49.ランドル救出大作戦
ルージュは、ランドルへと恋心へ今更気づいた事にとてもやりきれない気持ちになっていた…
(もう二度とラン様に会うことも…顔を見ること出来ないままお別れなの……?)
ルージュは、切なくなりそんな事を思っていた…
そんな時…
『ルー!!』
ルージュの耳にランドルの声が聞こえた。
「ラン様?!」
ルージュは、ランドルの声が聞こえたので回りをキョロキョロと見渡した。
しかし、ランドルの姿などなかったのだった。
「空耳?確かにラン様の声がしたのだけど…」
ルージュは、不思議に思い呟いた。
ルージュは、自分は空耳まで聞こえる様になったのかと苦笑いをしていた。
しかし、その時ルージュの頭の中にある考えが浮かんだのだった。
(もしかして…ラン様は無事なのでは?もしかしたらラン様は助けを求めてる?!だから、私の名前を呼ぶ声が聞こえたの?!そんなのは私の都合のいい話?!………。いいえ…ラン様はきっと生きておられるわ!だけど…未動きなどが取れずにいるのかもしれないわね…そうよ!ラン様が私との約束を破るわけないわ。必ず無事に帰ってくると約束したもの…)
ルージュは、空耳かと思ったランドルの声が聞こえた事に対してそんな事を思ったのだった…。
「でも…殿下やお兄様達が探しても見つからなかったのよね…それに…血の跡も…だとしたらラン様は怪我をされているから未動きがとれないという事になるわよね…だとしたら一刻も早く助けに行かないといけないわ!でも…どうやって?!」
ルージュは、一人でブツブツと真剣な表情で呟いていた。
「殿下達が見ていた地図…どこかで見たことがあったのよね…どこだったかしら……んー………あっ!そうだわ!あそこで見たんだわ…。」
ルージュは、何故かサミエル達が捜索の為に見ていた地図の事が気になり考えながら呟いた。
そして、ルージュはハッと思い出した様に自室から飛び出しランドルの執務室へと向かったのだった。
ルージュは、ランドルの執務室へと辿り着きそっと部屋の中へと入った。
そして、部屋の中にある本棚へと向かい一冊の本を手に取った。
「やっぱり…どこかで見たことがあると思ったらこれだったのね…」
ルージュは、思い出し納得した様に本を手にして本のページをめくったのだった。
そう……
ルージュは、以前ランドルの執務が終わるのを本を読みながら待っていた事がありその時に読んだ本にサミエル達が見ていた地図が載っていたのだった。
しかし、本に記載してある地図はサミエル達が見ていた地図と少し違っていたのだった。
「あったわ。殿下達が見ていた地図ね…でも、この地図は殿下達が見ていた地図とどことなく違う様な気もするわね…んー…何が違うのかしら…」
ルージュは、そう言うとじっと地図に見入った。
「あっ!!これだわ!殿下達が見ていた地図にはこんな場所は記載されていなかったわ。確かこの地図は、殿下の持っていた地図より古い地図の様ね。というのとは…新しい地図に記載がないのにこちらの地図には記載してある場所は………ん!ここだわ。」
ルージュは、サミエルが持っていた地図を思い出しながら本に書いてある地図凝視した。
そして、一つの場所を見つけたのだった。
「恐らくここは、小さな洞窟か何かかしら…きっと場所的にも危険なところだから新しい地図には記載がないのでしょうね…確かにこの位置は危険な場所の様ね…滝まで流れる川の途中にあるみたいだものね…川を渡らずにこの洞窟に行ける方法はないかしら…そこにラン様がいると決まった訳ではないけれど可能性が0でないなら確かめないとね…」
ルージュは、地図の違いを見分けてある場所を突き止めたのだった。
「んー…この場所の上はラン様が落ちたとされている崖よりかは急斜がきつくはなさそうね…女の私一人くらいなら一人で縄を使えば下りて行けそうね…」
ルージュは、何かを思いついた様な表情で呟いた。
