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50.再会と伝えた気持ち

ランドルの元へと駆け寄ったルージュは、改めてランドルが目の前にいる事を確認した。


「ラン様、大丈夫ですか?どこかお怪我されてるのではないですか?」


ルージュは、とても心配そうにランドルへと尋ねた。


「ルー…本当にルーなんだな…幻ではないのだな…」


ランドルは、ルージュの頬を優しく触りながらルージュが目の前にいる事を確かめた。


「幻などではありません。私はここに居ますわ。それより…怪我の方を見せて下さい…」


ルージュは、ランドルの頬に両手を当ててランドルの目を見て言った。


ルージュに言われたランドルは、自分の腕をルージュへと見せた。


「崖から落ちた際に、幸いして崖の下辺りにあった木に落ちたお陰で命は助かったが…落ちた拍子に…腕を負傷してしまってな…どうやら傷口が化膿している…様なのだ…」


ランドルは、痛々しい表情でルージュへと説明しながら負傷した腕を見せた。


「あ…かなり化膿されてますわ…熱も出てきている様ですね…少しでも早く楽にして差し上げますわ…」


ルージュは、ランドルの傷口を見て痛々しそうな表情を浮かべながら鞄の中に入れていた薬草とガーゼを取り出した。


そして、ランドルの腕の傷口にすり潰しておいた薬草をしっかひと塗りこみガーゼを巻いた。

そして、きれいなハンカチを持ってきた水で濡らしてそれをランドルの額へと乗せた。


「これで、化膿している部分はすぐによくなりますわ…化膿しなくなれば熱もすぐに下がりますわ…一先ずお水をお飲み下さい。クッキーもありますから少しだけ口にして下さい。」


ルージュは、手当を済ませてランドルに言うと更に鞄から飲食類を出したのだ。


「食べるものは…これが…あったから空腹もしのげたんだ…」


ランドルは、そう言うとに袋をルージュに手渡した。


「これは…」


ルージュは、袋を見て呟いた。


「そうだ…ルーが戦いに行く時に持たせてくれたドライフルーツや木の実だよ…これのお陰で空腹を抑える事が出来…命が繋がってくれているさ…」


ランドルは、傷口が痛みながらも優しい微笑みを浮かべながらルージュと言った。


「お役に立てたみたいで良かったですわ…さぁ…少し眠って下さい。」


ルージュは、にこりと優しく微笑みながらランドルへと言った。


「あぁ…すまない…少しだけ眠らせて貰うよ…」


ランドルは、申し訳なさそうにルージュへと言った。


「はい…」


ルージュは、優しく言った。


そして、ランドルはすぐに眠りについた…


ルージュは、そんなランドルを見て少しホッとしたのだった。

そして、ランドルの手を優しく握りしめた…


(本当に…本当に…ラン様が無事で良かったわ…本当に目の前にいるのね…怪我をされているけれど薬草を塗り込んだから化膿も止まってくれて熱も下がってくれそうだから良かったわ…本当に生きててくれて良かったわ…)


ルージュは、寝ているランドルの手を握りながらランドルの寝顔を見て思ったのだった…


そして、いつの間にかルージュも眠りについていたのだった…


日が昇るか昇らないかの時間にランドルは目を覚ました…


「んっ………」


ランドルは、目を開けて声を漏らした…

そして、起き上がろうとすると手に違和感を感じた。


違和感を感じたランドルは、自分の手元を見た。

そして、驚いた。


「ルー?!」


ランドルは思わず声をあげた。


ランドルの声でルージュは目を覚ました。


「んっ…あれ…私はいつの間に眠っていたのかしら…ん?ラン様…もう起きて大丈夫なのですか?」


ルージュは、目を覚ますといつの間にか眠っていた事に驚きつつ横にいるランドルが目を覚ましていた事に気づき尋ねた。


「え?あぁ…熱が引いたお陰か随分と身体が楽になったよ…それよりも…昨夜の事は夢でも幻でもなく現実だったのだな…私の目の前にルーがいる…」


ランドルは、ルージュに尋ねられたので体調の具合を伝えた。

そして、目の前にいるルージュが現実の事だと改めて実感した様に言った。


「そうですよ。これは現実ですわ。さぁ…傷を見ますから腕を見せて下さい。」


ルージュは、優しく微笑みながらランドルへと言った。


「あぁ…」


ランドルは、ホッとした様な表情で言った。


そして、ルージュはランドルの腕のガーゼを取り外し傷の具合を確認した。


「化膿も大分と良くなっていますわ…良かった…この薬草を持ってきて正解でしたわ…新しいものと交換しますね…」


ルージュは、ランドルの傷の化膿具合が良くなっているのを見てホッとした表情で言った。


「ルー…ありがとう…」


ランドルは、優しく微笑みながらルージュへと言った。


「どういたしまして…ラン様…生きていてくれてありがとう…ございます…」


ルージュは、涙を堪えながらランドルへと言った。

ランドルが、もう手遅れになっているかもしれないと聞かされても…もう二度と会えないかもしれないと思った時もルージュは泣く事を必死で堪えていたが、ランドルが目の前にいるという事実に涙が溢れ落ちそうになっていたのだった。


