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39.最高の思い出になった結婚式

教会の扉が開かれると…


「新婦のご入場です!!」


という声が教会内へと響いた。


その瞬間、教会内にいた皆がルージュとディーンの方へと視線を移した。


教会内には、オパール公爵家の使用人を含めた関係者。


パトリック辺境伯家関係者。

キャシー達、ドレス作りを手伝ってくれた領地の町の人達。


マークを始めとした、ランドルの直属の軍の関係者。

オパール公爵家とパトリック辺境伯家と交流がある貴族達。


ハミエル殿下と侯爵令嬢のカリーナ嬢。

そして、ランドルが教会内にへといたのだった。


ルージュとディーンは、皆に迎えられてヴァージン・ロードを歩き始めた。


そして、ルージュはヴァージン・ロードを歩きながらマークが持っていた物をしっかりと確認していたのだった。


実は、ルージュはランドルに内緒でマークへと頼んでいた事が会ったのだ。


それは、ランドルの死んだ友のマイケルの写真をマークに持って結婚式へと参列して欲しいという頼み事だったのだ。


ルージュは、死んだマイケルにもランドルの結婚式を見守っていて欲しいと思っていたのだった。


ランドルは、マークがマイケルの写真を持っている事にはまだ気づいていない様だったが気づいた時に喜んでくれるといいなとルージュは思っていたのだった。


そして、ルージュがランドルの元へと到着した。


(わぁっ…ラン様の正装姿とても素敵だわ…いつものラン様とは違う雰囲気ね。何だか別の方みたいだわ。ふふ…)


ルージュは、ランドルを目の前にしてそんな事を思っていた。


そして、ディーンがランドルへとルージュを引き渡そうとルージュの腕を離した。

だが、ランドルは一向にルージュへ腕を出さなかったのだ。


ルージュとディーンもだが、周りもどうしたのかと不思議に思っていた。


「公爵殿…」


ディーンが、小声でランドルへと声をかけるも反応がない。


「公爵殿!!」


ディーンが、もう一度少し声を大きくして言った。


すると、ランドルはハッとなり慌ててルージュへと自分の腕を差し出した。


どうやら、ランドルはルージュの姿を見て完全に固まっていた様だった。


(ふふ…まさか、エミーの言う通りになるなんてね…でも、それほどきれいだと思って下さったって事かしら…ふふ…嬉しいわ…)


ルージュは、クスッと笑みを浮かべながらそんな事を思いつつチラリとエミーの方を見た。

エミーも、言ったとおりでしょ?と言わんばかりにクスクスと笑っていたのだった。



そして、気を取り直してランドルとルージュは牧師の方へと体を向けた。



「新郎…ランドル・オパールは新婦…ルージュ・パトリックを妻とし共に時を重ね苦労を分かち合い慈しみ愛する事を誓いますか?」


牧師が、ランドルへと尋ねた。


「はい…二人が死を分かつまで…いや…死した後も、ルージュを永遠に愛する事を誓います…」


ランドルは、胸を張り真剣な表情で牧師へと誓った。


牧師はニコリと微笑み頷くとルージュの方を見た。


「新婦…ルージュ・パトリックは、新郎…ランドル・オパールを夫とし共に時を重ね苦労を分かち合い慈しみ愛する事を誓いますか?」


牧師が、ルージュへと尋ねた。


「はい…二人が死を分かつまでランドル様を愛し抜くと誓います…」


ルージュも、真剣な表情で牧師へと誓った。


牧師は、またもニコリと微笑み頷いた。


「では…指輪の交換を…」


牧師がそう言うと……


マークとキャシーの息子のジョージがしっかりと歩いて指輪をランドルとルージュの所まで運んできたのだ。


「ジョージありがとう。」

「ジョージくん…ありがとう。」


ランドルとルージュが、優しい笑みを浮かべてジョージへとお礼を言った。


そして、ランドルとルージュはお互いの指へと指輪をはめたのだった。


「では…最後に誓いのキスを…」


牧師が、二人へと言った。


二人は、向かい合い目を合わせた…

そして、ランドルはルージュのベールに手をかけた。

ランドルの手を緊張で震えていた。


そして、ベールを剥がすとルージュの顔があらわになった。


ランドルは、震える手をルージュの肩へと持っていった。


震えるランドルの手から伝わる緊張が移ってしまっのか、ルージュまで緊張してきたのだった。


(前世でも、まだキスなんてした事なったからどうすればいいのかわからないわ…んー…確か杏理がキスをする時は何とかかんとかと言っていたわね…確か…そっと目を瞑って相手を待つ…だったかしら…そんな事でいいのかしら…でも、他の構え方なんてわからないものね…二度目の人生だけど前世でも今世でも初めてのキスだわ…)


