37.ルーの無事と疑念〜sideランドル〜
私は、マークとオパール公爵家の領地から三十分程先にある森の近くへと来ていた。
森の回りを見回っていた時だった。
森の中から微かに煙がたっているのが見えた。
(まさか…あそこにルーがいるのか…?)
私は、煙を見つめながら思った。
私は、マークへ急ぎ煙が立っている場所へ行こうと言い山の中へと馬を走らせた。
煙がたっているという事は、その場で火が燃えているという事だ…
そこに、ルーがいるとしたら万が一という事もないとは言い切れないと、私は背筋に冷たい感覚を覚えた。
(何を考えている!万が一の事などあってたまるか!)
私は、一瞬でもルーに万が一の事があるかもしれないと思った自分に自分で喝を入れた。
そして、段々と煙がたっている場所へと近づいてきた。
そして、煙がたっている場所へと馬ごと乗り込んだのだ。
すると、火が燃え煙がたっている前にルーの姿があったのだ。
私は、ルーの姿を見た瞬間に馬から急いでおりルーの元へと駆け寄った。
見た様子だと、ルーに大きな怪我などはない様だった。
私は、ルーが目の前にいる事が現実なのかを確かめる為に無意識にルーを抱きしめた。
ルーを抱きしめながら、ルーの無事を改めて確認した。
ルーは、大丈夫だと言って私を安心させるかの様に抱きしめ返してくれたのだった…
その後、マークがすぐにハミエル殿下にルージュが無事な事を伝えて貰った。
しばらくして、ハミエル殿下と共に王宮の騎士団が数名やって来て小屋の中にいた男達を二人を王宮へと連行して行ったのだった。
私とルーとマークは、それを確認したのちに公爵邸へと戻った。
私はルーを共に馬に乗せて邸に戻る道中で、ルーが今回の事件についてを自分のわかる範囲で話してくれた。
今回の事件の首謀者はダース男爵親子だったのだ。
私は驚いた。
何故、ダース男爵親子が今更ルーに対してこの様な事をするのかと…
私と同様に、ルーもナール嬢が現れた時に不思議に思ったようだった。
皇太子殿下とルーの婚約破棄に関わっているとはいえ、婚約破棄をされたルーが逆恨みでというのなら分かるが新たな婚約者であるナール嬢が、ルーに逆恨みをするというのは不思議な話だった。
ルーが、無事に戻ってきたのだからすぐにダース男爵親子の悪事は明かされるだろう…
私は、ダース男爵親子に対しての怒りが内心おさまらずにいたが実際に私がどうこう出来る訳でもないのだった…
何よりも、ルーがこうして無事に私の腕の中にいる事が何よりも救いだった…
邸に戻ってからは、ルーを心配していた者たちが安堵の表情。浮かべていた。
ルーは、自分が皆を心配させた事を謝罪していた。
ルーが、今回一人で…行動を起こしたのは周りの者を巻き込まない為であったのだった。
その後、義父上やカイル達が邸へとやって来てルーの無事に安堵していた。
義父上は、ダース男爵親子への怒りを隠す事もなく露わにしていた。
それをルーがなだめている姿には、思わず笑ってしまいそうになったがそれは内緒にしておいた。
その後、ルーを自室で休ませる為に私が連れて行った。
私は、改めてルーが目の前にいる事に感謝した。
ルーが居ない毎日など、もう想像もつかないからだ…
ルーが、居てくれるからこそ私が私で居られるのだから…
ルーが、そんな私を心配してかルーが眠るまで手を握っていて欲しいと言ってきた。
私は、あまりの嬉しさに驚き固まってしまった。
私は、自分に好都合な事を考えているのだけなのではないかと思ったほどだった。
私は、ルーの手を握るのに緊張しているとルーの手首が赤くなっている事に気づいたのだ。
私は、優しくそっとルーの手首に触れた。
きっと、とてもきつく縄を縛られていたのだろうとすぐに分かった。
