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47.突然突き付けられた現実

カイルが、近づいてくる馬がランドルが乗っていた馬だと気づいた。


「あれは、オパール大佐の馬です。」


カイルは、慌てて言った。


「ランドルが乗ってないぞ!ランドルはどこだ?!」


カイルの言葉を聞きマークも慌てて言った。


「何故…オパール大佐がいないのだ…まさか!大佐の身に何かあったのか?!」


ハミエルが、カイルとマークの言葉を聞き慌てて言った。


「ハミエルを探して来ます。」


マークが、サミエルとハミエルへと言った。


「私も行きます。」


カイルも、マークに続いて言った。


「私も一緒に行こう。ハミエル、お前もついて来い。」


カイルとマークの言葉を聞き、サミエルが言いハミエルにも言った。


「はい。兄上。」


ハミエルが応えた。


「他のものは、ここで待機していろ。」


サミエルが、他の隊員にと言った。


そして…サミエル、ハミエル、マーク、カイルの四人はランドルが向かった方へと馬を走らせた。


四人は、崖の周辺と着いて辺りを見渡した。


「ランドルーー!!どこだ!」


「オパール大佐!いたら返事をしてくれー!」


「大佐ー!声が聞こえているなら返事をして下さい!!」


「オパール大佐ー!どこだー!」


四人は、大声でランドルの名前を叫んだ。

しかし、ランドルの応答はなかった…


「大佐は一体どこに…………」


カイルが、辺りを見渡しながら呟いていると何かを見つけた様だった…


「マーク大佐!これを見て下さい!」


カイルが、マークに向って焦った様に言った。

マークは、カイルに言われてカイルの側へ行きカイルが指さしているところへ目をやった。


そこには、ランドルの階級紋章バッジが落ちいていたのだった……


「これは…ランドルのバッジだ…」


マークが、顔を歪めながら落ちていたバッジを見て呟いた。


「やはり…オパール大佐のものですか…ここにバッジが落ちているという事は、大佐はまさか……」


カイルも、顔を歪めながら言った。


「どうした?!」


二人の様子がおかしい事に気づいたサミエルが、カイルとマークに尋ねた。


「それが…この崖の手前にランドルの紋章バッジが落ちていたのです…」


マークが、サミエルへと声を震わせながら応えた。


「何だって?!まさか…」


サミエルは、マークの言葉を聞き驚きながら崖の下へと視線を移した。


「兄上…まさかオパール大佐は崖の下へと……」


サミエルと共に、崖の付近に駆け寄っていたハミエルが眉間にしわを寄せながらサミエルへと言った。


「あぁ…恐らく…オパール大佐は足を滑らせたのか…この崖から落ちたのだろう……」


サミエルが、険しい表情で言った。

そのサミエルの言葉に、ハミエル、マーク、カイルは崖の下を見つめながら呆然としていた…


「そんな…大佐…まさか…」


「ランドル……」


「オパール大佐…そんな…」


マーク、カイルは呆然とその場に座り込み呟いた。


「皇太子殿下、ランドルの…オパール大佐の捜索の許可を頂けないでしょうか?!」


マークが、急に思い立った様にサミエルへと尋ねた。


「しかし…この崖はかなり高い崖で真下には大きな岩や流れの早い川がある。捜索をするのも危険が生じるのだ…それに、まずは国へ帰る事が優先事項となる。そなた達の気持ちはわかるが…オパール大佐の捜索は一旦国へ戻った後になってしまう…それに…こういう事はあまり言いたくはないのだが現実問題ここから落ちてしまっては助かる見込みはないだろう…」


サミエルは、険しい表情でマークへと説明した。


「そんな…」


マークは、サミエルの返答に肩を落とした。


「マーク大佐…カイル…兄上の言うとおりに今の優先事項は国へと戻り戦いの報告をする事なのだ…そなた達の気持ちもわかるが一旦国へと戻らねばならぬ…オパール大佐の事は改めて決めよう…ただ…兄上の言うようにここの崖から落ちたのなら…助かる可能性が低い事を理解はしておいてくれ…」


ハミエルが、肩を落としていたマークとカイルへやるせない表情をして言った。


「こんな事って…せっかく戦地から無事に戻ったというのに…こんな…こんな…ルージュに何と伝えればいいんだ…」


カイルが、今にも泣いてしまいそうなのを必死で堪えながら呟いた。


カイルの、言葉にその場にいた者はかける言葉が見つからなかった。


一先ず、四人は軍の皆の所へと戻り国に向けて進み出した。

一時間と少し経つと、王宮が見えてきたのだった。


王国軍が、王宮に到着すると待っていた国王へとサミエルが敵軍との戦いの経緯などを説明した。

そして、国王であるカイエルは軍の皆へと労いの言葉と称賛の言葉を述べたのだった。


その後、軍は各自解散となった。


そして、サミエルとハミエルはカイエルにランドルの事を話したのだった。

カイエルは、とても驚いていた。

カイエルへ事情を説明した後、サミエルとハミエルはマークとカイルと共にオパール公爵邸へとランドルの事を報告する為に向かったのだった。




その頃、オパール公爵邸ではルージュや使用人達がランドルの帰りを今かと待っていた。

前日に、ランドルから手紙が届き帰る事をルージュに伝えていたのだった。


「奥様…そろそろ旦那様がお帰りになる頃ですね。」


グレイが、微笑みながらルージュへと言った。


「はい。ラン様が帰宅されたら無事に戻って来られたらお祝いを始めましょうね。」


ルージュは、嬉しそうににこにこと微笑みながら言った。


「はい。承知しました。きっと旦那様はお喜びになりますね。」


グレイが応えた。


その時、外で馬車が着いた音がした。


「ルージュ様、馬車が到着された様ですよ。」


アンジーが、にこにこと微笑みながら言った。


「その様ですね。」


ルージュは、微笑みながら応えた。


そして、ルージュはランドルを出迎えようと玄関の扉を開けて出た。


ルージュが、玄関先に出ると馬車の扉が開き中から人が出てきたのだった。


「ラン様、お帰りなさいませ。お疲れ………えっと?皇太子殿下?」


ルージュは、馬車から出てきたのがランドルではなくサミエルだった事に不思議に思い声に出した。


サミエルが出てくると、後からハミエルにマーク、カイルも馬車から降りてきた。


「えっと…ラン…公爵様はどうされたのですか?」


ルージュは、何故この場にランドルが居ないのかを不思議に思い言った。


ルージュの問いかけに、ハミエルもマークもカイルも険しい表情をしたまま何も言わなかった…


すると…


「オパール大佐は、国へと帰る途中に不慮の事故に遭ってしまい…行方不明なのだ…。父上の許可が降りたので明日…オパール大佐が行方不明になった場所付近の捜索をする事になった。だが…場所が場所だけに恐らく助かっらなかったと思われる…」


サミエルが、応えにくそうにルージュへと説明した。


「え……?」


ルージュは、サミエルの言ったのとを瞬時に理解が出来なかった。


しかし…サミエルの後ろで必死に涙を堪えているハミエル…マーク…カイルを見てサミエルの言っている事を理解したルージュは、目の前が真っ暗になったのだった…

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