ルージュは、緊張しながら考えていた。

そして、前世で杏理が言っていた通りにそっと目を瞑りランドルを待った。


そんなルージュの表情を見てランドルは、覚悟を決めたのかルージュの顔へと近づき自分の唇をルージュの唇へと重ねたのだった…


(ラン様の唇柔からかいわ…キスするってこんな感覚と気持ちになるのね…凄く幸せな気持ちが溢れているわ…)


ルージュは、ランドルとキスをしながら思った。


だが、ルージュは何だかキスが長い様な気がしたのだ…


(誓いのキスってこんなに長いものなのかしら…)


ルージュが、不思議に思った。


すると…


「コホンッ…キスはもう終わって頂いても構いませんか?先に進めないので…」


牧師が、二人へと言った。


それを聞いたランドルは、慌てて唇を離した。

唇が離れたルージュは、急に恥ずかしくなり頬を赤らめた…

そして、そっと横のランドルを見た…

ランドルも顔を赤らめているのか気になったからだ…


そっと横を見たルージュは、ランドルを見て目を見開いた…


「ラッ…ラン様、鼻血が出てますわ…」


ルージュが、ランドルの鼻血に気づき慌てて言った。


その言葉を聞いた、ランドルは慌ててハンカチを取り出し鼻を拭いた。

すると、ハンカチには思い切り血がついていたのだ。


鼻血が出たことで、慌てるランドルだがルージュの素早い処置で血は止まった。


その一部始終を見ていた、来賓の者達は必死で笑いを堪えていたのだ…


牧師も笑いを堪えて咳払いをした。


「コホンッ…では、気を取り直しまして以上の儀式を終え…ここにいる新郎…ランドル・オパールと新婦…ルージュ・パトリックを夫婦として認める事とする…」


牧師が、ニコリと笑みを浮かべながら二人へと言った。


二人は、牧師へと敬意の礼をしたのだった。


改めて、晴れて夫婦と認められたランドルとルージュは教会の中央でウエディング写真の撮影をした。


その後、ルージュがランドルへとお願いしていた結婚式へ参加している人達全員と一緒に写真撮影をする事となっていたのだ。


写真を撮影する為に、皆が指定された場所へと移動する際にマークがランドルの元へと駆け寄りマイケルの写真を手渡したのだった。


「これは…」


ランドルは、驚いた顔でマークへと言った。


「ルージュ様に、事前に頼まれていたんだよ。マイケルも一緒に結婚式に参列して二人の結婚式をマイケルにも見せてあげて欲しいと…」


マークは、笑顔でランドルへと説明した。


ランドルは、マイケルの写真を抱きしめた。


「じゃぁ…ランドルにマイケルの写真は任せたからな…」


マークは、そう言うと笑顔で自分の立ち位置へと向かった。


ランドルは、写真を持ちルージュの隣へと向かった。


「ルー…ありがとう…」


ランドルは、目に涙を浮かべながら笑顔でルージュへとお礼を言った。


「ふふ…どういたしまして…さぁ…ラン様、写真のマイケルさんにも負けない程の笑顔で笑って下さいね。」


ルージュは、嬉しそうな笑みを浮かべながらランドルへと言った。


「あぁ…。」


ランドルは、最高の笑顔を浮かべながらルージュへと言った。


そして、皆の最高の笑顔が詰った最高の一枚が撮れたのだった。



こうして、ランドルがルージュの姿を見て固まったり…

誓いのキスでランドルが鼻血を出したり…

写真撮影の前にランドルが泣きそうになったりと小さなトラブルがあったが、それも結婚式の大切な思い出の一つとなった。


ランドルとルージュの結婚式は最高のものとなったのだった……

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