「ルー…無事に帰ると約束したのに、心配かけてすまなかった…不安にさせてすまなかった…」


ランドルは、ルージュの表情を見て胸が締め付けられながらルージュへと言った。


「ラン様が、もう手遅れになっているかもしれないと聞かされた時は頭の中が真っ白になりました…もう二度とラン様に会えないと思った時にとある気持ちに気づいたのです…しかし、それをラン様の顔を見て直接伝えたる事がもう出来ないのかと気持ちが落ちてしまっていたのです…ですが、その時…私の名前を呼ぶラン様の声が聞こえたのです…実際には聞こえた様な気がした…なのですがその時にラン様は絶対に生きていると確信したのです。私との約束を破る事などラン様はしないと…本当にあの時諦めないで良かったです…」


ルージュは、何とも言えない切なそうな表情でランドルへと話をした。


「ルー…諦めないでくれてありがとう…私も何としてでもルーの元へと戻らなければと思い必死でこの場所へ辿り着いて良かったよ…」


ランドルは、ルージュの話を聞き更に胸が締め付けられる様な気持ちと表情になり言った。


「ラン様も諦めないで下さりありがとうございます…」


ルージュは、涙を浮かべながらも微笑みながら言った。


「それで…その…ある気持ちに気づいたとは一体……」


ランドルは、ふと先程ルージュが言った言葉が気になり尋ねた。


「え?えっと…それは…ですね…その…」


ルージュは、急にランドルに尋ねられ慌てて言った。

そんなルージュを見てランドルは不思議そうにしていた。


(ルージュ…うじうじしないでラン様への気持ちを伝えるのよ…)


ルージュは、心の中でそんな事を思ってランドルへ気持ちを伝える覚悟を決めた。


「私…ラン様の事が好きなのです…ラン様に恋をしている…という思いに気づいたのです…」


ルージュは、耳まで真っ赤に染めながら恥ずかしそうにランドルへ気持ちを伝えたのだった。


ランドルの反応がないことに不思議に思ったルージュは、そっとランドルの方を見た。

すると、ランドルは放心状態になっていた。


「ラン様!大丈夫ですか?!どうかされましたか?体調が悪くなられたのですか?」


ルージュは、放心状態のランドル見て慌てて尋ねた。


「いや…大丈夫だ…いや…大丈夫じゃないな…ルーが私を好きだなんて…これは…夢なのか…」


ランドルは、放心状態のまま呟いた。

そんなランドルを見て、ルージュはホッとしたのか気が抜けたのか思わずクスリッと笑った。


「ふふ…ラン様ったら…夢ではありませんわ…私はラン様に恋をしてあなたの事が好きなのです。」


ルージュは、満面の笑みを浮かべてランドルへと言った。


「いつから…」


ランドルは、ようやく放心状態から抜け出して呟いた。


「きっと…初めてオパール公爵邸へと訪れた日に見たラン様の笑顔を見た時からですわ。それからもラン様と一緒に過ごすうちにどんどん好きになっていったのだと思います…ですが、今まで恋などした事がなかったので気持ちに気づくのが遅くなり気持ちを伝えるのが遅くなってしまい申し訳ありません…」


ルージュは、オパール公爵邸へと訪れた日の事や日々ランドルと過ごした時の事を思い出すように優しい表情で言った。


「こんなに…嬉しい事が起きてバチが当たらないだろうか…」


ランドルは、未だに信じられないという表情で言った。


「ふふ…当たりませんわ…ラン様を前にしてきちんと自分の口で気持ちをお伝え出来て良かったですわ。」


ルージュは、クスッと微笑みながらランドルへと言った。


「ルー!!」


ランドルは、ルージュの名前を呼ぶとルージュの事を思い切り抱きしめたのだった。

ルージュは、驚きながらもランドルを抱きしめ返したのだった…


(暖かい…ラン様のぬくもりだわ…ラン様に抱きしめられる事がこんなにも落ち着くなんて…)


ルージュは、ランドルと抱きしめ合いながらそんな事を思っていたのだった。


「ルー…好きだ…」


「私も…ラン様が好きです…」


二人は、小さな洞窟の中でお互いの気持ちを確かめ合う様に言葉にして抱きしめ合ったのだった………

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