38.結婚式当日
よく晴れた日、ランドルとルージュの結婚式当日を無事に迎えた。
ランドルとルージュは、朝から支度に追われていたのだった。
ある程度の支度をした後、ランドルとルージュは馬車へ乗り込んだ。
着替えは、教会に着いてから行う予定だったのだ。
「今日が無事に迎えられて良かったよ。」
ランドルが、嬉しそうにルージュへ言った。
「はい。そうですね。お天気にも恵まれましたしね。」
ルージュも、嬉しそうなランドルへ言った。
「あぁ…そうだな。今日という日を一生の思い出に残る様に素晴らしい日にしよう。」
ランドルは、優しそうな笑みを浮かべながらルージュへと言った。
「はい。」
ルージュも、微笑みながら応えた。
そして、馬車は教会へと着きランドルとルージュはそれぞれ控え室へと案内されて正装に着替える支度が始められたのだった。
ランドルの控え室では、グレイがランドルの着替えを手伝っていた。
「旦那様…ようやく…ようやくこの日がやってまいりましたね…」
グレイは、しみじみとした表情でランドルへと言った。
「あぁ…九年前から夢見ていた事がようやく叶う日が来たのだ…」
ランドルは、ニヤニヤと笑みを浮かべながら言った。
「旦那様…顔がだらしなくなっておられますよ…」
グレイは、先程までしみじみとしていたがランドルの表情を見て苦笑いしながら言った。
「なっ…だらしがないなど…こんな日まで主人に対して何てことを言うのだ…まったく…」
ランドルは、ムスッとした表情でグレイへと言った。
「ですが、奥様の前でそんなだらしのない顔をしてしまう訳にはいかないでしょう?」
グレイは、ランドルの着替えをてきぱきと進めながら言った。
「そっ…それは、当たり前だ。」
ランドルは、慌てて言った。
「旦那様は、奥様の花嫁姿を見て顔をだらしなくしない自信はあるのですか?」
グレイは、ランドルの顔をじっと見ながら尋ねた。
「それはっ…自信がある…と思う…」
ランドルは、グレイから目を逸れせて言った。
「ふっ…左様でございますか。」
グレイは、思わずクスッと笑いを溢しながら言った。
そんなグレイを、ランドルはバツが悪そうな表情で見ていた。
一方、ルージュの控え室では……
「ルージュ様、ドレスの着心地の方はいかがですか?苦しくなどはありませんか?今日は、普段よりコルセットをきつめに締めていますので…」
エミーが、ルージュにドレスを着せながらルージュへと尋ねた。
「ええ…大丈夫よ。この程度の締付けは問題ないわ。ありがとうエミー。」
ルージュは、優しく微笑みながらエミーへと言った。
「畏まりました。では、お次は髪の毛を結っていきますね。」
エミーが、ルージュへそう言うと髪の毛を結い始めた。
「ええ。お願いするわね。」
ルージュが応えた。
「オパール公爵家へ嫁がれてから日もそれほど経っていないのに色々とありましたが、無事にこの日を迎えることが出来てよかったですね。」
エミーは、微笑みながらルージュへと言った。
「本当ね…色々とありすぎてあっという間に結婚式当日になってしまっわ…ふふ…でも、本当に無事に今日という日を迎える事が出来てよかったわ。」
ルージュも、微笑みながらエミーへと応えた。
「きっと、いつも以上に美しいルージュ様を見て公爵様は固まられるかもしれませんね。」
エミーは、クスクスと笑いながらルージュへと言った。
「ふふ…エミーったら…さすがにそれは言い過ぎだわ。」
ルージュも、くすくすと笑みを溢しながら言った。
(ラン様は、仮縫いの時に一度ドレスを着ているところを見てらっしゃっるしさすがにエミーの言うような事にはならないでしょうね…ふふ…でも、ラン様に一番キレイだと思って貰えるといいわね…)
ルージュは、自分でも気づかず無意識にそんな事を思っていた。
そんな会話をしているうちに、ルージュの髪の毛のセットも完了した。
ルージュの髪の毛は、とてもきれいに結い上げられていた。
そして、エミーは最後にルージュの首元にネックレスをつけた。
「このネックレスは、亡くなられた奥様が旦那様との結婚式につけておられた物ですか?」
エミーが、ネックレスを見てルージュへと尋ねた。
「ええ。そうよ。お母様の形見のネックレスよ。お父様に貸してもらえる様にお願いしていたのよ。」
ルージュは、とても嬉しそうに微笑みながらエミーへと応えた。
そして、すべての支度が終わったルージュはエミーに連れられ教会へと向かったのだった。
教会へ着くと、そこには父であるディーンが待っていた。
「お父様!お待たせして申し訳ありません。」
ルージュは、ディーンの姿を見るなり近づいて言った。
「大丈夫だ。それより…ルージュきれいだ。若い頃のアンジュにそっくりだよ…まさかこんなに早くルージュとヴァージン・ロードを歩く事になるとはな…娘の幸せを願う父としては嬉しい半面寂しい気持ちになるな…」
ディーンは、ルージュの姿を見るなり心なしか目を潤ませながらルージュへと言った。
「お父様…お父様が、今までお母様の分まで大切に私を育てて下さったお陰ですわ…こうして笑顔でお父様とヴァージン・ロードを歩ける事をとても嬉しく思います…今までここまで育てて下さりありがとうございました。違う家へと嫁いでしまいましたけど、これからもお父様の娘に変わりはありませんからこれからもよろしくお願いします…」
ルージュは、ディーンのそんな表情を見て自分も目が潤んできた。
そして、目を潤ませたまま笑顔を浮かべながらディーンに感謝の気持ちを伝えた。
「式の前に泣かせる様な事を言わないでくれ…まったく……そうだな…オパール公爵夫人となって私の娘に変わりはないなのだな…これからもルージュが娘であり続けてくれる事が嬉しくてたまらないな…」
ディーンは、今にも涙が零れそうなのを必死で堪えながら泣き笑いの様な笑みを浮かべてルージュへと言った。
「さぁ…今からが本番だ。ルージュの最高の姿を皆に自慢してやろうじゃないか。」
ディーンは、胸を張り笑顔でルージュへと言って自分の腕をルージュへと差し出した。
「ふふ…はい。お父様ったら…」
ルージュは、クスクスと微笑みながらディーンに自分の腕を絡ませたのだった。
そして、二人が教会の扉の前へ立つと扉が開けられたのだった……
 