(殿下やハミエルにこの事を伝えても危険だからやめておけと言われるのは目に見えてるわよね…もちろん、お兄様やマークさんやグレイさんやアンジーさん、エミーにも反対されるわよね…でも、今から殿下達に言ったところで一秒でも早く向かいたいなら報告する時間も惜しいわね…となると…取る行動は一つしかないよね…)
ルージュは、眉間にしわを寄せながら考え込んだ。
そして、一つの結論に辿り着いたのだった。
それは…危険を覚悟でルージュ一人でランドルを助ける事だった。
そうと決まればルージュは、すぐにエミーにバレない様に行動
したのだった。
身軽に持っていける荷物に、薬草と包帯…
水、お茶菓子様にのけておいたクッキー、薄手の毛布を鞄に詰めたのだった。
そして、急いで畑仕事用の服装に着替え髪の毛を一つにまとめた。
そして、バルコニーへと出てシーツを切って繋げた紐をバルコニーの柵へと結びつけた。
そして、それをつたい庭へと脱出した。
(よし!一先ず部屋からは出れたわね…それにしてもすっかり夜ね…エミーが夕食の為に呼びに来たら置き手紙に気づいてくれるわよね…黙って行く事を許してね…エミー…グレイさん、アンジん…お兄様…)
ルージュは、紐をつたい庭まで下りるとそんな事を思っていた。
そして、急ぎ足で厩舎へと向かった。
厩舎に着くと鞄の中に縄とライトニ個、わら少しを追加して入れた。
そして…
「いい子…公爵家の…あなたの飼い主を助ける為に力を貸してくれるかしら?」
ルージュは、厩舎にいる一頭の馬へと頭を撫でながら話しかけた。
「グルルルっ…ブルルゥゥゥ…」
ルージュに、撫でながら話しかけられた馬が応えた。
「ありがとう…では…行くわね。」
ルージュは、優しく微笑みながらそう言うとに厩舎から馬をだし荷物を背負い自分も馬へと乗り跨ったのだった。
(昔から乗馬も教えて貰っていて良かったわ…こんな時に役に立つなんて…)
ルージュは、馬に跨りながら思っていた。
そして、ルージュは地図を広げて位置を確認して馬を走らせたのだった。
ルージュは、夜に馬を走らせるのは初めてだったがランドルの事を助けたい一心で無我夢中で夜道を駆けたのだった。
そして…休憩を取ることなく二時間ほど馬を走らせ地図に記載されていた洞窟があるであろ場所の真上の崖までやって来た。
そして、馬からそっと降り鞄からライトを取り出した。
一つのライトを木にぶら下げ馬が怖がらない様にした。
そして、地面にわらを置いた。
そして、ルージュは縄を木にしっかりと結び固定した。
そして、腰にライトを結びつけて縄をしっかり掴み意を決して崖を降りる体制に入った。
(よし…ルージュ怖がらない、怖がらない…この下にもしもラン様がいるなら一刻も早く助けなきゃいけないのだから…それに…ルージュ…あなたは前世で極道の組長の孫だったんだから根性は据わってるはずよ。今こそそれを見せつける時が来たわ。)
ルージュは、そんな事を考えながら縄をしっかり持ち崖を降り始めたのだった…
ルージュは、慎重に縄をしっかりと掴み一歩一歩丁寧に降りた。
そして、ようやく洞窟の入口のところまで辿り着いたのだった。
(よし…ちゃんと降りれたわ…)
ルージュは、ホッとした表情で思った。
そして、腰元からライトを解きとり洞窟の中を照らした…
すると…中から微かに声が聞こえたのだった。
「だっ…誰だ…」
洞窟の中にいた人物が声にならない声で呟いた。
ルージュは、その声がする方をライトで照らした。
照らした先に居たのは……
「ラン様!!!」
ルージュは、洞窟の中に横たわっているランドルを確認すると大声でランドルの名前を呼んだ。
「ルー………?」
ランドルは、自分の名前を呼ぶ人物がルージュだと気づいた様にルージュの名前を呼んだのだった。
「ラン様!」
ルージュは、自分の名前を言われ急いで洞窟の中のランドルのところまで駆け寄ったのだった……




