5.ルージュと侍女エミー
ルージュは、エミーと部屋で話を始めた。
「エミー…エミーの言い分もよくわかるわ…エミーは優しいから私の事を思って怒ってくれてるのよね?ありがとう。私の為に……ふふふ…本当に、エミーは私のお姉様みたいね。」
エミーの怒っている姿を見て、ルージュは笑みを溢しながらエミー言った。
「ルージュ様!!何を笑っているのですか。まったく身勝手な事をされた張本人だと言うのに…こんな話、母が聞いたら私より大激怒しますよ。」
エミーは、笑っているルージュを見て頬を膨らませながら応えた。
「ふふ…そうね…エナが聞いたらエミーより怒りそうね。でもね…エミー、お父様やお兄様にも言ったけど私は本当に大丈夫よ。むしろ、これを期に自分のやりたかった事が出来るのだから良かったとまで思ってるのよ?」
ルージュは、未だに怒りがおさまらないエミーへと笑顔で言った。
「もう…ルージュ様には叶いません。幼い頃から笑顔で誤魔化すのですから…それよりやりたい事とは?先程の、私にも手伝って欲しいというのはそのルージュ様のやりたい事に関係するのですか?」
エミーは、ルージュの笑顔の対応を見て半ば呆れた様な表情で応えて、ルージュの言葉を不思議に思い尋ねた。
「さすがエミー。鋭いわね。その通りよ。私ね…子供の頃から新しい領地を一から開拓して平凡な生活をしてみたいと思っていたのよ。」
ルージュは、目を輝かせながらエミーへと自分の思いを伝えた。
「平凡な生活ですか?平凡といいますと?」
エミーは、疑問に思いルージュへと尋ねた。
「そうね…平凡な生活とは何の争い事もなく、自分のやってみたい事をやりながらもパトリック辺境伯家や人の役に立てる事を自分の出来る範囲でしてみたいのよ…上手く開拓すればその領地に住みやすい町を作ってもみたいのよ。今あるパトリック辺境伯家の領地にある小さな町の様にね。」
ルージュは、自分自身が思っている事を細かくエミーへと説明した。
(前世の私は、極道ばかりいる中で育ったからやりたい事も普通の家の子の様に出来なかったものね…恋だってまともにしないまま死んじゃったものね…でも、人の為にって思うのは前世と変わらないわね。前世でおじいちゃんがよく言ってたよわね…おじいちゃんは仁義って言葉を大切にしてたものね…)
ルージュは、エミーと話をしながら頭の中ではそんな事を考えていたのだった。
「はぁ…本当にルージュ様は、昔から変わらないですね。昔からこうと思ったら譲らなかったですものね…そして…誰かの為にという優しく気持ちも変わらず持ってらっしゃいますね…それで、…私は何をお手伝いしたらいいのですか?」
エミーは、困った様な顔に笑顔を浮かべてルージュへと言った。
「さすがエミーね。私の事をよく解ってくれてるわね。ありがとう…エミー…」
ルージュは、エミーの言葉に嬉しくなり笑顔でお礼を言った。
(エミーって、前世で両親がいなくなった私のお世話をおじいちゃんと一緒にしてくれてたおじいちゃんの妹のキクさんによく似てるのよね。だからなのかな…エミーが居てくれると安心出来るし心強いのよね…ふふ…)
ルージュは、エミーを前世でお世話になってたキクを思い出しながら見ていた。
「それでね…エミーにも私が平凡ライフを送れる様に色々と協力して欲しいの。力作業なんかもあると思うし、週の4日程は領地へ足を運びたいと思ってるのよ。だから、その度にエミーには付き合ってもらう事になると思うのだけど…協力してくれる?」
ルージュは、エミーに協力して欲しい事をエミーへ説明した。
「その様な事でよろしいのですか?そんな事なら、喜んでお手伝いしますよ。何だか楽しそうですしね。」
エミーは、拍子抜けした様な表情で笑顔を浮かべてルージュへ応えた。
「そんな事って…エミーには頭が上がらないわね。ふふ…早速明日から陛下かから頂いた領地へ行こうと思ってるから支度の方お願い出来る?とりあえずは、動きやすい格好で行きたいから洋服もお兄様のお古の丈を調節した物を着ようと思うから。」
ルージュは、明日の行動についての説明を丁寧にした。
「畏まりました。お任せ下さい。それにしても計画に抜け目がありませんね。まるでずっと前から計画した様ですね。」
エミーは、笑いながらルージュへと言った。
(ははは…エミー…ごめんね…この計画は何年も前から少しづつ計画してた事なのよ……なんて言えないけどね…)
ルージュは、エミーの言葉にドキっとしながら苦笑いしながら思っていた。
「計画を立てるなら、抜け目がない方がいいでしょ?では、明日から…よろしくね。」
ルージュは、苦笑いしつつ言うとすぐに笑顔になりエミーに言った。
「はい。ルージュ様。」
エミーも笑顔で応えたのだった。
こうして、ルージュはエミーへ平凡ライフを送る為の話をして協力して貰える事が決まり、明日からの為に準備を始めたのだった。
※
翌日、ルージュの平凡ライフに向けての計画を実行する日がやってきた。
ルージュは、出かける前にディーンに出かける事を言う為にディーンの執務室へと訪れた。
コンコンッ。
ルージュが、ディーンの執務室の前へ着くと部屋の扉をノックした。
「はい。」
中から、ディーンが返事をした。
「お父様、ルージュです。」
ルージュは、中へ向かって応えた。
「おぉ…ルージュか。丁度いいところに来た。入りなさい。」
ディーンが、どことなく機嫌が良さそうなトーンの声で言った。
(お父様、何だか機嫌が良さそうね。というより丁度いいとはどういう事かしら…)
ルージュは、ディーンの言葉を聞き思った。
「失礼します。お父様、私はこれからエミーと一緒に陛下に頂いた領地へ…………」
ルージュは、部屋へ入るなりディーンに出かける事を言いかけたところでディーンの座っている向かいに誰かが座っている事に気づいた。
(誰かしら…お父様のお客様かしら…)
ルージュは、不思議に思っていた。
「おぉ。ルージュ。丁度いいところへきたね。今、ルージュを呼びに行かせようとしていたところなんだよ。さぁ…ルージュこちらへ来なさい。」
ディーンは、ニコニコと微笑み嬉しそうな表情でルージュへ言った。
「??はい……。お父様。」
ルージュは、不思議に思いながらもディーンがいるところへ行った。
「さぁ…ルージュ。こちらへ座りさい。」
ディーンは、ルージュを自分の横へと座れせた。
そして、ルージュは座ると向かいに座っている男性を見た。
「こちらは…?」
ルージュが、とても不思議に思いディーンへ尋ねた。
「あぁ。こちらは、オパール公爵様だ…ルージュを是非、妻にと仰っられ結婚の申し入れをされる為にわざわざお越し下さったのだよ。」
ディーンは、満面の笑みを浮かべて嬉しそうにルージュへと言った。
「え?………はい?」
ルージュは、ディーンの言葉に一瞬何が起こっているのか理解が出来なかったのだった………
 




