45.戦場では………
ルージュが、ルージュなりに過ごしていた頃……
ランドルは戦場での戦い中、マークの率いる部隊とランドル率いる部隊で一時の休息を取っていた。
「ふぅ〜…ようやく休めるな…」
ランドルが、身体を伸ばしながら言った。
「そうだな…今回の戦いはこちらが有利だから今日は少し長めに休息が取れるだろう…」
マークが、ランドルの言葉を聞いて言った。
「そうだな…」
ランドルは、フッと笑い応えた。
「大佐は、ルージュの事が気になって仕方ないのではないですか?」
カイルが、ニヤニヤとしながらランドルへと言った。
周りの部下たちもニヤニヤとランドルを見た。
「カイル!!」
ランドルは、カイルをキッと睨んだ。
「では、ルージュの事は気にならないのですか?」
カイルは、更にニヤつきながら言った。
「………。それは…妻だから気にはなるに決まっている…」
ランドルは、バツが悪そうに応えた。
「はは…本当にランドルはルージュ様には弱いな…鬼の面相の大佐もルージュ様が関わると角が抜けるな。だが…ルージュ様なら大丈夫だろうさ。」
マークが、笑いながらランドルへと言った。
「マーク…お前な…本当に言いたい事を言うな…まぁ…でもそうだな。ルーならば変わらず過ごしている事だろう。手紙も送ったから今頃は届いて読んでくれているだろう。」
ランドルは、マークをキッと睨みながら言うとすぐにふぅ〜と息を吐きながら言った。
「という事は、うちのキャシーにも手紙届いてるな。やはり軍人さんの妻をしていると何度経験しても夫が戦地に行くのは心配は尽きないと言っているからな…手紙が届く事で無事を確認する事が出来ると言ってたもんな…ルージュ様も、手紙を読んでランドルの無事がわかって安心しているだろう…」
マークは、先程の陽気さとは一転して真剣な表情で言った。
「やはり…何度経験しても慣れないか…だが、今回の戦いはこちらが遥かに有利だから予定より早く帰宅出来そうで良かったよ…長引くと余計に心配をかけてしまうからな…」
ランドルは、少し切なそうな表情で言った。
ランドル達が休息を取っている場所へ一人の隊員がやって来た。
「お話中失礼します。オパール大佐へお手紙が届いております。こちらです。」
やって来た隊員が、ランドルへと言うと手紙を手渡した。
「ありがとう。」
ランドルは、隊員から手紙を受け取るとお礼を言った。
ランドルは、手紙の差出人の名前を見て心臓が飛び跳ねた。
差出人は、ルージュだった。
「大佐、誰からの手紙ですか?」
カイルが、ランドルに尋ねた。
「ルーからの手紙だ…私が出した手紙の返事をくれたのだろう…私の手紙を読みすぐに返事を送ってくれたのだろう…」
ランドルは、手紙を愛おしそうに見つめながら応えた。
「大佐…顔が緩んでますよ…」
「はは…何て顔してるんだ…」
カイルとマークが、苦笑いしながらランドルへ言った。
だが、ランドルは二人の言葉など気にも留めずその場ですぐに手紙の封を開けたのだった。
"ラン様へ
お手紙下さりありがとうございました。
実を言うと…手紙が届くまでラン様はご無事かと気になり心配していました。
ですが、手紙を貰いとてもホッとしました。
ラン様が、怪我なく過ごしてらっしゃる様で安心しました。
戦いの方は、我が王国軍が有利とてくれぐれも油断されない様にして下さいね…
こちらは、毎日慌ただしく過ごしています。
実は、キャシーさん達が作っているレースが特産品として王都で販売する事が決まりました。他にも特産品になりそうな物の考案をする為に領地へと行き、町の皆さんと色々な話をしたりしています。
これで、町としての収入も増えますので今よりも豊かになっていくことでしょう。
少しでも、オパール公爵家の領地の町の力になれているみたいで嬉しく思っています。
こちらの事は、グレイさんやアンジーさんも居ますので心配なさらないで下さいね。
新婚旅行の件は、結婚式の時の様に夫婦二人の事ですので二人で話し合って決めましょう。
二人で決める為にも、必ず無事に帰って来てくださいね。
長くなってしまいましたが、くれぐれも身体には気をつけて下さい。
P.S カイルお兄様にもお手紙を書いたので渡して頂けると助かります…
そして、結婚式の時の写真が出来上がったので一枚同封してあるので良ければ見てください。
ルージュより"
ランドルは、ルージュの手紙を読み終えた。
「カイル、ルーからお前にも手紙がある。ほら…」
ランドルは、ルーにお願いされた通りに封筒に同封してあったカイルへの手紙をカイルへと手渡した。
「私にもですか?ありがとうございます。」
カイルは、妹からの手紙を嬉しそうに受け取った。
そして、ランドルは更に同封してあった結婚式の時の写真を取り出した…
そして、ランドルは写真を見た瞬間に周りが引くほどの優しい笑みを浮かべたのだった。
周りは、ランドルを見てクスクスと笑っていたがそんな事は気にする事なくランドルは写真に見入っていたのだった。
そして、ランドルはポケットから手帳を取り出した四葉のクローバーの押し花しおりが挟んである場所に、ルージュが送ってきてくれた写真も一緒に挟んだのだった。
そして、大事そうに手帳をポケットにしまったのだった…
この時のランドルは、まさか今後起こるまさかの事態に自分が陥るなど考えもしないままルージュの事を思いながら、夜が明けるまで仮眠を取ったのだった……
 