それを、解くために更に手首が傷ついてしまったのだろうと…
だが、ルーは微笑みながら大丈夫だと言った。
加えて、私を安心させるかの様に私が助けにかけつけた事に感謝の言葉をかけてくれた。
私は、そんなルーが愛おしくてたまらなくなりルーの手をそっと握ってのだった。
手を握ると安心したのか、ルーは眠りについたのだった………
そんなルーの寝顔を見て、私はまたルーが目の前にいてくれる事に感謝したのだった。
そして、結婚式の四日前に王宮から手紙が届いた。
手紙には、明日…皇太子殿下直々に我が邸に来てダース男爵親子の処分ついての話をしたいという内容が記されていた。
通常は、こちらから王宮へと出向くべきだが何故か殿下が出向かれる事になったのだ。
私もだが、きっとルーもその事を不思議に思っただろう。
しかし、拒否などできる訳もないので予定通り次の日に殿下が出向かれる事が決まった。
そして、翌日…殿下が予定通り訪問された。
私とルーで、出迎えをして応接室にて三人で話をしたのだ。
ルーは、殿下とお会いするのは婚約破棄を言われた日以来だった。
私は、ルーが殿下と顔を合わすのは気まずいのではないかと心配していたがルーは意外にも全く気にしている様子はなく安心した。
殿下は、今回の事は自分にと否があるとルーに謝罪をしたのだ。
ルーは、そんな殿下に困惑した様だった。
無理もないだろう…
婚約破棄を自分勝手に言い放った相手が今自分に対して頭を下げているのだから…
ルーは、慌ててフォローしていた。
その時に、私は些細な違和感を感じたのだ。
この場には、私達三人いると言うのに何故だろう…まるで殿下は目の前にいるのはルーだけの様な感じで振舞っている様に感じたのだ。
だが、さすがにそれは私の考え過ぎだと思った…
しかし、考え過ぎだと思うも頭の中に以前ハミエル殿下が言った話を思い出したのだ。
殿下は、ナール嬢との婚約話を進めてはいない様だった。
それはハミエル殿下も不思議に思っておられた…
それもそのはずだ。
ナール嬢と婚約をする為に、ルーとの婚約破棄されたのに未だにナール嬢との婚約が公式に発表されていなかったからだ…
その時、私はある一つの仮説が浮かんだ。
今回の事件は、殿下がナール嬢との婚約の話を進めていない事が発端だったのではないかと…
では、ならば何故ナール嬢がルーの命を狙う事までしたのか…
ナール嬢が、そこまでの殺意と憎意をルーに抱くにはそれだけの理由があるからだ…
その理由は何かは分からないが、殿下がナール嬢との婚約を進めない事と今回わざわざ殿下がこちらに出向かれた事が関係していのか?
私は、そんな事を考えていた。
すると、殿下が私へと声をかけてきたのだ。
殿下は、私とルーの結婚式の数日後の軍の出動参戦を感謝するとこ事を言われた。
しかし、それを言っている殿下の冷たい笑みを見て私は背筋に嫌な汗が流れた。
ルーからは、見えない様に笑みを浮かべていた。
その時、私は思ったのだ…
もしや…殿下はルーの事を……
と……
しかし、だとしたら何故あの様な公共の場で婚約破棄をしたのか謎だった…
私は、一瞬でもそんな考えが過ぎったかさすがに考え過ぎだと自分に言い聞かせたのだった…
その後、殿下はこの後公務があるとの事で帰られた…
この日は、結婚式のドレスの完成品が届き早くドレス姿のルーを見て皆の前で永遠の愛を誓いたいと気持ちでいっぱいだった。
しかし、殿下の訪問で疑念が頭の隅の方に残ったままだったのだ…
私はどうか…何事もなく無事に結婚式当日を迎える事が出来るようにと切実に願ったのだった…
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