ…」


ランドルは、ルージュへ優しい表情を浮かべて説明した。


「私が、あげたものをこんなに大切にしてくれていたのですね…ラン様を守ってくれた事に感謝しなくてはいけませんね…」


ルージュは、とても愛おしそうな表情を浮かべてランドルへ言った。


「あぁ…ルーに感謝しなくてはな…」


ランドルも、愛おしそうにルージュの頬を撫でながら言った。


「私にですか?!」


ルージュは言った。


「あぁ…ルーには感謝しっぱなしだよ…このタイミングで結婚式の写真を送ってくれた事もとても感謝しているし嬉しかったからな。写真を見て諦めない気持ちがより強まったからな…」


ランドルは、にこりと微笑みながら言った。


「本当に…ラン様はいつも私の事を褒め過ぎですわ…ふふ…」


ルージュは、とても幸せそうな笑みを浮かべて言った。

そんなルージュを見て、ランドルも幸せそうに微笑んだのだった。



その時……


「ルージュ!!オパール大佐!!」



カイルの声が聞こえたのだった……

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